綾乃のブログ

綾乃のブログ

ブログの説明を入力します。

Amebaでブログを始めよう!

いつの間にか





この世界にどれだけの男と女が居るのだろう。
統計した数なら大抵の人は知っている。
でも、私、高橋サキが知りたいのは、己が出会うであろう男と女の数である。
そして、私は一体その中の何人と色恋沙汰を起こすのか。

などと考えながらも出会いを求めもしていない。
社会人になって自分の時間はほとんどが休息で潰れてしまっている。
果たして、これで良いのだろうかと悩み出したのが23歳の冬だった。

が、気がつけば24歳の冬になっていた。

1年が斯くも早いのか、と年を取る度に感じるのは致し方ないのか。
相対的に見たら、そりゃ、年を取る毎に短く感じて当然なのだ。

でも、この1年は私にとって予期せぬ事が多く、また、私自身理解不能な状態に陥っていた。

そう、いつの間にか私は恋をし、愛しているのだ、あいつを。









20×○年、その日はバレンタインだった。
23歳の高橋サキは嬉しくも悲しくも仕事であった。
祝祭日の関係がない職場。
嫌いでは無かったが、好きでもなく、仕事に慣れてきた彼女は少しばかり疲れているようだった。

「うわぁ、また高橋が尻拭いしてんじゃね?」

そう佐藤カイに先輩の土井が言った。
高橋サキと佐藤は同期であり、すぐ隣の部署に配属になった。
別に部署間に仕切りがあるわけではない。
佐藤達から高橋は見えるし、逆に高橋から佐藤達も見える、そんな環境であった。

佐藤も土井の視線を追った。
自分達の仕事はすでに終わる見通しがたっていた。
だが、どうやらお隣はそうではないらしい。

「女にしては良くやるよ。お前同期だろ、声くらい掛けてやれよ」

あのままじゃ潰れてしまうだろう、そう言う土井に佐藤も頷いた。
同じ時期に入ったのに、やっていることがまるで違った。
別に佐藤が仕事をしていないわけではない。
高橋が仕事を背負い過ぎているのだ。

「新入社員にゃ見えないな」

それが高橋に対する周りの評価なのだ。
だから、余計に仕事を任され、また、それをこなしてしまうのだ。
適当に無理ですと断れば良いのに、と佐藤は思う。
が、自分ではないのだから関係ないと思いもした。

「ま、おまえにゃ、高橋にはなれんな」

そう言ったのは山本であった。
佐藤の上司である。
山本はどこか高橋を目にかけている節があるのは有名な話だ。
だから何だ、と佐藤は思ったが、音にはならなかった。

「見てらんねぇな」