・中国がアメリカに太平洋の東西分割管理を提案 ~表に出た中国の戦略的海洋進出~ | アジアの真実

・中国がアメリカに太平洋の東西分割管理を提案 ~表に出た中国の戦略的海洋進出~

中国、太平洋の東西分割提案か 米軍は拒否:産経
 17日付の米紙ワシントン・タイムズは、キーティング米太平洋軍司令官が最近訪中して中国軍事当局者と会談した際、中国側が、太平洋を東西に分割し東側を米国、西側を中国が管理することを提案したと報じた。米側は拒否したという。提案の詳細には触れていない。

 米太平洋空軍のへスター司令官は「空間を誰にも譲らないのが、われわれの方針だ」と記者団に述べ、西太平洋地域を米軍の影響下に置く必要性を強調した。

 米政府内の親中派の間では提案に前向きな受け止めもあったが、国防当局は西太平洋の覇権を中国に譲り渡す「大きな過ち」だと主張。日本などアジアの同盟国との関係を台無しにしかねないとして断ったという。(共同)

 

 この報道、真実かどうか定かではありませんが、もし真実であったとしたら日本やアメリカにとっては衝撃的な内容です。中国が太平洋の奥深くまで進出できる軍事力を整備していることは明らかでしたが、その支配欲を公式に表明したのは初めてのことではないでしょうか。

過去に当Blogでも何度か中国の太平洋進出の計画を話題にしています 。中国は手始めに第一列島線と言われる、日本・台湾・フィリピンを結ぶラインを掌握し、その後で小笠原、グアム、サイパンまでを結ぶ第二列島線といわれるラインを掌握するという海洋軍事戦略を明確に打ち立てています。今はまだ第一列島線までも確保できていない段階であり、それは中国の海軍力がまだこの地域の敵対軍事力、つまり日本、アメリカ、台湾よりも劣っているからです。しかしながら、空母の保有を含めて空、海の軍事力を急ピッチで増強しており、虎視眈々とそのライン確保を狙っているのは明らかです。




中国海洋戦略



 しかしながら今回のニュースだと、太平洋を東西に分割し、その西側を中国が管理するとなっており、第一列島線どころか第二列島線、もしくはそれ以上の範囲を掌握しようとする意図が明確に見えます。さらに、現在においては実質的に太平洋を軍事的に掌握していると言っても良い米国へこの話を持ち出したというところにもポイントです。米国とすでに対等である、もしくは今後対等になるという絶対的な計画に裏付けられた自信でもあるのでしょうか。軍事力としてだけではなく、世界の中での中国という存在自体がここにアピールされているような印象も受けます。

 実際にはまだこの報道が真実かどうか、そして詳細までも不明な為なんともいえませんが、この報道からは以下の3点が読み取れます。


・中国が太平洋奥深くまでを掌握しようとする海洋戦略を公式に表明した。

・旧西側でもなく旧東側でもない、独自の世界戦略を持った中国という存在のアピール。

・その中国という存在は太平洋を米国と分割統治できるほどの強力な力があることのアピール。


 アメリカが拒否することはほぼ確実であり、日米の安保体制の再編が進められている最中にこのような提案をしてきた中国の意図は不明ですが、アメリカの親中派には肯定的な意見もあったというのにも驚きです。日米関係がもし今ほど強固でなかったら、アメリカがこの提案を受け入れ、日本は後ろ盾を失い、完全に中国の勢力下に飲み込まれるという構図もあり得ないわけではないと考えると、日本は今後の防衛戦略、外交戦略、そして日米の連携などを、このような中国の海洋軍事戦略が存在していることを念等に本気で考えていく必要があります。

 

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参考書籍:

中国は日本を奪い尽くす
平松 茂雄
4569690009


中国の戦略的海洋進出
平松 茂雄
4326351268