脱プラスチックは、暮らしのなかでも進行してきています。日本のおいてもレジ袋の規制やマイバッグ、マイボトルの持参は、いまでは新しい常識になりつつあります。また、家庭でも従来のラップの代わりに蜜蠟ラップやフリーザーバッグの代わりにシリコーン保存袋などの繰り返し使えるものに注目し、使い捨てを改める気運が高まっています。

欧米の都市部では、量り売りやプラ容器包装不使用をコンセプトにした、新感覚のゼロ・ウェスト・ショップが次々と誕生しています。もともと欧米では、野菜や果物の量り売りするスーパーやマーケットが多く、珍しいことではなく、プラごみ問題に関心を寄せる人が増えたことで、一層、注目が集まっています。

量り売り以外のプラ包装追放策として、オランダのスーパーマーケットエコプラザでは2018年に完全プラスチックフリーの食費売り場を開設し、1370種類の
オーガニック食品の全てに、ガラス瓶や生分解性の素材の包装を使用し、繰り返し使える容器を使用していると聞き及んでいます。

このように特にEUではゼロ・ウェスト(ごみゼロ)、プラスチックフリー(プラスチック不使用)、あるいはパッケージフリーをコンセプトに掲げたショップ、カフェ、レストランなどが急速に増え、ごみを出さないライフスタイルを後押ししています。

■EUの脱使い捨てプラスチック容器包装へのスキーム

海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて世界でプラスチックを規制する動きが高まっており、特に厳しい措置をとっているのがEUです。

EUで既に導入されているプラスチック流通禁止と今後の目標は次の通りです。

■世界の関心は、脱使い捨てプラスチック容器包装へ

フランスの市場調査会社イプソスが世界28ヵ国の75歳以下の成人を対象としたオンライン調査で、以下の4つの質問について、世界平均と比較し、日本人の意識の低さが際立つ結果が示されました。その調査内容と調査結果に対するコメントを併記します。

調査対象国の80%の人が、メーカーは自分たちが製造するパッケージのリサイクルと再利用を支援する義務があると答えています。

この意見は、調査対象となった28カ国のそれぞれで、消費者の過半数が支持しており、このうち18カ国では同意が80%を超え、特にセルビア(93%)、ペルー(88%)では広く支持されていますが、日本は57%で世界で最下位の結果です。

調査対象者全体の71%が、使い捨てプラスチック製品はできるだけ早く禁止されるべきだと考えており、そのような動きへの支持は、調査対象国のうち19カ国で70%以上に達しました。しかし、日本の調査対象者の支持率は38%で、28ヶ国中最も低い結果となっています。

調査対象国の消費者の75%が、できるだけ包装の少ない製品を買いたいと考えており、イギリス、ハンガリー、ペルーでは81%、セルビアでは86%に達しています。この質問でも日本は最下位ですが、「わからない」と答える人の多さも際立っています。

この質問では日本もかろうじて肯定意見が過半数を占めましたが、「大いにそう思う」が世界最下位で、「わからない」が世界最多となっています。

■日本人のプラスチック容器包装への意識は何故低いのだろうか

私たち日本人は衛生面や耐久性に配慮したスーパーやコンビニに溢れるプラスチック容器包装製品に慣れ過ぎて、捨てればそれで済む、そんな暮らしのなかで、世界の人々の意識から乖離してしまってよいのだろうか ⁉

イプソスのオンライン調査はコロナ禍における調査結果ですが、使い捨てプラスチックを可及的速やかに流通させないようにすべきだという世界的な強いコンセンサスがあることを明示しており、使い捨てプラスチックの問題をすべての国が一緒に解決しなければならない課題と人々が考えていることを示しています。

脱使い捨てプラスチック容器包装を可能と考えるか、不可能と考えるかは私たち1人1人の意識に委ねられています。              by 海士人