『解憂雑貨店』Miracles of the Namiya General Store

 

 

東野圭吾の小説『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の中国版リメイク映画である。

中国では、癒し系映画として若者中心に人気だった。

 

東野圭吾氏の小説は、現在中国でとても人気がある。テレビドラマや映画などの影像を見て、そこから小説(翻訳版)を読み始めた人が多いようだ。←分かる。取っつきやすいものね。それで、小説のファンになって、更に東野圭吾原作のドラマや映画を観るというループ完成。

 

どれくらい人気かというと、近くの本屋で”(売れてる)小説ベスト10” として棚に10冊の本が立てて展示してあった。そのうち、4冊が東野圭吾氏の小説だった。

もちろん、中国語に翻訳してあるわけだが、翻訳小説ベスト10  じゃないんですよ。普通に中国の小説と競り合いつつの結果。ちょっとびっくりした。

 

というわけで、多くの小説ファンから、”癒やされる〜映画” と評判は上々だった。

日本版とは少し違っていて、現代の中国に合わせた設定になっている。←そりゃ、そうだ。

 

わたしは、特に癒やされるとは思わなかったけれど、ジャッキー・チェンがアクションなしの体が疲れない映画に出ていて、普通に年相応の役だわ〜と、微笑ましく観てました。笑。他にも、スターがたくさん出てます。

つまり、人気の小説、スターの出演、話題を狙った映画。それは、それなり成功。見て損なし。

 

 

 

あらすじ ←ネタバレなのでご注意!ください!

 

若い3人組が豪邸に忍び込み家の中を荒らしている。そこに帰って来た女性を縛り上げ、顔に「拆(chai1)」と書き逃げて行く。(「拆」という字は、建物を取り壊したりする時に、これは壊す予定ですよ〜と分かるように壁や扉に書かれる文字。)

3人は、盗んだ高級車で逃げるうちに燃料切れで止まってしまい、とりあえず無人の雑貨店の中に入り、夜を越そうとする。

 

3人組、左から小波;シャオポー(王俊凯;ワン・ジュンカイ、アイドルグループTFBOYSのリーダー)

真ん中、阿杰;アージエ(董子健;ドン・ズージェン) 右、彤彤;トントン(迪丽热巴;ディルラバ)

 

 

これからどうしようかとぐだぐだしている3人だが、ポストの中に一通の手紙が入ったことに気づき、店はもう長いこと閉まっている様子なのに不思議なことだと思いながらも、3人でその手紙を読んでしまう。

その手紙には、「音楽をやりたくて北京に行ったけれど、もうやめたほうがいいのだろうか」という相談が書いてあった。

 

手紙の出し主は、秦朗;チン・ラン(李鸿其;リー・ホンチー)。北京では友人たちがどんどんデビューしていく中、自分の音楽は全然認められなくて焦っているところに、父親が倒れたというので田舎に帰って来たのだった。母親と妹は、父親の働く工場で働けというが、秦朗は音楽の夢が諦めきれない。

 

秦朗;チン・ラン(李鸿其;リー・ホンチー)

 

3人は、返事を書いた。すると、その手紙がすぐになくなっていることに気づき、またすぐ秦朗から次の手紙が投げ入れられたことにも驚き、さらに、手紙が過去から来たものだと分かると、一体どうなっているのかと頭を悩ませる。しかし、小波が、ここは過去と現在をつなぐ場所なんだよと言い、誰もいないのにポストに手紙が入っている現場を見てみんな納得。笑。

 

そして、姿は見えないけれど手紙を入れに来た男性が口ずさんでいる歌を聞いて驚く。それは、張維という女性歌手のヒット曲『重生』という名曲だったのだ。

彤彤が、小波と阿杰に聞く。「ねえ、『重生』の物語り知ってる?」

3人は、「あなたの音楽は多くの人を感動させるから、絶対にあきらめてはいけない」と返事を書く。

 

手紙に励まされた秦朗は音楽の道に戻り、その日は孤児院”虹の家”で歌を歌っていた。

夜になると、あたりは一面の炎。慌てて飛び起きた秦朗は、取り残された男の子を助けようと引き返し、男の子は助かるが替わりに命を落としてしまった。しかし、その子の姉が歌手となり、秦朗の歌ってくれた曲を覚えていて、それを歌い大ヒット。その曲こそが、『重生』だったのだ。

 

 

時間は遡り、雑貨屋が現役だったころ・・・。

雑貨屋のおじさん(成龍;ジャッキー・チェン)は、悩み事相談の手紙を書くと返事をくれるというので、ちょっとした街の有名人だった。

 

アクションなしのジャッキー・チェン。

 

