「松風庵」の由来になっているように、敷地にはかつて多くの松があったらしい。


しかし、数年前に伺った時には既に数えるほどしか松は残っていませんでした。

残ったものには自然形の松が多かったですが、松風庵の南側の腰掛待合の横にあった一本 だけは幹の曲がりくねった形の面白い松でした。

その松は、増築の際に移植しなければならなくなり、最初の工事の時にホール正面に移植してもらいました。

「本庭」はその松を中心に構成しました。

松の一本一本がまっすぐに立っていたのでは安定しすぎて面白くありません。

安定しない松と石とを組み合わせ、全体でバランスをとると、動きのある生き生きとした庭になります。主木の黒松は右のほうに流れる気を感じました。

右に添えたクロマツでその気をさらに右手の南公園のほうに流しました。

これだけでは右に傾きすぎていますので、その気を景石で受け止め、庭全体でバランスがとれるようにしました。

景石は目立ちすぎないように、あまり角のない野面石とし、立て石をさけて置きました。

ここでは癒しの空間に適度な緊張感を与えるのが石の役目です。

石の持つ厳しさはできるだけ現れないようにやさしい石組にするとともに、ツツジの刈込で石の存在をさらに目立たないものにしました。

ふつうはこのような手法はとらないかもしれません。

据えていただいた石屋さんは、石がもったいないと思われたでしょう。

しかし、南公園の借景とやさしい石組、曲がりくねった黒松、ツツジの起伏が調和して、穏やかなで心癒される空間を作り出しています。これで正解だと思います。hontei