・日本主導で対北朝鮮制裁を各国へ呼びかけ ~ミサイル発射は日本を変えたか~
政府、対北朝鮮金融制裁発動へ 各国にも連携呼びかけ:朝日
政府は、北朝鮮に対する送金規制などの金融制裁を発動する方針を決めた。各国にも連携を呼びかけ、週明けにも改正外為法発動の手続きを始める。国連決議は加盟国に制裁措置を義務づけてはいないが、ミサイル関連資金流入の阻止などで有志国による制裁の道を開いており、「有志国連合」による包囲網づくりを加速させたい考えだ。外務省や金融庁など関係省庁は16日、担当課長による協議を開き、具体的な制裁措置の検討に入った。
政府は5日のミサイル発射直後、北朝鮮の貨客船、万景峰号を半年間入港禁止にする制裁を含む9項目の対応措置を発表した。今回の金融制裁は追加的な措置となる。
採択された国連決議は中国やロシアの反対によって制裁の根拠となる「国連憲章第7章」や「脅威」という文言が削除された。ただ、ミサイルや関連物資、技術、資金の移転供給などを阻止するよう加盟国に「要求する」という表現になり、加盟国の任意に基づく制裁行動を可能にした。
改正外為法の発動で、(1)送金停止(2)資産凍結(3)輸出入停止などの制裁が可能。うち送金停止や輸出入停止は閣議決定と事後の国会承認が必要で、送金報告義務の強化は財務省令の改正で対応できる。日本単独の制裁では第三国を経由した抜け道が残るとの指摘があるため、政府は決議採択を踏まえ各国に同様の措置をとるよう呼びかける方針だ。
結局、北朝鮮への制裁決議は国連憲章7章への明言が省かれた妥協案で収まりましたが、それでも中露の議長声明に止めようとする工作に対し、ここまで強い外交が行えたのは評価すべきことだと私は考えています。これまでの日本の外交態度であれば、中露の工作に負け、議長声明でお茶を濁されて終わっていたかも知れません。最初に強い内容の決議案を提出し、途中一歩も引かない強い態度を見せ、最終的に多少妥協はしたものの、最後はしっかりと実を取った。中露も13か国が賛成している決議案に拒否権を使い、国際社会で孤立するという事態は避けたかったはずです。そこも読んだ上で強く出た日本。中露という大国相手にひるむことなく、堂々とした態度で望んだ今回の外交は及第点だったと思います。国際社会の中でも、お金だけ持っているが行動力が伴わない頼りない国という、日本のイメージも変わったのではないでしょうか。
決議案は採択されましたが、今後が大事です。決議案には制裁を加盟国に要求することができるとあります。北朝鮮に対して日本がリーダーシップを取って制裁を発動できるか。ここでも日本の外交手腕が問われます。上記の記事を見ると、既に日本は具体的に動きだそうとしており、この点も大いに評価できると思います。決議案での奮闘だけではなく、この後の動きで、世界の日本に対する評価もまた違ってくるはずです。
皮肉なことに、北朝鮮のミサイル発射が、戦後60年間事なかれ主義を貫いてきた日本の外交を方向転換させ、また国際社会における日本の地位を向上させるきっかけとなるかもしれません。
参考書籍:
「反日」の超克 中国、韓国、北朝鮮とどう対峙するか
西村 幸祐
この国を守る決意
安倍 晋三 岡崎 久彦