乳がんを経験した時のことを、
今日は少しだけお話しさせてください。

私が
「乳がんです」
と告知を受けた時のこと。
意外にも、私はとても淡々としていました。
取り乱すこともなく、
大きく動揺することもなく、
ただ、主治医の声を
どこか遠くから聞いているような感覚で。
「あぁ、そうですか」
そんな言葉が、
自分の口から自然に出ていたのを覚えています。
正直に言うと、
そのあと何を話して、
何を説明されたのかは、
その時に書き留めていた手帳を見ない限り、
今となってはほとんど思い出せません。
ただ、ひとつだけ。
とてもはっきりと体に残っている感覚があります。
診察室を出て、
廊下に足を踏み出した、その一歩目。
床が、
「グニャ」
と沈んだような感覚でした。
実際に床が動いたわけではないのに、
足元が不安定になって、
自分の体が、急にどこか別の場所へ
落ちていくような感覚。
それまでの私は、
健康だけが取り柄で、
「がんになる人」という存在を、
どこか遠い世界の人たちだと思っていました。
私の身近にはいなくて、
ニュースやドラマの中の話で。
「もうすぐ死んでしまう、可哀想な人たち」
どこかで、
そんなふうに捉えていたのだと思います。
だから、
その“側”に自分が入ってしまった、
という感覚が、
とても強烈だったのでしょうね。
「あぁ、私はもう、
そちら側の人間なんだ」
そんな思いが、
足元から一気に広がっていったのです。
けれど、今は違います。
乳がん=死
ではありません。
治療をして、
今はすっかり元気に、
笑顔で日常を過ごされている方は、
本当にたくさんいます。
また、
とりきれないがんがあっても、
然るべき治療を続けながら、
体と向き合い、
普通に日常を生きている人も、
たくさんいるのです。
あの頃の私が抱いていた恐怖は、
無知から生まれたものだったと、
今ならはっきり言えます。
でも、
女性の9人に1人が乳がんに罹患すると言われる今。
あの時の私と同じように、
不安や恐怖を抱えている方は、
きっと今も少なくないのだと思います。
だからこそ、
このブログでは、
「怖かったこと」も、
「知らなかったこと」も、
「あとから分かったこと」も、
正直に言葉にしていきたいと思っています。
もし今、
告知を受けたばかりの方がいたら。
あるいは、
心のどこかで
「乳がん」という言葉に
漠然とした不安を抱えている方がいたら。
あなたは、
何も間違っていません。
怖いと思うのは、
とても自然なことです。
そして、
知ることで、
世界の見え方は、
必ず変わります。
ここは、
少しずつ、
自分のペースで、
知っていくための場所。
そんなふうに、
このブログを読んでもらえたら、
とても嬉しいです。
- 前ページ
- 次ページ