・憲法改正を参院選の争点に ~保身よりも日本の未来の為に~
首相年頭会見、憲法改正を参院選の争点に:産経
安倍晋三首相は4日午前、首相官邸で年頭の記者会見を行い、憲法改正について「私の内閣で憲法改正を目指したいということは、当然、参院選でも訴えていきたい」と述べ、夏の参院選の争点に位置付けて戦う考えを明らかにした。また、「自民党総裁として、常に勝利を勝ち取る気概で臨まないといけない。正攻法で実績を残すよう全力を尽くす」とも強調。衆院選挙との同日選挙に踏み切る可能性については「現在、全く考えていない」と否定した。
消費税の税率見直しについては「抜本改革について秋に議論しなければならない。スケジュールは参院選でもよく説明する」とし、参院選の争点にしない考えを示した。
憲法改正に必要な手続法である国民投票法案については「与野党間で議論が深まることを期待したい」と語り、今月25日に召集される通常国会で、与野党合意の上での成立に強い期待感を示した。
首相はまた、社会保険庁改革について「約束通り社会保険庁は廃止、解体、6分割し、徹底した合理化を図る」と述べ、通常国会で改革関連法案の成立を期す考えを示した。内閣の最重要課題として掲げている教育再生については「改正教育基本法の上に立ち、具体案を責任をもって取りまとめる。必要な法改正はこの(通常)国会に提出する」と述べた。
対北朝鮮政策では「拉致問題の解決なくして日朝の(国交)正常化はないという基本的な考え方に変わりはない」と改めて強調。「粘り強く、かけるべき圧力はかけながら、機会を得て対話によって解決していかなければならない」と述べた。 少子化対策は「本格的な戦略を打ち立てる」と語った。
◇安倍首相の年頭記者会見要旨は次の通り。
【冒頭発言】今年を「美しい国づくり元年」としたい。参院選が今年予定されているが、正攻法で着実に実績を残すことに全力を尽くす。
【憲法改正】国際社会で平和に貢献するために、時代に合った安全保障のための法的基盤を再構築する必要がある。集団的自衛権の問題を含め、憲法との関係の整理について個別具体的な類型に即して研究を進める。国民投票法案は与野党で議論が深まることを期待したい。わたしの内閣で憲法改正を目指したいと、当然、参院選でも訴える。
【参院選、衆参同日選】常に勝利を得るために全力を尽くすという決意で臨みたい。(衆参)同日選挙は現在のところまったく考えていない。
【教育再生】教育の再生は私の内閣の最重要課題。改正教育基本法の上に立ち、教育再生会議で具体的な論議が始まっている。具体的な案を私が責任をもって取りまとめていく。必要な法改正は、この通常国会に法案を提出する。
【社会保険庁改革】国民から信頼される社会保障制度を構築する。社会保険庁は廃止、解体、6分割し、徹底した効率化を図り、国民から信頼される組織に変えるために必要な法案をこの国会に提出し成立を期す。
【経済】景気回復を家計にも広げたい。国民が景気回復と構造改革の成果を実感できる年にしたい。
【北朝鮮問題】6カ国協議が早い時期に再開されることを望む。北朝鮮は6カ国協議で国際社会の懸念に答えなければならない。すべての拉致被害者の生還を目指すことに変わりない。粘り強く、かけるべき圧力をかけながら、機会を得て対話で解決しなければならない。
【少子化対策】安心して結婚し、子供を産み育てることができる日本社会にしなければならない。少子化に対抗するために本格的な戦略を打ち立てる。
年頭挨拶にて、安倍首相は憲法改正について自らの任期中に成立を目指すことを先月に引き続き再び明言しました。決意が固いことが伺えます。今回は参院選の争点にすることについても言及したとのことですが、参院選の争点とするのは、正直諸刃の剣とも言えます。小泉首相は自らがかねてから最大の公約に掲げていた郵政民営化を選挙の争点にし、結果見事大勝し、法案を通したのみならずその地盤を確固たるものにしました。憲法改正を争点にした場合、同じく大勝できれば、憲法改正は今後容易に進む可能性が高く、安倍政権の地盤も確かなものになるでしょう。しかしながら、まだ世論に「憲法改正」という土壌ができておらず、選挙で国民の同意を得られなかったとしたら、憲法改正は時期尚早として成立が遠ざかり、さらに参院選で安倍政権の存続さえ危うい状態になる可能性もあります。
しかし、それでも私は参院選の争点にすることには賛成です。以前は言葉にすることさえタブーであった憲法改正の議論も、今や当然の議題の一つになっています。内容はどうであれ、テレビで特集を組まれることも少なくなくなってきました。またマスコミ各社が行う世論調査でも、改正に賛成であるという答えが反対派を上回ることも度々あります。ベストの時期かどうかはわかりませんが、機は熟し始めています。保身の為に大事をとって信念を曲げたり、時期を逃したりする宰相であれば、私は安倍首相には失望します。
夏の参院選までにはまだ時間はあります。それまでにさらに世論を説得できるような議論や体制を整えて欲しいと思います。難関ではありますが、悪しき戦後体質からの脱却を図る上で最大の関門である憲法改正を是非とも成し遂げて頂きたいと思います。
参考書籍:
気高く、強く、美しくあれ―日本の復活は憲法改正からはじまる櫻井 よしこ

安倍晋三対論集―日本を語る
PHP研究所 ピーエイチピー研究所=