思えばその日は、朝から夫くんの様子がどこか変でした。
不妊治療クリニックでタイミング指導を始めて、2回目のときだったと思います。
2017年の4月半ばの休日でした。
その日は私の仕事もお休みで、朝からゆっくり過ごしていました。
でも、私は夜に向けて朝っぱらから悩んでいました。
それは、「今夜夫婦生活を持つよう医師から指示されたことをどう伝えるか」ということ…。
妊活を経験した女性ならわかって頂けるのではないか…と思いますが、ハッキリとした目的があって夫婦生活を持つのって気分的に難しいです。
「今日がベストタイミングだからよろしく!」
と素直に言える方ももちろんいると思いますが、わが家はなんとな~くそういう雰囲気になって成り行きで致すので、なんて言ったら義務っぽくならずに伝えられるんだろうか、ともんもんとしておりました。
夫くんもリビングにいてのんびりしていましたが、なんだかいつもと様子がおかしい。
普段ならリビングのソファーでお昼寝するのに、その日に限ってはわざわざ寝室にいってお昼寝していました。
それに、なんだか1日中そわそわそわそわしていました。
思えば、これが夫くんからの小さなSOSだったと思います。
が、能天気な私はいつもとの違いに気が付いていながら「珍しい~。でもそういう気分の日もあるかぁ」なんて考えて気にも留めませんでした。
そうして夜を迎え、結局うまく伝えられなかった私は、とりあえずじゃれてみる作戦を実行しました。
でも、いつもなら察してくれる夫くんがその日は気が向かないご様子で、しばらくじゃれてみましたがやっぱり相手にしてくれません。
「今日がチャンスなのに…どうしよう…」
と思い、結局夫くんに「今日は…そんな気分になれない?」と聞いてみました。
そこで返ってきた言葉は
「まめ…俺、ガンかもしれない……」
という、とても衝撃的な告白でした。
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ガン?
ガンって、あの「癌」?
なんでなんで、どこの部位の??
と、頭の中は疑問だらけです。
そうしたら夫くんが
「多分、精巣がんて呼ばれるやつ…。実は右のタマだけが異常に硬く大きくなってて、でも痛みもないんだよ。気になって症状を調べたんだけど、どこを見ても精巣ガンて出てくるから……」
と言うのです。
いつからおかしいと思ってたの?という質問に対しては
「最近気になっていたんだけど、色々調べたのは今日だよ」
とのこと。
もし私が今日きかなかったら、いつ言おうと思っていたの?ときくと
「病院にいって診断が確定したら言おうと思ってた」
と……。
今日、様子がおかしかったのは、もしかしたら自分がガンかもしれない、という大きな不安があったから。
そしてその不安を、たった1人で抱えていたから。
私はなんとなく気が付いていたのに、声をかけることもなく、夜まで放置してしまった。
とてつもない後悔と、不甲斐なさ、そして不安で、その夜は夫くんと一緒に泣いたと思います。
タイミングなんて吹っ飛んで、そんなこと言っている場合ではなくなりました。
その日は土曜日だったため、とりあえず明日1日は待って、月曜日に病院に行くことを約束しました。
※用意のよい夫くんは、自分で病院調べも終えておりました。我が夫ながら、こんなときでも冷静でしっかりしています…