M女史との打ち合わせ その2
その時のM女史との面談の中で、私は、新規事業の主軸は「人材育成」としたい旨を伝えました。
彼女は、「人材育成」だけだとミャンマー人には響かないと言われ、どうしたものかと思案に暮れてしまいました。
彼女曰く、「人材育成では、ミャンマー人は見向きもしないかもしれません。やはり、自分たちの目的にそのまま合致するような教育を提供してくれるものでなければ難しいと思います。例えば、日本語学校です。多くのミャンマー人は日本語学んで、日本で就職し、外貨を稼ぎ、より富を得ることにより安定した暮らし、貧困からの脱却、そして将来、自ら事業を起こす等、より現実的・実践的なものを求めています。しかし、ミャンマー第一の都市ヤンゴンには数多くの日本語学校が既に存在しています。もし、仮に日本語学校を主軸として事業を展開するならば、それら多くの学校と差別化を図らなければいけません。そうしなければ事業はとん挫するでしょう。」と。
「例えば、他の日本語学校との差別化を考えた場合、他の日本語学校が提供する教育と大きく違うものを打ち出す必要があります。それは、近藤さんが先ほどから述べられているリーダーシップの教育の同時提供や多言語教育の提供など出来ると思います。そう、日本企業が求めるリーダーシップ力を提供するという売り文句があれば、多くのミャンマー人は来るかもしれません。」とも話されました。
「なるほど、日本語教育の提供を主軸とするも、同時並行的にリーダーシップ教育、特に日本企業が欲するリーダーシップを提供するというやり方もあるんだな。」と思いました。
私は、自分の経験から識能を向上させること自体は勿論重要ではあるが、資質を脇に置いておいたら本末転倒になるという持論を持っていました。資質向上の努力は本当に重要なのです。例えば、数学について考えていきましょう。数学では数の計算を学んでいきます。様々な数式、方程式、微分・積分、様々な学問に通じる理論・思考を学んでいきます。そこに数学に関して天才的な人間がいたとします。
どんな難解な計算でも、すぐに理解し、さっと解いてしまう。
凄いですよね。
でもそこに、心、つまり資質の部分が欠けていたらどうなるでしょう。
その人がビジネスの世界に入り、利益を上げるための天才的な数学能を使っていき瞬く間に富を得たとします。そのような人が本当の慈愛を持ち、様々な境遇にある人間たちを救っていくことが出来るのでしょうか。
我良し、唯物論主義で、富、権利、地位が一番この世で重要であると考えた場合、大きな悲劇が待っているかもしれません。
これからの時代、そのようなリーダー像は求められない顔しれないと考えているのです。次回は実際に自衛隊が海外派遣されたときに起きた資質が欠如した隊員による部隊行動への影響を考察していきたいと思います。
続く