読書の秋ですね
今日は少し前に読んだ「香料の都 PETRA」という本のご紹介です
とにかく面白い!の一言なんです。
近頃は、なかなか読書する時間もないので、1日15分と時間を決めて読み始めたものの、ハラハラドキドキする展開に次が気になって気になって。
最終的には睡眠時間を削り、会社にも持っていき、少しでも時間が空くと読んでいました
翻訳本って日本語に多少ぎこちなさを感じるものなんですが(わたしの場合)、この本は途中から翻訳本であることを忘れる位、自然な文章でグイグイ引き込まれしたよ
物語は、路上生活を送る天涯孤独な少女ライラが、様々な苦難を経験し、人の優しさ、愛情を知り、そして恋をして、一人の強い女性として成長していく、というもの。
こう書くと、よくある話っぽいけれど、舞台は紀元前4世紀頃の砂漠の交易都市ペトラを中心としたアラブの街です。
イスラム教以前のアラブの人々の生活が生き生きと描かれていて、それがまた魅惑的なのと同時に、様々な迷信、制約、女性の生きる選択肢の少なさにもどかしさや息苦しさも感じます。
市場の喧騒、豊富な食料、砂漠の砂嵐、ラクダのキャラバン、ペトラの岩山、香料薬草の香り、八百万の神々への信仰、革袋に入った水。
各シーンの描写が素晴らしく、どっぷりとその世界にハマって、まだ行ったことのないペトラに既にいるかのような気分でした
特に、人々の生活に乳香や没薬などの香料や薬草が身近だったこと。
様々な軟膏やハーブウォーター、石けんなど、作っている場面も出てきて、個人的にはかなりワクワクしました(時代背景は史実を基にしているものの、レシピは正確ではないそうですけど)。
先日ミツロウや植物油でクリームを作りながら、ふとこの本を思い出して、古代も現代もしている事はさほど変わっていないな、とハッとしました
当たり前ですが、人の想いも同様で、ライラの揺れ動く乙女心が丁寧に描かれていて、乙女の時代があった私にも彼女の心情が痛いほどわかりました
物語はフィクションですが、この時代にも悲恋に泣き、激しく惹かれ合った二人が本当にいたはずだ、と思いたくなります。
宝石の輝きに魅了され、自由だけはあるけれど、人から大切にされることも、自分以外を愛することも知らなかった少女は、人を愛することで自由を失いました。
でも、自由や宝石以上に価値あるものを砂漠の真ん中で見つけました。
人を好きになることに理由はなく、その「目」を見た瞬間から、逃げることも、後戻りすることもできないのだ、と真っ直ぐで純粋な愛を思い出させてくれた素敵なラブストーリーでした
きっと何年か後、ローズレッド色の街ペトラに私は行っていると思います
ご興味があったら是非読んでみてくださいね
お塩は、奥能登の海で満月の日、満潮時にくみ上げた海水を4日間湯煎にかける「非直火式・低温製法」といわれる、古代の海の濃度を再現した製法で作られる特別なお塩を使っています。