「震災孤児」数百人か…厚労省、実態把握急ぐ | 隊長の隠れ家

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読売新聞 3月31日(木)3時7分配信

 東日本巨大地震で親を失った児童生徒は、1995年の阪神大震災の68人を大きく上回る見通しとなっている。

 厚生労働省などによると、阪神大震災が早朝に発生したのに対し、平日の日中に発生した今回の地震では多くの児童生徒が下校前で、学校ぐるみで避難して助かった事例が多く、「震災孤児」は数百人単位にのぼるとみられる。

 ただ、震災後も混乱の続く被災地の自治体からの聞き取りは難航しており、厚労省は、被災地以外の自治体から専門職員を募って現地に派遣し、実態把握を急いでいる。

 阪神大震災では、親を失った児童生徒の大半が親類や知人に引き取られた。

最終更新:3月31日(木)3時7分

~提供元:読売新聞~


震災孤児 見えぬ実態 「お母さん、いつ迎えに来てくれるの?」

「いつ迎えに来てくれるの?」。少年は母を待ち続けた。だが、自分を愛してくれた人はもういない。東日本大震災で両親を失った“震災孤児”の実態が見えてこない。(松岡朋枝、大渡美咲)

 宮城県石巻市の市立小学校の避難所。同小1年の少年は、母親の迎えを待ち続けた。少年の両親は車で避難する途中、津波にのまれて命を落とした。学校にいた少年は難を逃れたが、両親が亡くなったことは知らされていなかった。

 避難所には近所の住民も多く、親代わりを務めて一緒に遊んでくれたが、避難所にいる親子連れをみると少年の目から涙がこぼれた。泣きながら大人たちに聞いた。「お母さんはいつ迎えに来てくれるの?」

 地震から1週間ほどたったころ、少年は一家の安否を心配して避難所を訪れた親族に引き取られた。避難所を出るときまで、母親の迎えを待っていたという。

 避難所で少年を見守り続けた男性は「子供に必要なのは親や親族だった。自分たちの無力さを痛感した」と、声を震わせた。石巻市教育委員会によると、市内だけでも数十人の震災孤児がいるとみられるが、その実態は明らかになっていない。

 自治体の調査は難航している。宮城県子育て支援課は県内の全自治体と全児童相談所に孤児の実態把握を要請。存在を確認すれば、児童養護施設への入所や里親への養育依頼を行う計画だが、今も多くの自治体から報告は届いていない。沿岸部の自治体は「児童生徒の安否確認さえ終わらず、孤児にまで手が回らない」と話す。

 岩手県でも、地震の被害で親が亡くなったり行方不明になったりしている子供の数を把握しようと、児童相談所の職員と応援に来ている横浜市こども青少年局の職員が避難所を回り、責任者に親を亡くした子供がいないかなどを聞き取っている。

 同県陸前高田市では、市の教育委員会も同時に調査を実施。市の担当者は「地震後、親戚などを頼って市外や県外に出た子供も多くいるため、実態把握には相当の時間がかかるだろう」と話した。

~提供元:産経新聞~


◇必要な支援とは

東日本大震災の被災地で、両親を失った孤児の実態把握が始まった。寒い避難所でひとり、寄り添う親のいない子どもらに一日も早く手を差し伸べてもらいたい。

 被災地は犠牲者の身元確認や生活基盤の復旧に追われる。行政機能がマヒした自治体もあり、現地では孤児らのケアには手が回らない。

 政府は全国の児童福祉司ら専門家を集め、避難所ごとに確認する作業を始めた。実態把握を急ぎ、早期に手だてを講じてもらいたい。

 厚生労働省によると、被災地の自治体で親を亡くした子どもがいるとの情報は入っているが、その後の行方は把握しきれていないという。

 各避難所で子どもや関係者から状況を聞いて回るだけでも手間がかかる。それぞれの子に合ったケアを考え、措置するまでの手続きも膨大な作業となる。

 すでに北海道や東京都、横浜市などから児童福祉司や児童心理司ら専門家が、食料やガソリンを持参して、公民館に寝泊まりしながら活動しているという。全国で支援の輪を広げていきたい。

 阪神大震災で身寄りをなくした18歳未満の子どもは68人で、両親のどちらかを亡くした子どもも332人いた。今回の震災は死亡・行方不明者の数がはるかに多く、孤児の数はこれを上回ることが懸念される。

 被災から2週間が過ぎている。いつまでも保護者の行方が分からない状態が続くと、精神的に不安定になる。安心できる場所、寄り添ってあげる大人の存在が必要だ。

 現実の対応はさまざまな困難が予想される。諸対応の入り口となる実態調査さえ難しそうだ。

 地震に次ぐ大津波で被災が大きく広がった上、子どもたちが学校にいる時間の震災発生だったため、親子が離れ離れになったケースが多いとみられる。

 身寄りのない子どもは通常なら児童相談所の一時保護所や児童養護施設が受け入れ先となるが、そこは児童虐待の増加に伴い定員超過が常態化しているという。

 同じ地域に住む親類らを頼れるといいのだろうが、彼らもまた被災している。高齢な祖父母には負担が大きく、長期的なケアは難しい。

 現行の里親制度では一定の年収があることや研修の受講などが求められ、認定に時間がかかる。

 震災孤児に対して、政府は特別な支援策や、制度の弾力的な運用も含めた対応を検討すべきだ。

 厚生労働省は里親探しや、経済的な支援といった長期的な課題について、都道府県などに協力を求めることを検討している。沖縄でも何かできないだろうか。

 ソフトバンクモバイルは18歳未満の震災孤児の携帯電話機、通信料などを無料にする方針だ。ロート製薬は孤児らを支援する「震災復興支援室」を設け、職員を配置。役員が一部報酬を返上して運用費とするらしい。

 息の長い取り組みが必要だ。みんなで善意を持ち寄り、応援していきたい。


~提供元:沖縄タイムス~


支援に関する取り組み

あしなが育英会:親を失った0歳から大学院生までに特別一時金を支給

ソフトバンク:携帯端末の無償貸与と利用料の無料化

ロート製薬:震災孤児支援のための「震災復興支援室」を新設

伊勢市:震災孤児となった子どもらを児童福祉施設へ受け入れ