尖閣問題特集 第2回 ~今後日本はどんな行動・政策を取るべきか~ | アジアの真実

尖閣問題特集 第2回 ~今後日本はどんな行動・政策を取るべきか~

 前回は日本が失ったものを書きましたが、今回は、大きな失敗をおかした日本ですが、今後どんな行動・政策をとるべきなのかを考えてみます。


尖閣諸島防衛体制の再考
 今回の件で、中国が尖閣諸島への関与を本気で始めたことが明らかになりました。これを受けて、尖閣諸島の防衛体制を再考する必要が当然ながら出てきました。漁業監視船という名目で武装艦まで出してきた中国に対して、日本は絶対に尖閣諸島を防衛するつもりであるという明確で強い意志を見せつける必要があります。具体的には以下のような手段が考えられるでしょう。

海上保安庁の巡視艇の配置強化
 通常時の警備体制はやはり海保に頼ることになりますが、この地域担当の海保基地に配備されている巡視船のグレードをより重武装のものに転換したり、配備数を増やすなどして、例え漁船でも一隻たりとも近づけない、またいざというときに武力的に対処可能な体制を整える必要があります。

尖閣諸島の国営化
 尖閣諸島は、現在私有地という扱いになっています。これを国有化することで海保や自衛隊の施設、灯台などの施設建設が可能となると同時に中国へ対しても日本の領有権を確固たるものとする意志を見せつけることになります。

補給施設や港湾施設の設営
 尖閣諸島は小さな島ですから、大きな施設を作ることはできませんが、小型の巡視船が停泊や補給をしたり、職員が常駐する施設を建設するべきでしょう。日本の島です。何も躊躇する必要はありません。

自衛隊の配置
 これができれば、防衛的にも中国へ対するアピール的にもかなりポイントは高いのですが、尖閣諸島の地表免責からすると、部隊が常駐するのには無理があるような気もします。しかしながら、先日民主党の松原議員などが政府にこれを提唱しました。現実的かどうかは別にして、こういう議論が起こるのは大変結構なことです。


チャイナリスクをふまえた中国依存体質からの脱却
 中国はレアアースの輸出停止の他、全ての日本への輸出品へ対するX線検査実施等を義務づけ、輸出を意図的に滞らせたり、日本への観光を数万人規模で大量に直前にキャンセルさせるなどの措置をとり、日本の経済界はおおいに狼狽えました。これには、政府関係者だけではなく、多くの日本人が”チャイナリスク”というものを痛感したのではないでしょうか。今後は官民一体となって中国依存体質からの脱却を図る必要が出てきました。それによってチャイナリスクから開放されるばかりか、中国へ対する制裁にもなります。

輸出入や生産拠点の移転と代替技術の開発
 日本は輸出入の多くや生産拠点を中国に頼っているのは事実です。まずは官民一体となって、この依存体質から脱却する必要があります。まずは、中国に9割以上を頼っているレアアースなどは代替技術の開発を進めると同時に、他の輸入国を確保すること。レアアースは、中国が一番価格が安いというだけで、インド、ベトナム、ブラジル、オーストラリアなど多くの地で算出されています。
 また多くの企業が中国へ生産工場を出していますが、今回のように突然従業員を人質に取られたり、平時でも頻繁に賃上げストライキが起きて生産が停止するなど、中国での生産は経営的に大きなリスクとなってきました。賃金も高騰してきたようですから、この機会に工場を東南アジアなどへ移し、リスク分散を図るべきです。これは官民共通の利益となるはずです。

中国制裁カードの準備
・現状では、日本が中国に様々な点で依存しているのは確かですが、中国も日本に金銭的な面で依存しているのも確かです。公式にはODAは停止されましたが、実際はアジア開発銀行経由で、ODA以上の援助が行われているのです。その金額は総額で2兆円とも呼ばれています。日本の領土を奪い取ろうとしている国家に対して、これだけの援助をする必要がどこにあるでしょうか。これらを停止するだけで、中国には相当のダメージが出るはずです。制裁カードを持っているのは中国だけではありません。


遺棄化学兵器事業からの撤退
 今回人質に取られたフジタの社員は、日本が善意で行っている遺棄化学兵器事業を行っている社員でした。この事業の問題性には過去の記事で何度も触れていますのでご存じの方も多いと思いますが、中国軍が遺棄した化学兵器(このうち一部は中国軍が旧日本軍から摂取したもの)を日本が大金を使って善意で処理をするというものです。これは使途不明な施設建設も多く、中国の利益になっていると指摘され大変問題の多い事業です。
 1999年に国際的に合意してしまった事業ではありますが、善意で化学兵器を処理しようとして中国へやってきた日本人を人質に取るとは非常識にも程があります。
 日本は、中国側の謝罪と再発防止策が図られるまでこの事業を停止すると宣言し、撤退すべきです。元々問題の多かった事業ですから丁度良い引き際となります。


国民へ領土問題を浸透させる
 今回の件は、戦後政治最大の失策となりそうですが、唯一の収穫は、中国の脅威と共に、尖閣問題を多くの国民が危険な問題として認識したということです。領土を守るのは国民自身です。国民に領土問題に感心がなければ守れるものも守れません。これを機会に、政府は国民に対して日本の抱える領土問題について広く広報し、認知させるべきです。尖閣だけではありません。もちろん竹島、北方領土を含めてです。今回の件で、他国に配慮して弱腰でいることがどんな結果を生むかはわかったはずです。


 10点挙げました。まだまだあると思いますが、大きくはこんなところでしょうか。日本が尖閣諸島を防衛し、この先チャイナリスクから脱却を図りながら中国と対等な外交を行い、日本が生き残るのに必要な項目ばかりです。

 しかし、現在の民主党政権では残念ながらこのうち1つすら実現する気がしません。



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参考書籍:
終わらない対中援助
古森 義久 青木 直人
4569702678


中国に喰い潰される日本 チャイナリスクの現場から
青木 直人
4569659829