LDのタイプ
LDには、主に5つのタイプがあり、さらに複数の傾向を併せ持つ方もいます。それぞれのタイプについて解説していきます。
タイプ1「読み、書き、算数が上手くいかない。」
LDのタイプの中で中核を占めるタイプであり、医学的な「学習障害」はこのタイプに分類されています。
<具体的な困難>
- 漢字が正確に書けない。
ひらがな、カタカナはついていけても、画数が多く、複雑な漢字は苦手です。
- 音読み、訓読みが苦手。
1つの漢字が複数の読みを持っている時、どう読むのか、すぐに判断することが出来ません。
- 音と文字の繋がりが苦手。
例えば、「がくしゅう」という字が「GAKUSHU」と読むことを示す記号であることが頭の中に入ってきません。
- 表記上のルールを守れない
「っ、ゃ、ょ」等の小さな文字を正しく発音できないため、飛ばして読むことがあります。また、書く時も正しい位置に
書けません。
- 文の繋がりを区切れない
- 時計が読めない
- 聞き取るのが苦手
- 話すのが苦手
- 記憶や筋身を立てるのが苦手
- 反語やダジャレ、からかいが分かりにくい
- 話題が飛ぶ・話したい事しか話さない
- 相手の返事にあまり注意を払わない
- 雰囲気や表情が読めない
タイプ3「友達同士でのルールが理解できない、守れない。」
社会性のトラブルは、LDの定義には含まれません。しかし、学力のつまずきから気持ちが不安定になったり、社会性を学ぶのに時間がかかるなどの問題が二次的に起きます。
<具体的な困難>
- ケンカが起こりやすい
ADHDを合併している子供に多く、友達同士の遊びのルール・マナーを頭では理解しているにもかかわらず、ガマンできずに
ルールを破り、他の子供とケンカになりやすいです。
- 適切な言葉遣いができない
本人に悪気はなくても、人の嫌がることを言ってしまったり、乱暴な言葉遣いをしたりします。
- 他人と積極的にかかわらない・極端にマイペース
これはASDを合併している子供に多く、自分が興味のあることに熱心で人とのかかわりをあまり求めない子供もいます。
(過去を振り返ると、私はこのタイプだったと考えています。)
これらの困難が続くと友達が出来なくなり、人付き合いがうまくいかない状態になります。その結果、不登校などの2次的問題が起きる可能性があります。
タイプ4「運動が苦手で不器用」
LDの子供の中には、全身を協調させて動かすのが苦手な子供がいます。全身運動だけではなく、手先の運動にも、様々な特徴が現われます。
具体的な困難の説明の前に「運動」について説明します。ここで指している「運動」とは、スポーツの事だけではないです。体を動かすこと全般を指しています。つまり、「体を操作する能力」を指しています。
<具体的な困難>
- 細かいものを作れない
指先の作業が上手くいかない。靴ひもを結ぶ、服をたたむ等の日常的な動作が苦手になるため、将来的に家事が苦手に
なります。
- 基礎的な動作が遅くなる
歩いたり走ったりするのが遅くなり、長時間同じ姿勢でいる事ができない子供もいます。
- 字が下手
文字を書くのに時間がかかったり、正確に書けなくなります。元々文字の理解に問題がなくても、書くのが遅いために、理解が
遅れる事があります。
- 運動が苦手
複雑な運動に限らず、全身を使う運動をする体育の授業が苦手になります。
これらの困難が継続すると・・・
- 体を動かす遊びや団体競技に参加したいと思わなくなります。
- 勉強以外での達成感が得にくくなります。
その結果、自尊心や達成感を得る機会が少なくなります。
タイプ5「その場に適した行動がとれない。」
このパターンはASD、ADHDの併発がみられる方に多いパターンです。
主に多動性と寡動性の二つに大別されます。
<多動性における具体的な困難>
- 少しの間もじっとしていられない
- 次に何をするか予測できない
<寡動性における具体的な困難>
- 動きがゆっくりで反応が鈍い
- 無気力
- 気分が変わりやすく不安定
- しなければならないことに向ける注意力が弱い
- したことや自分なりのルールへの拘りが強い
- 外から入る刺激を受けとる注意力が鋭い





