奏でる
奏でる
緩やかな調べ
指先を
滑らかに滑らせて
暖かい曲を届けよう
空気と共に
送り出される音色は
無機質でありながらも
息遣いを伝えることが出来るだろう
いろいろな場所へと届き
ひとの心を穏やかにすることだろう
だけど
ヲルガンは
自分で呼吸することが出来ない
奏者に踏みつけられて
哭き声を響かせている
ぶかぶかぶかぶか
と
踏まれる度に
堪らず
嗚咽する
昏い匣の中で
呼吸も出来ない
哀しい獣が
無理矢理
空気を注ぎ込まれて
くるしい
と
咽び乍ら
悦びも感じて
哀切な息
を
漏らしている
