昭和のカルト番組で好きだったのが、天地茂の「江戸川乱歩の美女シリーズ」土曜ワイド劇場です。江戸川乱歩作品は原作をほとんど読んでいるので親しみがあるのと、眉間にシワを寄せたニヒルな天地茂が明智小五郎を演じるのが好きでした。
このシリーズのパターンは、途中で女優さんのヌードが出てくることと、解決シーンでは死んだと思われた明智小五郎が変装して出てくることの二つです。そしてツッコミどころは、女優さんのヌードはほとんどが「吹き替え」です。第一作目の「氷柱の美女」(原作は吸血鬼)では、三ツ矢歌子さん演じる美しい未亡人が不気味な犯人に襲われるという設定で沢山ヌードシーンが出てきますが、顔と体を同時に映したアングルはなく「吹き替え」なのが露骨にわかります。
それ以降、呼び物の様に毎回ヌードシーンが出てきます。大体が浴室で主人公の女性(ゲスト女優さん)が変態の犯人にねらわれるという設定で、ほぼストーリーには必然性のないサービスシーンとなっております。確か、金沢碧さんの吹き替え女優さんは、ご丁寧にくっきりとした水着の日焼け後を披露するサービスぶりです。
もう一つのツッコミどころは、ラストの明智小五郎の変装です。「お前は一体誰だ!」と犯人が叫ぶと、ヒゲやカツラ・顔のゴムマスクを取るまではゆっくりと、その後は片手で変装衣装を片手で一気に脱ぎ捨てます。するとスーツをキメた天地小五郎が出てくるのですが、変装衣装の下は、必ずシワ一つないスーツなんてあり得ないだろうと思います。ここまでくると歌舞伎役者が見えを切るみたいなモノでリアリティは不要なんでしょう。
この「天国と地獄の美女」(原作はパノラマ島奇談)ですが、お正月スペシャルということで二つサービスがあります。一つ目がヌードは吹き替えではありません。叶和貴子さんという顔と名前は思い出すけど、代表作が思い出せない微妙な女優さんだから交渉が成立したのだと思います。
そして、ラストの死んだと思わせた明智の変装シーンもご丁寧に2回出てきます。
最後になりますが、上の2つのこだわり(?)以外は、とても原作に忠実なドラマだと思います。