小学校の頃から
青春期をともに過ごしたボーイフレンド

まさきくん♥



まぁくん。



まぁくんとのことを今日は
一日思い出してた。



まぁくんとそんな特別な関係になったのは


そもそも彼とは
クラスメートで



小学校5年生のクリスマスの朝に






突然、ゴリラのリュックサックと
カレンダーを送ってくれて






クリスマスの音楽が流れるカードを開くと





『クリスマスプレゼトといえば
好きな人に贈るもの。

だからアサコにこれを贈る♥』

と書いてあったね。



クリスマスプレゼントじゃなく
プレゼトになってるところや

下手くそなハートが忘れられない。





何度も消ゴムで消したあとがあって
何を書こうかと

一生懸命考えてくれたあとが嬉しかった。





それでいて間違えてるし…

思わずクスッと笑ってしまう。



かわいいなぁと思ったのと
男の子からプレゼントをもらったのは

それがはじめてだったから
嬉しくて照れ臭かったのを

今でも鮮明に覚えてるよ。




そんな私をからかって
妹がそのカードを取り上げて

走り回ったとき
やけに本気で怒ったっけ。


妹はあの頃のこと覚えてるのかな…



そのころ
四街道市から千葉市に引っ越して

中学校はバラバラになっちゃったけど

自転車をこいでよく家にきてくれたっけ。





でもまぁくんはいつも
誰か他の男友達を一緒に連れてくるの。


きっと私と二人きりは
恥ずかしかったんだろうな。




私のバイト先の
焼き肉やさんやマクドナルドにも来てくれて

付き合ってるってわけじゃなかったけど
私のことを好いてくれてるのは

いつも伝わってた。




気持ちに気がつかないふりして

『私たち腐れ縁の幼馴染みだよね~』
って笑いあって

『アサコと付き合う男は
苦労するだろうなぁ~』

と憎まれ口をたたく彼に私が言い返す



そんな時間が本当に本当に幸せだった。




まぁくんの高校の文化祭にも行ったね。






まわりから

『まさきの彼女かよ?!』って
みんなに言われて

二人で猛烈に否定したっけね(笑)



楽しかったね。




でもその頃には

もうまぁくんの病気は
進行してたんだよね。



中学の頃、難病にかかっていることを
私に打ち明けてくれた。



だんだん耳が聞こえなくなっていったから
私一生懸命手話も覚えたし

筆談もたくさんしたよね。


それでもなにも変わらない私たちで

お互い彼氏彼女ができた話とかして
夜通し笑いあったね。


耳が聞こえなくなって
しゃべれなくなって
足が使えなくなって
車椅子になったけど


車椅子押して
まぁくんの好きなスロットやさんに

一緒に付き合ったね。







煙かったけどいつも
『付き合ってくれたお礼』って
景品で何かくれたり

食事につれてってくれたね。


最後に渋谷で会ったときは
もう瞬きもできなかったから

開ききった瞳から涙が常にこぼれ
怒ったみたいな恐い顔してた。



手ももうほとんど動かなかったのに
どうやってひとりで渋谷まできたんだか。


その頃まぁくんは渋谷から
20分くらいのところに住んでいたのに


『ここまでくるのに
4時間くらいかかったよ』

ってもう表情を作れない
恐い形相で文字盤をそう指したよね。






『こんな顔してるけど
アサコにあえてめっちゃ喜んでるから』

って文字を顎の先で指してゆってくれたね。





そして病院に入るべきかを相談された。




私は、家族と過ごした方がいいし
治らない病気かもしれないけど

少しでもまぁくんの体が
よくなるかもしれない可能性があるなら

病院に入ったほうがいいとすすめたね。


まぁくんは

『でも、一度病院に入ったら
たぶんもう二度と外にはでられない。

あさこにも二度と会えない』

こう指した。


『大丈夫だよ!お見舞いいくしね♪

私まぁくんのこと、いつも忘れないもん』


私は確かにそう約束した。










お見舞いにいくっていったのに

それからお見舞いには結局いかなかった。
行けなかった。



あれ以上病が
進行していく姿をみるのが辛かった。


きっと元気にしてると
現実逃避して信じることで

自分の無力さから目を背けてた。






でも、まぁくんのことは
忘れたことはなかったよ。



面白いゲームやクイズをみつけては
メールで送ってみたり

ネットで拾ったセクシー写真をおくって
からかってみたり



でもだんだん返事もこなくなった。







ある日まぁくんのお兄ちゃんから
まぁくん危篤の連絡がきた。


タクシー飛ばして走っていったよ。





1万円渡してお釣りももらわずに
病室にかけこんだよ。




だから

私がそばにいくまで待っててくれたね。



手を握って
『まぁくん!きたよ!!』

っていったらグッと目が強く開いたね。



そしてすぐに


ドラマのように
ピーーーーとフラットになる音をきいた。




まぁくんの心音は静かなのに
私の心臓はまるで100個くらいあるかのように

大きな音でドックンドックンとして
息ができないほどだった。





泣いても叫んでもどうにもならない。

揺すっても起きない。


入院したの知ってたのに

この日まで
一度も来なかったことが悔やまれて

恥ずかしくて情けなくて

申し訳なくて自分が許せなかった。




抱きついてワーッて泣きたかったよ

でもご家族やまぁくんの入院期間
そばで支えてくれたご友人たちの手前

私にそこまでする資格はないことを
察したよ。



だから廊下で壁に支えてもらいながら
人生で一番たくさん泣いたよ。



声が枯れて、しゃっくりが出て
息ができなくて

でも涙がどうしても止まらなくて…



今日はまぁくんの命日だから
まぁくんのことを一日中想っていたよ。


毎年この日には
二人で過ごした日々


まぁくんが生きた日々を

思い出して振り返る日にしたい。





ずっとずっといくつになっても
大切なまぁくんのことを忘れないために。