6月5日、ついに結婚式当日がやってきた。
この結婚式、ジェームスによれば、今回は実に簡素な形にしたとのこと。ただ、新婦側の父親や祖母はけっこう保守的な人らしく、最後まで反対されたとか・・・。
ちなみに新婦は、やはり中国に留学していた女の子で、俺とも仲がいい。キンバリーという名前で、キムと呼ばれている。
さて会場は、屋外の、高原の公園のようなところ。広々としていて景色もよく、気持ちのいい場所だ。
そしてあちこちに、キムが用意したという、中国風の飾りがあって、なかなかおもしろい光景になっている。
平屋の建物もいくつかあり、その中にはバンドセットが設置されていて、テーブルも用意されている。
午後4時くらいだっただろうか、結婚式が始まった。といっても、あきれるほど簡単なものだ。
新郎新婦が前に立ち、列席者はそれを遠巻きに囲むように立つ。椅子も何もない・・・芝生の上だ。
司会進行は、新郎の弟と新婦の妹。
まずは新郎が誓いの言葉を読み上げ、続けて新婦も読み上げる。このときキムはさすがにこみあげるものがあったようで、ジェームスがそれをそっといたわるようにしていたのが、なんだかいい光景だった。
そして、指輪の交換。
――これで、式は終了である。時間にして15分程度。いやもう、まさに自分たちの式、だ。
その後は、自由なパーティー。
外で立食してもいいし、建物の中でくつろいでもいい。
一応、正式な夕食は提供された。ステーキをメインにした、やはりアメリカらしい食事だった。
その後、ジェームスの大学の友達たちが、ステージでバンド演奏。やっぱりアメリカ人がやると、絵になる。レパートリーも非常に豊富で、その後の何時間、ずっといろんな曲をやってくれていた。
そして、他の人は、踊る。
少し広めにスペースがあけてあり、そこで音楽にあわせて自由に踊る。こっちの人はやっぱりみんな陽気で、どんどん踊る。
最後のほうは、俺も流れに乗って踊りだしていた。ま、嫌いじゃないので・・・。
日没後――つまり9時過ぎだが、外でキャンプファイヤー。
このとき食べたものが、アメリカのこういうときによく食べるものらしいのだ。鉄製の二股の長い串にマシュマロをさし、火であぶる。やわらかくなったところで、クラッカーを取り出し、その上に板チョコを乗せて、それでマシュマロをはさむ。
するとチョコも熱でとろりとなり、それをサクッと食べると、これがもう甘くて実においしい。
ワインもたくさん飲んで気持ちよくなった俺の目に、満天の星空が飛び込んできた。
一面の星、星――星の海。
まさに圧巻。これほどの星の数は、おそらく初めて見る。
「ミルキーウェイ(天の川)も普通に見えるよ」と、ジェームスが言っていたっけ。
これが・・・、そうなのか。