ある日、気になる手紙があった。それは、絵手紙のようなもので、子供が書いたみたいなのだ。

手紙の出し主は、浩博;ハオポー(秦昊;チン・ハオ)だった。

浩博の父親は、外車の輸入販売業で成功したお金持ち。だが、借金が返せなくなり家の中の雰囲気は最悪。少しでもお金を工面するために、大好きだったマイケルジャクソンのCDも売られてしまい、母親と大げんかに。そして、その夜、両親と浩博は夜逃げすることになる。

 

しかし、まだ子供で事情が理解できない浩博は、ドライブインのトイレから逃げ出してしまう。両親とはぐれた浩博は、孤児院虹の家に拾われる。

そこで浩博は、絵の才能を発揮。有名な画家となる。

 

浩博(秦昊;チン・ハオ)

 

成功した浩博は、街に帰ってくる。そして、カフェの壁に貼ってあった新聞の切り抜きから、両親の最後を知る。

借金取りに追われ、山の中で借金取りの車は転落。両親の車も崖から落ちて死んでしまったのだった。その新聞には、子供の浩博も一緒に、一家3人が亡くなった、と書いてあった。

おかげで自分は別人となり、画家として成功したのだが、浩博は両親の死を知って悲しみにくれるしかないのだった。

 

 

事件当時、手紙を書いた子供(浩博)を救えなかったこともあり、雑貨屋のおじさんは甥っ子の世話になることにして、店を閉めてしまう。しかし、2017年の大晦日の晩だけ開けることにしてほしいと甥っ子に頼み、手紙を託す。

 

 

そして、時間は現代に戻り、3人の若者にまた相談者からの手紙がくる。

晴美;チンメイ(陈都灵;チェン・ドウリン)は、歌手兼ホステスをしていた。

孤児だった晴美は、孤児院”虹の家”のためにお金を得たくて、金持ちの客に出資してもらい商売を始めるつもりだった。しかし、その客は犯罪者で、警察に捕まってしまう。晴美は、裏切られたことや自分の浅はかさに落ち込む。

何をしたら貧困から抜け出せるかという質問に、手紙が書かれた時期はまだバブル前だから、これからは不動産投資の勉強をしろと、3人は返信を書く。

 

歌手の晴美(陳都灵;チン・ドウリン)

 

そして、学校に入り勉強した晴美は、女性投資家として成功し、土地開発などを手がける会社の社長となった。

成功後の晴美(郝蕾;レイ・ハオ)きりっとした大人の女性に成長。

 

晴美は、ある日、孤児院”虹の家”が都市計画によって取り壊されそうになっていることを知る。それで、会社の総力を挙げて、その都市計画の仕事を取る。そして、”虹の家”を残し再開発することにするのだ。晴美の、自分を育ててくれた孤児院に恩返しをしたいという思いは叶ったのだ。

 

 

雑貨屋の3人は、自分たちがアドバイスした女性が晴美であること、そして彼女が”虹の家”を守ってくれたのだと知って驚く。

というのは、小波、彤彤、阿杰は、”虹の家”の孤児なのだ。

3人は、”虹の家”が取り壊されると早とちりをして、開発会社社長の晴美は悪い奴だと決めつけ、家に押し入り顔に「拆」の字を書き車を盗んで逃走したのだった。(ここで冒頭のシーンとつながる)

 

朝日が昇り、しだいに明るくなってくる。時空を超えた一夜が終わった。

晴美を襲う計画を言い出した小波は、とりあえず早く謝りに行くと決め、3人は最後の手紙に気づく。

それは、この店のおじさん(ジャッキー・チェン)からの、一夜限りに復活したこの時に店にいるものたちに、この雑貨屋を引き継いでいって欲しいというものだった・・・。

 

 

”虹の家” つながり

中国版リメイクは、中国の設定に変わってはいるが、中国人以外が見てもよく分かる。原作の骨子を残して、無理がない、分かりやすい物語に仕上がっている。

 

全ての物語と登場人物は、”虹の家”という孤児院でつながっている。

あらすじの中には盛り込めなかったが、(複雑になりすぎるから)、雑貨屋のおじさんは生涯独身を通したが、若い頃にお互い好き合っていた女性がおり、それが ”虹の家” の創始者だということも途中で分かる。

 

結局、”奇跡” ="虹の家” が守られ受け継がれていくこと、は愛の力だったのでしょうか。

雑貨屋のおじさんは、自分が愛した女性が生涯を尽して守った”虹の家”を、時空を超えて間接的に守った。時空を超えるというような奇跡は、愛によって呼び込まれたのでしょうか。

 

 

おすすめできる1本ではある。

日本版との違いを比べながら観るのも、おもしろいと思う。

ただ、ただ、・・・個人的な感想ですが、話しがきれいに集約してまとまりすぎて、全体がこじんまりしちゃったなあ、と思ったのですが、どうでしょうか。

ご覧になった方の感想など聞かせてもらえたら、幸いです。

 

 

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