この記事は,上智大学 言語科学研究科 言語学専攻 言語聴覚研究コースに通う者の受験体験記の後編(入試当日編)である。タイトルどおり!

 

 留意事項は前編に書いたのだが,大事なことなので再掲する。

 

  1.  これはあくまで「私の」「体験記」に過ぎない。と言うと当たり前のように思われるかもしれないが,これが意味するところは大きい。私はこうやって勉強したら合格できたというだけの話であって,誰もが同じ勉強法をしたら合格できるとは一切思っていないし,そんな保証もない。なので,参考程度にと言ってしまうとそれまでなのだが,「ここは私の勉強にも取り入れられそうだな」とか「ここは僕と状況が違うからあんまり参考にならないな」とか,自分の勉強法を振り返るきっかけくらいのつもりで読んでほしい。
  2.  そして何より,出願方法や入試科目・日程・時間,問題の傾向など,受験制度に関するあらゆる要素が,私が受けた年度から変わっている可能性がある。なので,そうした部分については必ず,説明会や入試要項,過去問などをもとに最新情報を参照すること。
  3.  また,個人情報特定を防ぐため,受験年度は伏せさせていただきたい(ただ,このブログの執筆日からそんなに離れてはいないであろう,とは小声で申し添えておきたい)。また,私自身のプロフィールに関わってくる部分も,大意を損ねない範囲でぼかして書く可能性がある。
  4.  要は,あなたがこの体験記を読むにあたって,この体験記の信憑性は極めて低いと言わざるを得ないということである。それでも,私が受験生だったときに,1つでもこういう情報リソースがあったらだいぶ救われたと思うので,似たような境遇に置かれている未来の後輩のためにこれを書くまでである。
  5.  そして,もしこれを読んでいるのが在学生・卒業生なら,ぜひご自分の受験体験記も何らかの形で綴っていただきたい。サンプル数は多ければ多いほどよいのである。

 

 では早速,入試当日。前日までの勉強のことが知りたい方は前編へBACK

 

 

 入試1日目(筆記試験)

 

 

 入試は上智大学 四谷キャンパスで行われた。会場の教室一覧は,北門を入ってちょっと入ったところに掲示してあった。建物の構造が複雑でちょっと迷った。私が受けた回の受験者の人数は伏せさせていただくが,想像以上に少なかったとだけ言っておく。

 

 試験は2日にわたって行われた。1日目は筆記試験,2日目は口述試験である。

 

 1日目の筆記試験の科目は,専門科目(90分),英語(30分),小論文(60分)の3つだった。専門科目と英語を午前にやり,昼休憩を挟んで,小論文は午後。

 

 私が受けた回の問題は,3科目ともそこまで過去問と大きく変わっているということはなかった。所々にマイナーチェンジは見られたが,過去問をしっかりやっていれば対応可能なレベルであったと思う。専門科目は勉強の甲斐あって多少時間に余裕を持って終えられたが,英語と小論文は相変わらず時間キツキツであった。

 

 あと,英語は辞書持込可であった(電子辞書は不可)。辞書なんか引いてる暇ないだろうと思っていたが,本番では結局2回くらい辞書を引くことになったので持っていった方がいい。ドデカい大辞典を持っていく必要はないが,ポケット辞書みたいなやつだとちょっと心許ないかも。中高生が使ってるくらいのやつが多分最適解。

 

 あとあと,問題・解答用紙はホッチキスで留められているのだが,外したい人は外して解いてもいいとのことであった(試験終了後に留め直させられるらしい)。私は,外した方が解きやすいかもしれないと途中で思ったが結局外さなかった。

 

 試験時間は試験に集中していたので,試験中に起こったことはあまり覚えていない。試験前のアナウンス(放送ではなく監督者の口頭)は開始10分前くらいから始まった。監督者は,部屋の明るさや気温,換気などにもかなり気を配ってくださっていた。

 

 専門科目と英語の間の休憩は10分しかなかったが,人数が少なかったのと,どうやらコース・専攻によって試験時間がばらけているようで,トイレが混み合うということはなかった(トイレに時間がかかる人は気をつけた方がいいかもしれない)。

 

 昼休憩は割と長く,1時間以上あった。大学の学食や購買を使ってもよかったらしい。私は,お昼ごはんをがっつり食べると午後に眠くなったりトイレが近くなったりといいことがない体質のため,自宅最寄りのコンビニで買ったパスタサラダをサラッと食べた。

 

 最後の小論文が終わったら特にこれと言ったことはなく解散。翌日に備えて早く寝た。

 

 

 入試2日目(口述試験)

 

 

 2日目,口述試験。集合時間までに指定された待機場所に着くと,言語学専攻の受験生が一堂に集められていた。教室前方のホワイトボードに指定座席と口述試験の順番が書かれた掲示が貼っており,各自で確認するスタイル。教室監督者みたいな人は特にいなかった(廊下にスタッフの方はいた)。

 

 着席して,開始時間まで待機。みんな志望理由書?みたいなのを読み返したり,頭の中で本番をシミュレーションしたりしている様子だった。私は首や肩のストレッチをしたり目を瞑って深呼吸したりしていた。あとトイレに行って身だしなみチェックもしていた。

