Chapter 6 Stripping down to my shorts… | 熱血講師 ショーン 近藤 Leadership & Language Boot Camp

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Chapter 6 Stripping down to my shorts…身体検査

トップガン!トム・クルーズ演じる無謀であるが腕は一流のパイロット、そして美人教官との恋愛、飛行訓練中における自らの無謀な判断により招いた同僚の死、失恋、それを乗り越えての実戦での勝利!ヒーローとなって凱旋。そしてトップガンスクールの教官となる。熱い青春を描いた1986年全米ナンバーワンヒット映画である。哲は、今見ても面白い映画だと思っている。駄作という批評も山ほどあるが、全米ナンバーワンヒットを記録するということは、それだけ人に訴える何かがあり、インパクトがあり、人の心を動かすことができた作品だったのだろう。当然日本でも空前のヒットを記録した映画である。アメリカでは軍に志願する若者が殺到したという。日本でも同様に航空自衛隊に志願する人間が急増したという。哲も例外ではなかった。なんか、戦闘機に関する仕事に携わりたい!可能であればパイロットになって飛行機を飛ばしたい!と思っていた。パイロットがトムだから格好良かったのか?多分そうだ。そして彼みたいになりたい!と思っていた。しかしながら、自衛官Bらの策略にまんまとはまってしまった。哲は、陸上自衛隊入隊の試験をパス(?)し、陸上自衛隊入隊のための身体検査を受けるのである。元来人見知りである哲は、声を大にして自分の主張するのが苦手であり、非常に親切にしてくれた自衛官Bに「自分はやっぱり航空自衛隊に行きたいのです!」とは言えず、流されるまま陸上自衛隊入隊のプロセスを着々とこなしていた。哲のトップガンに対する憧れは封印されてしまったのである。運命のいたずらかは人知の及ぶところではないが、哲は、後に戦闘機に深く関わる仕事に就くのである。


さて、身体検査当日、またもや自衛官Bの運転する車で駐屯地に移動した。冬の寒い日であった。駐屯地医務室に到着すると他にも30人位の若者が集まっていた。皆、同時に入隊する予定の者達のようだ。哲は、他の者より若干年上のようだった。お互いが牽制しあっている。若者独特のふてくされたような表情を見せる者もいれば、素直にテキパキ動く者もいる。十人十色である。おもしろいなと哲は思った。学生時代は明確に先輩・後輩があった。でもここでは同期になるのだ。静岡の会社の10数人の従業員数なんて比較にならない。同期だけで30人以上ここにはいる。パンツ一丁でそれぞれの計測・検査の列に並ぶ。ふと、不安になり自衛官Bの方を見た。彼は同僚らしき背広姿の自衛官らと談笑している。彼は、目でその列に並んで行けば大丈夫だと、哲に言った。哲は、黙って頷いて検査に臨んだ。検査は、通常の身体測定(身長、体重、胸囲、腹囲)等の実施、血圧、肺活量、視力、色覚、聴力、尿検査、握力測定、背筋力測定、血液検査、心電図、胸部レントゲン等一通りこなす。ここでは性病の検査も同時に行われる。哲はあとで知ることとなるのだが、自衛官は性病に罹患する者は多い。特定の女性とお付き合いできない輩は風俗店等に行き、性欲処理をするため様々な厄介なものをもらってくるのだ。男性のシンボルが尋常ではない程度腫れ訓練に支障が出るなどよくある話である。


本日ここに集まった30余名の者が全員自衛隊に入隊するかは定かではないがほとんどの者が同期として同じ釜の飯を食うことになるのだろうと哲は思った。期待に膨らむ想いと同時に不安も大きく心にのしかかってきた。このバブルの時代にここで身体検査を受けるということは、やはり世間に上手く順応できなかったり、会社をクビになったり、就職そのものができなかったりと、それぞれの理由があってここに集ったのだろう。哲は、入隊後の人間模様に想いを馳せていた。どんな事が起きるのだろうか?上手くいくのだろうか?漠然とした不安の中家路に就いた。帰路の途中、自衛官Bはこれからの入隊までの手続きについて大雑把に説明してくれた。そして、入隊までに準備すること、入隊時に持参する必要があるもの等について指示書を渡された。入隊日は平成4年1月30日である。これはこの地方では最も寒い時期である。哲の陸上自衛隊入隊のための準備が始まった。

to be continued....