・北朝鮮がテポドン2号を今週末に発射か ~その前に日本がすべきこととは~
安倍晋三官房長官は16日午前の記者会見で、北朝鮮が弾道ミサイル「テポドン2号」を今週末にも発射する可能性があるとの一部報道について「認識も含めて情報に関することなのでコメントを差し控えたい」と述べた。これまでの「現時点では、ミサイル発射が差し迫っているとの認識を持っているわけではない」とのコメントから表現が変化しており、政府として警戒感を強めていることを示唆した。
安倍氏は「北朝鮮は02年9月の日朝平壌宣言でミサイル発射のモラトリアム(凍結)を表明し、04年5月の第2回日朝首脳会談で再確認している。ミサイルが発射されれば、日朝平壌宣言に違反した行為だ」と北朝鮮をけん制した。【犬飼直幸】
先月中旬頃から発射の兆候が見られているとの報道がありましたたが、その動きがここ数日で活発化しているようです。北朝鮮が実際に発射するかどうかは不明確ですし、発射したとしても実験が目的であり、どこかの国に攻撃をしようとするものではないと思われますが、日朝平壌宣言に明らかに違反しており、またアラスカ州などのアメリカ本土へも到達できる射程を持つテポドンの発射は、日本のみならずアメリカにとっても重大な脅威になり得ます。
北朝鮮にとってミサイルを発射する、または発射する素振りを見せることのメリットは二つ有り、一つは日本全土及びアメリカの一部まで到達できるミサイルの完成という軍事的な意味と、もう一つはミサイルを発射するぞという脅しにより、外交上有利なカードとする政治的メリットです。
安倍官房長官は、機密情報であることを理由に「コメントなし」としていますが、本来日本が行わなければならないのは、その行動は北朝鮮自らの首を絞めることを理解させ、発射を阻止することです。その為には、日本から”圧力”も必要であり、「コメントなし」ではなく、「日朝平壌宣言に違反しミサイルを発射するならば、相応の制裁を受けることになる」や、若しくは「経済制裁を実施する」等の具体的制裁内容について言及するなどすることが必要ではないでしょうか。また、言葉だけではなく、発射が行われた際にすぐに実行に移せるように、準備を進めることも大事です。先に打ち上げた偵察衛星からの情報を集めて分析をするのは結構ですが、分析だけしてあとは指をくわえて発射を待つ。発射されてからお決まりの「遺憾である」というコメントを残すだけでは、偵察衛星も何の意味もありません。情報とはそれを活用して初めて意味を成すのです。
差し迫った危機に対し傍観するのではなく、有効な外交戦術を展開してくれることを望みます。
参考書籍:
北朝鮮のミサイルは撃ち落とせるのか
中冨 信夫