自衛隊におけるTOEIC対策
では、ここで皆さんに私の教官時代、学生に指導してきたTOEIC練習法について触れておきたいと思います。
まず、TOEICというのはどういうテストかということを知る必要があります。
TOEICという英語能力判定試験はどういう経緯で生まれたのかを知っておく必要があります。
TOEICというのはアメリカの非営利団体である教育試験サービス、ETSが開発した英語によるコミュニケーション能力を判定するために作られた試験です。
実は、これは、日本人がこのETSに頼んで開発してもらったという経緯があります。
その方は、北岡靖男さんという方で、「日本のビジネスパーソンはこれから英語が必要になってくる。だから本格的な英語の試験を作らなければならない。」という使命感を持っておられた方です。
そこで、彼は単身、ETSに乗り込み、幹部を説得しTOEIC開発にこぎつけたということです。
ETSでは、TOEICのことを、TOEIC is a brainchild of Yasuo Kitaoka と呼んだりしています。
つまり、TOEICは北岡さんが生みの親ということを認めております。
というわけで、TOIECは日本人仕様の英語能力判定試験として産声を上げたという歴史があります。
今では世界150ヵ国で行われている試験ですが、この試験が出来た当時は、なかなか世の中に浸透せず、認識していただくために相当ご苦労されたようです。
現在では、世界で毎年700万人が受験している大きな試験です。
しかし、この歴史からもわかるようにアメリカでは、ほとんどのアメリカ人はTOEIC試験の存在は知らないのが現状です。
ETSはTOEICだけでなく、TOFLEも行っている団体です。
米国人にとってはTOEICよりTOFLEに関する認知度はかなり高いのです。
結局アメリカの大学に入学する際、基準となってくるのがTOFLEであるからです。
また、毎年、年間約700万人が受験しているとは言え、その70%は日本人と韓国人で占められているため、試験の構成も日本人と韓国人が間違えやすい文法であったり、聞き取れない発音が散りばめられているのが特徴です。
このことをしっかり認識しておくと、TOEIC対策がある程度ビジュアル化しやすくなってきます。
陸上自衛隊における英語教育においても、次のレベルの教育に進めるか否かの判断は、TOIECのスコアでふるいにかけられます。
ですから、自衛隊の学生は必死にTOEICに取り組まざるを得ないわけです。
また各英語課程においても卒業要件にTOEICの点数が反映されます。
従って、陸上自衛官は、TOEICも頑張らなければいけないし、軍事英語も疎かにできないわけです。
私が、教官をしていた頃は、TOEICのパート1から7についてどのような特性があるかを分析して学生と情報共有することに努めていました。
実際、学生は軍事英語の方が相当、難解ですぐには理解できません。
従って、翌日の教育のために相当準備していかなければ授業に臨めないため、必死に予習に時間を割きます。
従って、なかなかTOEICの練習に時間を割けないのです。
また、様々な訓練課目が入ってきますので、AEE(上級課程)レベルだと一日睡眠時間3~4時間確保するのがやっととなってきます。
従って、効率よくTOEIC対策を実施するには、ある程度戦略的に取り組まないと上手くいかないわけです。
では、実際どのように効率よくTOEIC対策をするかという話は次回したいと思います。
続く