・海洋権益保護関連法案が成立 ~法律の制定だけでは意味を成さない~ | アジアの真実

・海洋権益保護関連法案が成立 ~法律の制定だけでは意味を成さない~

海洋基本法が成立、海洋権益めぐり一元的に政策推進:読売
 国の海洋政策を一元的に進めるための海洋基本法が20日午前の参院本会議で自民、民主、公明、共産、国民新の各党の賛成多数で可決、成立した。

 海洋政策全般に関する初めての法律で、7月にも施行される。海底資源などの海洋権益をめぐって、日本が中国や韓国など周辺国の後手に回っている現状を踏まえ、首相主導で海洋政策を戦略的に進めることを目指している。法律の柱は、首相を本部長とする総合海洋政策本部や「海洋相」の新設、海洋政策の基本方針を盛り込んだ海洋基本計画の策定など。

 海洋政策は、国土交通、農林水産、経済産業などの各省にまたがり、これまでは総合調整する機関はなかった。総合海洋政策本部は、海洋政策の「司令塔」として各省庁との総合調整を行う。「海洋相」は、同本部の副本部長として首相を補佐する。

 政府は海洋基本計画を策定し、排他的経済水域(EEZ)の開発、安定した海上輸送のための船舶や船員の確保、海上の安全確保、海洋環境の保全などを図る。

 同法は、自民、民主、公明3党がまとめ、衆院国土交通委員長が提案する形を取った。政府・与党内では、「海洋政策相」を国土交通相が兼務する案が検討されている。

 一方、海底資源開発に対する外国などの妨害を排除するための海洋構築物安全水域設定法も20日の参院本会議で可決、成立した。同法は、日本のEEZ内の試掘やぐらなどの周辺に、半径500メートルの「安全水域」を設定し、許可のない船舶の侵入を禁じる。中国のガス田開発が進む東シナ海で、日本企業が試掘を安全に行う環境を整える狙いがある。


 アメリカで起きた銃撃事件などの報道に隠れてあまり目立ちませんでしたが、20日に重要な法案が2つ成立しました。これで中国との争いになっている東シナ海のガス田問題などで、日本が首相主導で戦略的に調査・開発を進める下地がやっとできました。これまでは同種の法律はなく、唯一この問題に憂いを感じた元経済産業省大臣であった中川氏が独自の調査船を派遣するなどの個別の対応に留まっていました。しかしそれも中川氏から二階氏などの親中派の議員に代わった時点でストップしてしまい、進展どころか後退の一途を辿るのみであり、日本が何もしない間に中国が遂に生産を開始してしまうという情けない状態に陥っていました。しかしこの法律ができたことで、経済産業省大臣が進中派であろうが、海洋権益保護の為に首相主導で各省庁を連携させ、動くことができるようになります。さらに二つ目の海洋構築物安全水域設定法というのがさらに重要で、この法律があれば民間企業が海上で作業する際に、海保などの保護をつけることができ、中国が軍事力を持って日本の活動を妨害しようとしたときに、しかるべき対応をすることができるようになります。


 この法律は、2004年5月に東シナ海油田問題が持ち上がった直後から、武見敬三議員を座長とするワーキングチーム、桝添議員の提案でできた「海洋権益関係閣僚会議」が提唱していたものが元になっています。提案から法律の整備まで約2年。この間に日本側の具体的進展はなし。中国は生産開始までこぎつけています。遅すぎる対応だと言わざるを得ませんが、今までの日本の姿を省みれば、よく2年で法律の整備まで終えたとも言えるのかもしれません。


 東シナ海ガス田開発に関しては、先日の温家宝首相との首脳会談の結果、今年秋までには何らかの共同開発に関する報告をすることに決まりました。7月からの施行でこれに間に合うのか疑問ですが、法律整備が遅くなったのを取り戻すように早期の対応がなされることを希望します。せっかく2年もかけて作った法律です。有効に使わなければ意味がありません。

 

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参考書籍:
東シナ海が危ない!
上田 愛彦 杉山 徹宗 高山 雅司
4769813309


中国は日本を奪い尽くす
平松 茂雄
4569690009