オールスター。
夢の祭典。
シーズン開幕戦と日本シリーズは見に行ったことがあるものの、オールスターだけはまだ実際に見に行ったことがない。
オールスター観戦というのは、死ぬまでにぜひともやっておきたいことの一つだったりする。
なんにしても、今年は神宮と宮崎での開催だから、いかんともしがたい。
いずれ札幌開催のときは、なんとかチケットを入手したいのだが・・・これがまた大変なんだよなぁ・・・。
さて、本日はそのオールスター第一戦。
せめてテレビ観戦といきたいところだが、仕事がそれを許さない。
大急ぎで帰宅してテレビをつけたときには、試合は既に8回に突入していた。
見ることができたのは終盤のみ。
だが。
最終回。
勝敗とはもはや関係なかったが、実におもしろい勝負が見れた。
3-1でリードしたセリーグは、最終回、タイガースの藤川球児をマウンドへ。
藤川といえば、今や球界一といっていい、速球派セットアッパーである。
そんな彼の代名詞は、「わかっていても打てないストレート」。
ストッパーという役割の投手は、往々にして、球種があまり豊富ではない。
その代わりに、頼れるウィニングショットを持っているものだ。
速いストレート、制球力、切れのあるウィニングショット。
これらの要素が、ストッパーとしての適性である。
ウィニングショットの代表がフォークで、例えばかつての横浜の大魔神・佐々木や、西武の新旧ストッパーの豊田、小野寺などもそのタイプだ。
スライダーを武器にする中日の岩瀬、ロッテの小林雅なども一流のストッパーだ。
話がややそれた。
それで、阪神の藤川。
この投手も、ストレートとフォークの投手だが。
他の投手と違うのが、藤川のウィニングショットはストレート、というところか。
つまりは、ストレートで三振が取れるという、とんでもない武器をもっている。
その藤川のストレートは、球速でいえば150km前半で、速いといえば速いが、そのくらいのスピードボールを投げる投手は他にもたくさんいる。
にもかかわらず打てない。
とんでもない『伸び』をするらしい。
その藤川が、満を持して最終回のマウンドに登った。
そして、藤川に対するは、これもまたパリーグを代表するバッターたち。
今のパリーグで五指に入るであろう強打者、ライオンズ・カブレラとファイターズ・小笠原。
さらにいうなら、二人ともフルスイングを身上とし、ストレートにはめっぽう強いタイプ。
なんて楽しみな、わくわくするような対決だろうか!
そのバッターに対し、藤川は全球ストレートを予告。
投げる方も打つ方も、頭にあるのは『三振かホームラン』!
藤川の、剛速球がうなる。
カブレラも負けじとすさまじいスイングを見せる。
1球1球にスタンドがどよめく。
ものすごい迫力だ。
カブレラのバットは三度、空を切り、ここは藤川が力でカブレラを捻じ伏せた。
続く小笠原。
小笠原も、ひたすらにフルスイングを繰り返す。
おそらく小笠原ほどの技術があれば、ヒットを狙えば打てるのだろうが、狙いはライトスタンド。
何球かファールで粘ったが、最後はやはり藤川のストレートの威力が優った。
豪快な、空振り三振。
強打者たちを三振に取った後、藤川はマウンド上から帽子を取って打者に敬礼をした。
真っ向勝負を受けて立ってくれたことへの、感謝だろうか。
勝つための野球、という。
もちろんそれは正しい。
ファンも、勝利を求めている。
ただ。
時には、こういう力と力が真正面からぶつかり合うような勝負も、いい。
それは、野球というものの原点かもしれないし、大いなる魅力なのかもしれない・・・。