・民主党の母子加算復活は本当に必要なのか ~生活保護額が平均給与より高いこともあるという現実~ | アジアの真実

・民主党の母子加算復活は本当に必要なのか ~生活保護額が平均給与より高いこともあるという現実~

母子加算12月に復活、鳩山・長妻会談で一致:読売
 鳩山首相は19日夜、首相官邸で長妻厚生労働相と会談し、今年3月末で廃止された生活保護世帯の母子加算を12月に復活させることで一致した。


 母子加算は一人親の生活保護世帯に月約2万円を上乗せして支給する制度。

 対象者は約10万世帯と見込まれる。鳩山首相は、「母子加算の復活については全力で取り組んでくれ」と指示した。


  民主党が以前から主張していてた母子加算の復活に関してですが、私はこの件に関して大きな疑問を持っています。「生活保護で困窮している母子家庭に加算されていた23,000円の手当てが自民党によって廃止された。これにより、多くの家庭が子供の高校進学などに困窮している。これを復活させて、生活保護世帯の子供の進学状況などを改善する」民主党により選挙前からこう宣伝され、これだけを聞いた国民の多くは納得・支持しているようですが、これは本当なのでしょうか。少し詳しく調べてみることにします。


 現在の日本の生活保護制度では、都市部では子供二人の世帯には手取りで月27万円が支給されています(子供一人の場合は21万円)。これだけでなく、医療費の完全免除、税金の免除、社会保険料の免除、保育料の免除、学校給食やワークブック代金の支給など、実に手厚い保護を受けています。
 さらに、母子加算の廃止の変わりにと創設された制度では、就学支援として高校生には毎月1万5千円、入学準備金として最大6万1400円が支給されています。それだけではありません。さらに家庭内での教材購入やクラブ活動支援費として、小学生・2560円、中学生・4330円、高校生・5010円が毎月支給されています。この他にも母子加算金の代わりとして、ひとり親世帯就労促進費が創設され、母親が就労している場合、月額3万円以上の収入なら1万円を支給、3万円未満、または職業訓練を受けている場合では、月額5000円が支給されています。
 このように母子加算廃止に伴い、高等学校就学費、学習支援費、ひとり親世帯就労促進費という費用が加算され、場合によっては母子加算の2万3000円よりもさらに多い追加費用を受け取っている生活保護世帯もあるということです。
 つまり、高校生を含む子供が二人いる生活保護家庭では、母子加算がなくても合計で実に月30~35万円程度の支給があり、その上医療費や税金などの一切が無料なのです。仮に月30万円とすれば年360万円。手取額で言えば、年収500万程度の給与所得者と同じくらいになるでしょうか。ちなみに日本の給与取得者の平均年収は460万円程度です。子供が二人いる母子家庭の生活保護世帯は、日本の給与所得者の平均以上の収入を得ていることになるわけです。しかも民主党はここからさらに月2万3000円を加算しようとしています。

 日本には、同じ母子家庭で生活保護を受けないで必死で働いている家庭で、それ以下の収入で生きている家庭もたくさんいることでしょう。なぜそういう家庭ではなく、生活保護世帯のみをこれほど厚遇しなければならないのでしょうか。働けるにも関わらず、失業中などの理由で生活保護を受けている世帯が手厚すぎる生活保護を受け続ければ、働かないほうがマシということになり、就労意欲を奪う大きな原因となるでしょう。

 生活保護世帯の中には、ただ単に働いていないというわけではなく、障害者など働きたくても働けないという世帯がいるのも事実です。また、支給条件などによっては本当に生活するのがやっとで、困窮している世帯もいるのも事実だと思います。そういう家庭を冷遇せよとは確かに言い難いですが、保護を受けることなく必死で働いている世帯が、生活保護を受けている世帯より遥かに厳しい生活を強いられているという現実もまた事実なのです。実際、2004年の調査でも食費や被服費、光熱費などの支給額が、生活保護を受けていない一般の母子家庭の平均的な消費水準を上回るという結果が出ています。
 
 政府がすべきなのは生活保護家庭への母子加算復活ではなく、必死に働いているのに生活保護水準を下回る生活をしている、生活保護を受けていない母子家庭への支援ではないでしょうか。そして、なくならない生活保護費の不正受給事件。本当に必要な人に行き渡らず、必要ない人にお金が回る仕組みを建て直すことが率先してやらなければならないことです。


 それでもどうしても強行するというのであれば、母子加算の代わりとして支給されている高等学校就学費、学習支援費、ひとり親世帯就労促進費は全廃すべきです。母子加算との二重取りではあまりにも過保護すぎるといわざるを得ません。そして、生活保護を受けていない母子家庭との差はさらに酷い開きとなるでしょう。
 私はこの事実を鳩山首相が理解しているのか甚だ疑問です。もし少しでも理解していれば、十分な議論や調査もなくして12月からすぐにでも復活などという指示が出せるわけがありません。

 「生活保護の母子家庭世帯への母子加算金の復活」こう言えば聞こえがいい政策ではありますが、子供手当てや高速道路無料化と同じように、真実を知ればその実効性や有効性に非常に疑問を感じずにはいられない政策の一つです。体裁だけの政策を続けていけば、いずれこの国は立直り不能となるでしょう。やらなければならないことは他にあるはずです。
 


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参考書籍:


働けません。―「働けません。」6つの“奥の手”
4883204073