・再開されたODAに対して感謝ではなく批判を展開した中国 ~方向性を見失っている対中外交~
中国への円借款の実施が決まったことに関連して、中国外務省は円借款が一時凍結されたことに対し、改めて不快感を表明しました。
政府は凍結していた2005年度の中国への円借款を前年度より120億円減らして、約740億円で実施することを決定しました。これについて、中国外務省の劉建超報道官は「円借款は本来、中日関係の積極的な要素だが、日本の一部の人物が騒いで、敏感な問題にしたのは残念だ」と述べました。その上で、「こうしたやり方は両国のためにならない」として、円借款が一時凍結されたことに対し、改めて不快感を表明しました。
劉報道官は「日本が中日関係を重視するのは歓迎するが、重視するだけでは不十分だ。関係改善のため、具体的に誠意ある行動を取るべきだ」と指摘しました。
先日の記事にて、日本は中国側から何の譲歩も引き出していない今の段階で、ODAを再開すべきではない。もっと戦略的に行うべきであると、日本の対応を批判する記事を書きましたが、タダでODAを再開してもらった中国側から返された言葉は、感謝ではなく驚くべき事に日本へ対する批判でした。
「日本が金を出すのは当然。金を出さなければ日本と関係改善などするわけがない。」結局中国の本音はそこにあるのです。今回は、「そんな横暴な態度を続けていたら日本は経済援助などしない。金が欲しければ態度を改めなさい」というカードとして使えたのに、日本はそれをしませんでした。その結果中国に与えたものは恩などではなく、”ちょっと脅かせばやはり日本は譲歩するのだ”という再認識だったのです。
関係改善のため、具体的に誠意ある行動を取るべきだ」この最後の言葉が全てを物語ります。つまり、「日本は中国と仲良くしたければ、金を出し、あらゆる譲歩を中国に対してすべきだ」という意味です。以前も書きましたが、日本が行わなければならないのは、”現状の態度を続けていては、結果的に困るのは中国の方だ”ということを理解させることのはずです。現在、日本の対中外交は完全に方向性を見失っています。
参考書籍:
中国は日本を併合する
平松 茂雄