・中国遺棄化学兵器事業の実態  ~負の遺産を引き継いだ我々がすべきこと~ | アジアの真実

・中国遺棄化学兵器事業の実態  ~負の遺産を引き継いだ我々がすべきこと~

ハルバ嶺 進まぬ遺棄化学兵器処理 中国、国内調整が難航  地元対策?軍の意向?:産経

 旧日本軍が中国に化学兵器を遺棄したとされる問題で、その処理が本格化していない。事業主体をどうするかで中国側と合意できないためだが、日本側には事業費が巨額に上ることを中心とした中国側への不満もある。化学砲弾の約九割が埋設される中国・吉林省ハルバ嶺の現場を初めて取材した。(田中靖人)

≪400億円超の成果?≫

 ハルバ嶺は中国・北朝鮮国境から西、約二百キロにある。取材は四月三十日、超党派の国会議員団「日中新世紀会」(遠藤乙彦会長)の視察に同行する形で行った。

 中国延辺朝鮮族自治区の中心地、延吉市から車で三時間、現場に向かう十数キロのアクセス道路を進むと、湿地の先に小さな丘がある。周囲には一般者の侵入を防ぐフェンスが設置され、入り口には兵が監視。中はシラカバなどで覆われていた。

 やがて土がむき出しになった二カ所の埋設現場に着いた。それぞれ二十五メートルプールほどの広さで深さは十メートルくらいという。マスタードガスなどが入った75ミリ砲弾や90ミリ迫撃砲弾などが埋められ総数は推定三十三万発。中国側が一九五一-五八年、周辺地域から集めて埋めた。

 埋設場所から車で数分の場所に、予備調査で発掘・回収した砲弾約千四百発の仮保管庫があるが、このほかの施設はプレハブの見張り所と二カ所の気象観測所のみ。日本は平成十一年度から、調査やアクセス道路建設を含めて事業に四百億円超を投じているが、視察した議員の一人は「本当にそれほどの予算がかかったのか」と不審がった。

≪現地で口論≫

 事業計画では(1)発掘(2)回収(3)保管(4)爆破燃焼処理(5)中央管理-の五施設を別々に建設する予定だが、伐採や造成などの工事は手付かずだ。建設費用は発掘・回収施設だけで約九百七十億円。これ以外の施設や処理過程で生じたヒ素の最終処分場建設費などの費用総額は未確定で、国会では一兆円規模とも指摘される。

 中国にも事情がある。現地視察の途中、ハルバ嶺にある林百七十ヘクタールを伐採するため地元補償が必要だという説明に対し、日本の議員は「伐採面積が広すぎる」と反論。同行した内閣府の高松明遺棄化学兵器処理担当室長も「具体的な数字は交渉中だ」と費用が一方的に膨らむことに異論を唱えた。これに対し、同行した中国側の実務責任者、劉毅仁外務省遺棄化学武器問題弁公室主任(室長)が日本語で声を荒らげた。

 「(日中交渉は)こじれてるよ。(日本は費用を)払いたくないんだから」

 劉氏は「作業効率から施設周辺の伐採も必要」と訴えたが、地元の「犠牲」「努力」に何度も言及する姿勢には地元への強い配慮がうかがえた。事実、敦化市の徐永江市長は議員団に対し「(遺棄化学兵器は)市の社会発展と経済建設にも重大な影響を及ぼしている」と暗に補償を求めた。

 ある議員は「毒ガス漏洩などの危険性を考えると処理施設は原発級の迷惑施設だ」と理解を示したが「事業費を地元対策に使うなら、明示すべきだ」と透明さを求めた。

≪主張の裏側は≫

 日中両政府は「日中連合機構」を設立してハルバ嶺での処理にあたることを確認しているが、いまだに具体化していない。これまで日本側は、ハルバ嶺以外で発見された少量の砲弾を発掘回収する小規模事業を民間の「遺棄化学兵器処理機構」に委託しており、ハルバ嶺事業でも効率性などの観点から同機構を活用したい考え。だが、中国側は民間中心の事業運営に拒否反応を示す。

 劉氏は視察中、「民間会社に任せて事故が起きたら誰が責任を取るのか。(処理を)どうして政府の公的機関にしないのか」と訴えたが、その背景には、実際の発掘回収作業で連携する人民解放軍や他の政府機関の意向がありそうだ。


