・福田首相の北京五輪開会式出席が決定 ~出席して得るものは「貸し」ではなく「中国への譲歩」~
福田首相 北京五輪開会式出席へ:産経
政府が8月8日の北京五輪開会式への福田康夫首相の出席を内定したことが3日明らかになった。複数の政府関係者が明らかにした。滞在中、米ブッシュ大統領や中国の胡錦濤国家主席らとの会談を検討している。この問題では、すでに天皇、皇后両陛下をはじめ皇族方の出席見送りが決まっており、中国側が求める元首・首脳級の出席者をだれとするかが焦点だった。首相は、5月の胡主席来日時にも「事情が許せば前向きに検討していく」と、意欲を示していた。海外開催の五輪開会式に日本の首相が出席するのは、1988年のソウル五輪の竹下登首相(当時)以来、20年ぶり。北京五輪開会式をめぐって、中国は各国の元首級を招聘してきた。昨年1月には、日本政府に非公式に皇太子ご夫妻の出席を要請。同年4月、来日した温家宝首相が天皇陛下と会い、「ぜひ、陛下と皇族の方々においでいただきたい」と述べた。だが、外務省も宮内庁も「五輪は政治的イベントであり、皇室の政治利用になる」(外務省幹部)と消極的だった。さらに、今年になって未解決の中国製ギョーザ中毒事件やチベット騒乱もあり、現在では「皇族のご出席はありえない」(政府筋)状況だ。
一方、福田首相は以前から出席に前向きだった。「皇族以外で中国が満足するのは福田首相しかいない」(政府関係者)との見方もあり、政府内には、「中国に貸しをつくり、いろんな懸案で譲歩を引き出すべきだ」(外務省幹部)と、開会式出席を外交上利用すべきだとの意見もある。しかし、ギョーザ問題やチベット騒乱で及び腰の姿勢が目立つ福田首相の出席には、自民党内から「国民は喜ばないし、世界の笑いものだ」(3役経験者)という厳しい声も出ている
以前も書きましたが、オリンピックの開会式に出席することで中国へ「貸し」ができるなどと本気で考えているようでしたら、とんだ外交オンチだと言わざるを得ません。
オリンピックの開会席出席というカードは、「貸し」ではく「無条件の譲歩」という意味しか持ちません。毒餃子問題、チベット問題、ガス田問題などなど、山のようにある二国間の懸念事項について何の解決もしておらず、むしろ中国側の一方的な攻撃や実力行使に反論もできないでいる立場である日本が、言われるままにのこのこと出かけていくなど、「すべてにおいてあなたに譲歩します」と言っているも同じです。
もし行くのであれば、餃子問題やチベット、ガス田問題などで相当の譲歩を先に引き出してから、その対価として行くくらいの条件が必要でしょう。何もせずにヘラヘラと参加してから、中国が「こないだはどうも」と譲歩してくるに違いない。などという甘い考えが政府内にあることにはあきれてしまいます。中国という国がまったくわかっていないと言って良いでしょう。
自民党三役経験者の「国民は喜ばないし、世界の笑いものだ」という声に同意します。

異形の大国 中国―彼らに心を許してはならない
櫻井 よしこ