中国では『妖猫传』。

邦題は、『空海 KUKAI 美しき王妃の謎』。

 

陳凯歌(チェン・カイコー)監督の最新作。←「さらば、わが愛 覇王別姫」など、好きな監督の1人です。

原作は、日本の小説、夢枕獏著『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』。(中国での小説の題名は、『沙门空海之大唐鬼宴』)

最初に、"KADOKAWA”って見慣れたロゴが出て、おお〜、角川映画の中国進出!とびっくり。←

それは、成功してるんじゃないでしょうか。中国でも評判よかった。いい映画でした。

 

ストーリーを簡単に説明すると、唐の都で事件が起きた。それを「猫の霊のしわざだ」と見抜くのが、日本から仏教を学びにきていた空海で、当時役人をしていた白楽天(有名な詩人)と事件を追っているうちに、楊貴妃の死の謎にせまっていく、というものだ。

 

とにかく、迫力がある。

その想像力、影像の力に圧倒されて、ここ数ヶ月観た中では一番いい映画だった。

ストーリーは、ちょっと???と思うところもあったが、そこは小説を読むとよく分かるのかもしれない。

 

うれしかったのは、日本人の役者も大活躍だったことだ。

空海役の染谷将太さん、安倍仲麻呂役の阿部寛さん、阿倍仲麻呂の恋人?白玲役の松阪慶子さん、みんなよくはまっていてよかった。特に、染谷将太さんが主役なのだが、いい役者なんだなと改めて思った。

 

 

では、あらすじを簡単に。

 

 

あらすじ

中国の唐の時代。

皇帝が謎の病にかかり7日7晩の祈祷を続けていたが、それでも治らないので、呪いを解くために空海が呼ばれてきた。

(日本から来た、呪縛を解く専門家ってことになっていた。笑。そうなのか?)

 

 

しかし、空海が到着したところで皇帝は亡くなってしまう。その時、空海だけが黒猫の霊が建物から出ていったのに気づいた。

役人だった白楽天(=白居易)(黄軒ホアン・シュアン)は、何かに気づいた空海を追い、一緒に妖怪(黒猫の霊)を負うことにする。

このとき、白楽天が思うように詩を作ることができていなくて、李白が読んだ楊貴妃の詩をなんだかんだ言うのは、後への伏線。

 

 

左が、ダブル主演の黄軒ホアン・シュアン。

最近は、『芳華」という映画でも主演、大ヒット。売れっ子俳優の1人。

一重まぶたで薄い感じの顔なんだけどイケメンで色気がある。

 

 

 

皇帝から離れた黒猫は、街を守る「金吾衛」の大将、陳雲樵;チン・ユンチャオ(秦昊;チン・ハオ)の妻の春琴;チュンチン(張雨綺;キティ・チャン)に取り憑いていた。そして、陳雲樵の命を狙って楼閣で騒動を起こし、陳雲樵は一命を取り留めるが、黒猫はしつこく彼の屋敷で暴れ回る。

黒猫を追っていた空海と白楽天は、楼閣でも黒猫の影を見て、陳雲樵と春琴の屋敷へも追って行くのだが、すでに手遅れの様子だ。

 

 

 

 

春琴は、李白が楊貴妃のことを詠んだ詩を吟じるのだが、その詩に秘密があるのではないかと思った空海と白楽天は、その推理を押し進めていく。すると、意外な事実が浮かび上がってくる。それが、楊貴妃の最後に関する謎なのだった。

 

 

春琴を介して黒猫と意思疎通できた空海と白楽天は時空を超えて、楊貴妃が生きていた玄宗皇帝の時代へと誘われる。

そこは、当時の贅を尽くした華麗なる大パーティーの会場だった。

ここのシーンが、もう素敵で心持ってかれる華麗さ〜〜〜〜〜〜!!!! 

そして、キモな部分だからか、写真がまったくない。映画館で観て下さい。観る価値ありと思う。

 

 

 

 

さて、そこには、玄宗皇帝(张鲁一;チャン・ルーイー)と彼が寵愛する楊貴妃(张榕容;チャン・ロンロン←台湾の女優)がいて、その楊貴妃の美しさを一目見ようとたくさんの客が押しかけてきていた。その中には、遣唐使としてやってきて科挙に合格し、そのまま唐の官吏になった阿倍仲麻呂=中国名;晁衡(阿部寛)も含まれていた。

阿倍仲麻呂は、楊貴妃に恋してしまう。←ありえない話しではない。聞いたことないけど。

また、楊貴妃に惹かれたものは他にもいた。魔術師の若い弟子の2人、白龍(刘昊然;リウ・ハオラン)と丹龍(欧豪;オウ・ハオ)だった。

李白はこのとき、楊貴妃を讃える有名な詩を詠んだ。(物語で重要な要素になっている)

 

 

 

そして華麗なパーティーが終わり、時は進み、安禄山の乱が起きる。

長安を脱出した玄宗皇帝と楊貴妃、そして宦官の高力士たちは、これからどうしようかと相談する。なぜか、ここに魔術師と弟子の2人もいたりして・・・。

 

ここで楊貴妃が死ぬことは歴史上の事実。反乱軍が楊貴妃を殺せと要求したので、絞め殺されたということになっている。

 

が、この映画はここから独自の仮説を展開させる。

その中で、黒猫がなんで妖怪になったのか、楊貴妃は最後どうなったのか。

そして、前半からの伏線を回収していくのは、ほんとにみごとである。

 

 

 

 

そして最後までみると

途中までは、何の話しかなあと、ストーリーの中心が掴めなかった。

空海の冒険物語なのかしら? とか、SFファンタジーなのかしら? とか、歴史物?・・・・・・。

通常、私の場合だけれど、話しが分かりにくいと入り込めなかったりする。でも、唐の街の様子や大パーティーの様子など、それを超える影像の魅力があって、わくわくしながら観ることができた。

それに、そこかしこに感じる、チェン・カイコー監督の映画だ・・・という雰囲気。(プロの解説じゃないので、論理的に言えなくてすみません、とにかく画面からにじんでくる”雰囲気”。笑)

 

その”雰囲気”に引きずられて観ているうちに、あー、楊貴妃の死の謎にせまる話しなんだと分かってくる。

そこまでがちょっと長くて繁雑だと思う人もいるかもしれない。

しかし、別の見方をすれば、これだけの情報を、よく2時間に入れ込んだな、と感心する。

また、その謎についての結末は、原作者の夢枕獏氏の知識と発想と想像力がすごい。本当かどうかは、小説なんだから置いといて。笑。

 

日本人と違うなと思ったのは、中国人は「空海」のこと全然知らないということ。

だから、公開当時、「空海」についての解説がいっぱい記事になっていた。「空海」は、突然有名な日本人の1人になったと思う。笑。

 

最後に、ここはダメだという意見が多かったのが、楊貴妃を演じた张榕容;チャン・ロンロンだ。

中国人はみな楊貴妃は太っていたと思っているので、张榕容;チャン・ロンロンはそのイメージから遠かった。いわゆる、唐の時代の美人ではなく、現代的な美人だと私も思った。でも、写真もない時代だし、見たことある人はいないので自由なのですが、ここはちょっと残念だったかも。

 

张榕容;チャン・ロンロンの楊貴妃↓↓↓

 

 

映画館で観てほしい映画。

満足できると思います。

 

 

 

 

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