・6カ国協議は北朝鮮の回答が焦点に ~核施設放棄の見返りを渡すのは間違っている~ | アジアの真実

・6カ国協議は北朝鮮の回答が焦点に ~核施設放棄の見返りを渡すのは間違っている~

6か国協議、2国間会合開く…北朝鮮の回答焦点:読売
 【北京=瀬口利一、黒見周平】北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議は5日目の12日、北京の釣魚台国賓館で、議長国・中国と北朝鮮、米国など各国との2国間会合が開かれた。

 各国とも同日が今協議で合意を達成するための最終期限と見なしており、北朝鮮が協議難航の原因となっている「法外な」(協議筋)なエネルギー支援要求を大幅に緩和するかどうかに注目が集まっている。

 ロシアのインターファクス通信は、北朝鮮が同日の協議で、エネルギー支援要求をさらにつり上げる一方、他の5か国がこれを受け入れれば、核施設の「解体」に応じるとの新たな提案を出したと伝えた。事実とすれば、核施設の「解体」をあえて持ち出すことで、エネルギー支援要求の正当性を主張するとともに、合意に失敗した場合の責任を回避する狙いとみられる。

 同通信によれば、北朝鮮は、核施設を「凍結」する場合は年間50万トンの重油と同200万キロ・ワットの電力、「解体」なら同200万トンの重油と同225万キロ・ワットの電力を要求したという。

 中国が当初提示した合意文書の草案では、北朝鮮は「初期段階の措置」として、寧辺の5000キロ・ワット実験炉など核施設の稼働停止・封印、国際原子力機関(IAEA)による監視などを受け入れる、となっている。

 日本首席代表の佐々江賢一郎・外務省アジア大洋州局長は協議開始前の同日午前、宿舎のホテルで記者団に「今日はおそらく最終日になるだろう」と述べた。

 米国首席代表のクリストファー・ヒル国務次官補も同日午前、交渉の成否は「北朝鮮がどのように返答してくるかにかかっている。北朝鮮は決断する必要がある」と強調した。


 大詰めを迎えている今回の6カ国協議ですが、焦点は核施設を凍結、または解体することでの”見返り”をどの程度にするかという段階になっています。しかし、私はこの解決方法自体が間違っていると考えています。もしこれを許せば、核兵器を開発すれば特別な制裁を受けることなく、逆に莫大な支援を世界中から受けることができるという間違った”前例”を作ってしまうことになります。

  イラクは禁止されていた大量破壊兵器保持の疑いをかけられ、その結果徹底的な軍事攻撃をされて国自体をを潰されました。しかし北朝鮮は拉致という国家犯罪を犯しながらもその大部分を未だに隠そうとし、さらには核兵器を実際に開発し、保持宣言を行い、運搬手段である弾道ミサイルを実際に発射して見せるというとんでもない行為を行いながら、傷つくことなく逆に莫大なエネルギー支援を獲得できる。この差は無茶苦茶です。この甘い前例に味をしめ、北朝鮮が再び問題を起こすことはないという保障はありません。さらに第2、第3の北朝鮮が現れないとも限りません。

 今回行うべきは核施設破棄の見返りに多大な支援を行うのではなく、「そういうことをすると痛い目を見るぞ」ということを理解させることです。何もイラクと同じように徹底的に空爆を行い国自体を崩壊させよとは言いません。今以上の徹底的な経済制裁を行うことで、軍事攻撃と同等のダメージを与えることもできます。北朝鮮の現状からすれば、今以上の経済制裁は国の崩壊にも直結し、北朝鮮はそれを最も恐れているはずです。なぜそれができないのか。アメリカ主導で流れている世界の動きの中、アメリカにとって旨みのない地域である為にイラクとはあまりにかけ離れた対応がなされるのかも知れませんが、日本としても世界としてもこの結果を許してはならないと私は考えています。本来日本はこの問題に対してはアメリカに追随するのではなく、昨年の国連における制裁決議案採択時のような強烈なリーダーシップ を取ってこの問題を主導する立場になる必要があります。すぐ隣に住む悪人に飴を与えることで後々困るのは日本です。



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参考書籍:

朝鮮半島「核」外交―北朝鮮の戦術と経済力
重村 智計
406149869X


北朝鮮の不思議な人民生活―他では見られない貴重写真満載で綴る、北朝鮮人民の〈衣・食・住〉
4796654895