【グランプリシリーズ】

「なんだこれ…」

僕は、今シーズンの未央の試合スケジュールを見て呟いた。

「いくらなんでも、このスケジュールはキツいでしょ!?」

隣にいた、未央のマネージャー渡辺さんに言ってみる。

「仕方がないわ。そう上から(ISU)の命令だもの。」



11月14日~16日
フランスでのエリック杯(初戦)


11月28日~30日

日本でのNHK杯


いくら何でも、ISUがくじで決めたと言っても、次の試合まで12日間しかないのはあり得ない。

ISU(国際スケート連盟)が承認する国際大会の権威の高い順から言うと、

1オリンピック
2世界選手権
3欧州選手権と四大陸選手権
4グランプリファイナル
5グランプリシリーズ

だ。

4のグランプリファイナルに出場するには、

5のグランプリシリーズの上位6位が出場できる

グランプリシリーズは
アメリカ、カナダ、フランス、ロシア、中国、日本で開かれる。

今回未央は、フランス(エリック杯)と日本(NHK杯)に出場する。


これはISUがくじで決めたと言っても、腑に落ちない。

(来年のオリンピックシーズンも未央はこんな殺人的スケジュールで通知されるのだが。)

こんな殺人スケジュールは未央ぐらいだ。

「変更不可だなんで、ISUは未央を潰すつもりなのですか?疲労が溜まって怪我でもしたらどうするつもりですか?」


そうだ、最近男子の高梨大輔選手がトリプルアクセルの練習中に大ケガをしたと聞いたばかりなのだ。


「そうね、そう取れるわね。
でもほら見て。
未央は受け入れてるわ。」

カッカしている僕とは反対に、未央は黙々と練習をしている。

何度も何度も
リンクの上で、ジャンプの練習をしていた。


「抗議しようもないわ。
した所でくじ引きだから、運だとしか言われるのがオチだわ。
それに、抗議してISUに目を付けられる方が厄介よ。
未央も分かってるわ。

怪我をしない為にあなたがいるのよ。
トレーナーの牧原さん。」

僕は、唖然とした。

この時初めて
何と戦わなくてはいけないのか、ほんの少しだけ分かったような気がした。

つづく