 

 あ,そうだ。書き忘れていたが,1日目はほぼみんな私服で,ちらほらスーツの人もいるかな?というくらいであった。なぜ今これを思い出したかというと,2日目は全員スーツであったことを言おうと思ったからである。というわけで,2日目は全員スーツだった。

 

 時間になったら,各コース1番目の人から順番に呼ばれていって,コースごとに別の教室で口述試験が行われた。スタッフの方が受験生の本人確認をし,教室まで連れていってくれた。荷物は全部持って行かされた。

 

 ノックして入室。よろしくお願いしますとか何とか言って,指示された場所に荷物を置いて,着席して,開始。

 

 面接の内容は読者も気になるところだと思うので詳しく書こうと思う。

 

 面接官は,言語聴覚研究コースの専任教員(2名)であった。受験生:面接官=12である。面接では主に以下のことを聞かれた(順番は前後しているかもしれない)。

 

  • 昨日の筆記試験の手応え
  • 私の経歴について深掘り(やや特殊な経歴を持っていたため)
  • 関心のある研究領域と,その領域に関心を持ったきっかけ
  • 卒業論文の内容
  • 言語聴覚士としての自分の適性はどんなところにあると思うか
  • 他の大学院等の受験状況(合否には関係しないという前置きあり)
  • 入学後すぐに自分のやりたい研究ができる!という感じのカリキュラムではないのだが大丈夫か
  • あなたの関心のある分野以外の講義や実習も受けなければならないが大丈夫か
  • 在学中はアルバイトなどをするのは厳しいが,費用の面は大丈夫か

 

 全体的に,まあ聞かれるだろうなと事前に予想でき,回答も用意していたような質問がほとんどで,割と安心して答えられたように思う。

 

 最後の方の「大丈夫ですか」系の質問に対しては,できるだけ,これこれこう考えているので問題はないと思います,というふうに根拠立てて大丈夫さを証明するようにしたのだが,面接官の反応を見る限り,どうやらそれは冗長だったようである。とにかく大丈夫であることが伝わればいいようだ。

 

 このように面接らしい面接を一通りこなした後,「それでは今から実技試験として紙芝居を読んでもらいます」と告げられる。紙芝居?え?聞いてませんけど?という動揺は多分隠せていなかった。2パターンの紙芝居が渡され,どちらか好きな方を選んで,冒頭3ページくらいだけでいいので,面接官を3歳の子どもであると思って読み聞かせしてください,とのこと。私の頭の中はほぼパニック状態だが,そんなことも言ってられないのでとにかく軽く下読みして,読み聞かせのプランを練り,「大丈夫です。お願いします」と言って読み始める。すると,面接官がかなり本格的に3歳児になりきっており,「わー,なになにー?」「さくしゃ(作者)ってなにー?」「きゃははーおもしろーい!もういっかいやってもういっかーい!」など茶々を入れてくる。リズミカルなフレーズは一緒に歌ってくれたりもする。なかなかノリのいい3歳児である。

 

 これは後で振り返って思ったのだが,おそらくそういう場面での受験生の反応も見ていたのではないかと思われる。つまり,ただ与えられた紙芝居を上手に読むだけではなく,子どもとのコミュニケーションを大事にしながら,臨機応変に読み進めていくことが求められていたのであろう。この点,私はあまりできていた自信がない。子どもからの問いかけに答えてはいたと思うが,事前に考えた読み聞かせプランを遂行するのに必死で,あまり積極的に子どもとコミュニケーションを取ろうという感じではなかった。ただ,読み聞かせのクオリティ自体は,ウブな受験生にしては割と頑張った方だと思っている(もともと音楽や演劇などを少しかじっていたこともあって,声や身振りで何かを表現するということへの抵抗感は薄い方であった)。

 

 4枚目にさしかかったところで,面接官に無言の圧力を送って,「じゃあこのくらいで終わりにしましょうか」と言わせた。「最後に何かアピールしておきたいことはありますか」と聞かれたため,最後にアピールしようと思って用意してきた内容を述べて,終了した。ありがとうございましたとか何とか言って退出。教室の外にスタッフの方が待機しており,もう帰っていただいて大丈夫ですと告げられ,帰った。

 

 ちなみに私は,大学を出た時点でまだお昼にもなっていない時間で,このまままっすぐ帰るのが惜しく思われたため,上野まで行って美術館巡りをしてから帰った。

 

 

 まとめ

 

 

 というわけで,入試の内容や雰囲気について,できる範囲で詳しく記した。ただ,しつこいようだが,あくまで私のときはこうだったというだけの話であり,年度や回によって変わる可能性は全然あるし,同じ試験を受けても受験生によって全然受け止め方が異なるであろう(それも見越して,あえて「私はこういう状況だったのでこう感じた」というような記述を多めに盛り込んだ)。決して鵜呑みにすることなく,受験当日のイメージを掴むのにちょっと参考にしてもらえたらそれで十分である。

 

 以上,上智大学 言語科学研究科 言語学専攻 言語聴覚研究コースに通う者の受験体験記であった。もし何か質問等があればコメントに書き込んでほしい。答えるかもしれないし,答えないかもしれない。