私にとって近しい人の中に、医師がいます。

彼の勤務する病院は、たくさんの診療科があります。

中等症のCovid-19感染症の患者さんを多数受け入れています。

 

でも、彼の勤務先には、実は小児科がありません。

そこに勤務する様々な医療従事者の中には、彼のように、何十年も、乳幼児や小児、思春期のお子さんを診たことがない人が多数いるそうです。

 

そんな中、最近は子供の感染者および肺炎発症者が急増しています。

 

現場の事情をまるで知らない院長が、知事からの小児患者受け入れ要請を無条件で引き受けてしまったとのこと。

 

子供は、小さな大人ではありません。

使える薬・使えない薬・投与量や輸液メニューの決め方

大人とは違う皮膚や血管壁の触感から、採血・注射・点滴には経験が必要です。

未成年ですから、保護者への説明も要りますが、それにも慣れていない。

つまり、一人の乳幼児患者さんの処置にめちゃくちゃ時間がかかるのです。

その分、他の患者さんへの対応は遅れます。

 

乳幼児への気管内挿管だって、大人のそれとはまったく違う。

酸素投与マスクも、様々な医療用具も、すべて体格に合わせた規格のものを新規購入しないといけない。

 

小児科用の電子カルテシステムも導入しないといけない。

日頃からてんてこ舞いのSEさんは、さらに多忙を極めます。

 

子供特有の病気についても、遠い昔に勉強した知識しかない。

 

しかも、夜間や休日は、色々な科の医師や看護師が順番にたった一人で当番をしている病院で、そこへ件の感染症の患者さんが入院される。

 

現場は、みんな恐ろしくて露骨には口に出さないそうだけれど、混乱と不安でいっぱいだそうです。

 

院長が受け入れを決めた翌日から、さっそくゼロ歳児をはじめ、続々と小児患者が入院してきているそうです。

 

そんな彼は、流行しだした頃には、医療従事者専用の宿泊施設を利用していたそうですが、

いつの間にやらそこも軽症感染者宿泊療養施設にされてしまい、家族を心配しつつ自宅に帰るしかないとのことです。

 

こないだ久々に彼から聞いた現場の状況を、羅列してみました。

ちなみに、東京でも大阪でも福岡でも北海道でもない、医療崩壊とか色々いわれていない、大してにぎやかでもないのどかな街の病院です。。。

 

ご自分の子供さんがCovid-19に感染して入院しても、期待するような小児科治療を受けられない可能性もあるわけだ。

そして、入院することで、他の患者さんの診療が遅れる可能性もあるわけだ。

 

基礎疾患がなく、元気でピンピンしていて走り回っているお子さんをもつ保護者さんには、いまいちど、これからのご自分とお子さんの行動を考え、話し合ってほしいな、て

彼の話を聴いていて思ってしまいました。

 

私はなんも偉そうなことをいえる立場ではないけれど、

彼の話を聴いていて、それで彼の勤務先で、万が一、医療ミスや救えるはずの命が救えないことが起きたらと思うと、

すごく危機感を抱いてしまいました。

この危機感をほどほどに共有してもらえたら、おのずと毎日のちょっとした行動が変えられるのではないかと思いました。

 

行政やオリンピックのせいにせず、各自ができることをできる範囲でコツコツ続けて、一緒に乗り越えていけたらと思います。