 当Blogで何度も取り上げている問題ですが、産経新聞が現地取材を行ったようですので紹介します。以前も書きましたが、本来これらの化学兵器を日本が処分しなければいけない法的根拠はないのです。中国にある遺棄化学兵器処理は、中国が戦後日本から摂取したものである上、ソ連製など日本製以外のものも多数含まれています。化学兵器禁止条約によると、

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・「自国が所有し若しくは占有する化学兵器又は自国の管轄若しくは管理の下にある場所に存在する化学兵器を廃棄する」(第1条2項)

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とあります。つまり現時点においてはこれらの化学兵器の所有権は中国にあるわけですから、本来中国が廃棄義務を負います。この点について、「正論6月号」に戦後の兵器の引渡し書が残っていたことがスクープされています。


 しかしながら、平成7年、当時の首相であった村山富一氏と外相であった河野洋平氏が、上記のような調査をすることなく、「全てを日本の責任、費用において処理を行う」という内容の、無責任極まる覚書を中国と締結してしまった為に、今日のような問題が起こっています。中国はこれを利用し、中国軍や共産党に流れていると言われる莫大な設備費、人件費、補償費など(実際は1日あたり1人10ドルといわれる人件費も、中国当局からの請求は100ドルを超えている他、不必要なヘリポート、プール付きの豪華宿舎等、数え上げれば切がありません)を要求しており、その金額は1兆円規模というとんでもない数字に膨れ上がっています。

 結局、この問題は中国が歴史問題をネタに日本をゆすり、それに対してただただ頭を下げ続けることで事なかれを貫いてきた日本の土下座外交に対する大きなしっぺ返しの最たる例だと言えると思います。(村山元総理が先日叙勲を受けたそうですが、テレビで、最近若者に偏ったナショナリズムが広まり、アジアを軽視した憲法改正に向けた動きが活発化していることに憂慮するといった内容の対談を筑紫氏と誇らしげに行っていましたが、このような大きすぎる負の遺産を後の若者達に残したことについてどう考えているのか一度聞いてい見たいものです)

  

 ”日本が中国に遺棄した化学兵器を処理する事業”と何も知らない人が聞けば、日本が過去の戦争で行った当然やらなければならない清算の一つだと思い込む方も多いと思いますが、その実態を調べれば、実は日本に処理義務などなく、中国が日本から金を搾取する格好の口実となっており、しかもそれが現在進行形で行われているというのが真実です。

 私は国際法上は日本に処理義務がないとは言え、中国大陸で化学兵器を保有していたのは事実であり、当時の村山政権が覚え書きを締結している以上、納得できないとはいえ、ある程度の義務を負うのは仕方がないと思っています。しかし、中国当局に搾取されるような形では絶対に行ってはいけないのです。この問題に関しては、もっと我々日本国民が関心を持ち、追及すべきです。(メディアではこの問題を最初に提起した産経のみが、その後も何度か追記事を書いており孤軍奮闘している様子で、その報道を受けた形で幾度か国会質問も行われてるようです) 今回の産経の記事では、日本側は中国の言いなりになることなく、しっかりと主張を行っているように書かれてはいますが、「400億も本当にかかっているのか疑問」という言葉にある通り、まだまだ改善の余地はあるはずです。また、「話し合いはこじれている。日本がお金を出したくないからだ」と中国側が声を荒げたとありますが、本来日本が払う必要がない上、遺棄化学兵器処理という名を借りた中国当局の搾取に対してお金を払いたくないのは当たり前です。

 事業規模に関しては中国のいいなりになることなく、しっかりと事前調査を行って適正な規模に留め、不透明、不必要な施設は絶対に作らず、現地労働者に関しては日本が直接雇用とするなどして中国当局の搾取を防止し、また関連業務には日本企業を積極的に使用することで、その大きな金額を日本に還元するなどといった内容を、我々国民が関心を持って監視する必要があります。

  以前の政権が残した大きな負の遺産ですが、我々の力で少しでもマイナス規模を縮小させ、適正な形へ戻していくことが、未来の日本の為の、現在の日本の使命です。


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参考書籍:
正論 2006年 06月号 [雑誌]
B000FEBRJ4