久しぶりに、超感動〜〜〜!

 

中国では、この『摔跤吧!爸爸』が、現在チケット売り上げナンバー1だ。

5月5日から公開始まって以来、観客の評価が異常に高く(10点満点で9点以上を獲得)、噂を聞いて見にいく人が増えている。ネットや新聞でも、よく特集が組まれている。

 

確かに、久々のヒット〜〜。

途中、涙しながら、最後はすっきりカタルシスありの、”王道“ 映画。

見終わった後は、満足感いっぱい。笑。

 

主演は、日本でもよく知られたインドの男優・アミール・カーン。

演技が・・・など言う前に、すごく存在感があって、スターですよね。

その彼が、この役のために、体を鍛えたり、中年後のおやじ感を出すために太ったりと、ロバート・デニーロも真っ青の肉体改造も話題になっているところだ。

 

話しは、インドの女子レスリングのチャンピオン一家の物語で、実話というのが感動をそそる。まずは、あらすじから。

 

 

 

あらすじ

中国語吹き替えで見たので、多少台詞の違いがあるかもしれませんことをお断りしておきます。

また、ネタバレですので、ご注意ください。笑。

 

マハヴィール(アミール・カーン;Aamir Khan)は、若い頃、有名なレスリングの選手だった。全国大会で優勝するのが夢だったが、経済的な問題からそれをあきらめ、家族のために働く道を選んだ。そして、彼は、息子に夢を託そうと思っていたが、授かったのは女の子ばかり4人。笑。

 

 

意気消沈のマハヴィールだったが、ある日、彼は自分の娘たちにレスリングの才能があることに気づく。

小学生低学年くらい?の長女ギータ(Baby Sana)と次女のバビータ(Sanya Malhotra)が、近所の男の子たちと喧嘩をして、ケガをさせられた男の子たちの母親が怒鳴り込んできたのだ。

 

けんかに強い、暴れん坊姉妹。

子供時代のギータ(左、Zaira Wasim)、バビータ(右、Suhani Bhatnagar)

 

2人に反省の色はない。笑、

マハヴィールは2人を叱ることはせず、「どうやったんだ?」と聞くと、彼女たちは「まず腹に一発入れてから、かがんだところを背中に肘打ちして・・・」と嬉々として実演し始めた。笑。

 

それを見たマハヴィールは娘たちに才能があることに驚き、自分の夢(インドチャンピオン)を彼女たちに託そうと、翌朝から、ギータとバビータにトレーニングを開始するのだ。妻の反対にも、一年間は自由にやらせてくれと説得。

 

 

マハヴィールの練習は、スパルタだ。

ギータとバビータは、トレーニングがきつくて授業中に居眠りしてしまうし、町の人たちからは「女の子がレスリングなんて・・・」と嘲笑の的となり、もうやめたいと訴えるが、マハヴィールは彼女たちの主張を無視、逆に、2人を男の子のように丸刈りにしてしまう。

 

 

父親に逆らえず、いやいやトレーニングを続けるギータとバビータだったが、ある日転機が訪れる。それは、友人の結婚式。

結婚パーティーに参加した時、まだたったの14歳で結婚する友人が2人にこう言う・・・

 

「私の父は、小さい頃から私に家事をしこんで、14歳になったらすぐに結婚式。相手は、顔も見たことのない人なのに。父は、今まるで厄介者がいなくなったと言わんばかりに喜んでる。

それに比べてあなたたちのお父さんは、レスリングを教えてくれてる。あなたたちが自分の力で勝利して、人生を自分の力で生きていけるようにしてくれてるのよ。うらやましいわ・・・」

 

ギータとバビータは、それまで、人生についてなんて考えたこともなかった。しかし、この友人の言葉に衝撃を受ける。自分の父=マハヴィールが、いかに伝統に縛られないで、自分たちの将来を思ってくれているのか、厳しいトレーニングの意味を知ったのだ。

それから、2人は人が変わったように、自主的に練習をするようになる。

 

 

 

 

そして、いよいよギータのリングデビュー。近くの町の大会に参加することになる。

参加選手は全員が男子。女子はダメと一度は断られるものの、主催者が、女子が出場したら客が増えるかもしれないと考え直し、参加を許可される。

 

野外の砂のリングの周囲には、たくさんの観客たち。選手も観客も、みんな男性ばかり。ギータは完全なアウェイだ。

観客は、最初はニヤニヤ笑いで見ているが、ギータの本格的な技にびっくり。次第に声援が増えていく。が、世の中そんなに甘くない、結果は敗退に終わってしまう。

しかし、ギータは負けず嫌い。その後は、男子相手に連戦連勝、人気選手になっていくのだ。

 

 

  

 

 

そして、勝ちを重ねるギータに、マハヴィールは、いよいよマットの上で戦う本格的なレスリングを教え始める。建物の屋上に布団のようなものを敷いて、練習を始めるのだ。

 

 

 

男子に連戦連勝だったギータは、女子なんか軽く撃破。夢だったインドの全国チャンピオンとなり、国立体育学校へと進学することになる。次の夢は、国際舞台での優勝だ。

 

しかし、体育学校へ入学したギータは、絶不調に陥る。自己管理ができなくなってしまったからだ。自由に飲み食いをして、髪を伸ばしマニュキュアを塗り、生活を楽しむのと引き換えに、大会で結果が出せなくなってしまった。

 

 

 

それを心配するマハヴィールは、妹のバビータも体育学校に進学すると同時に(彼女も全国チャンピオンになったので)、2人のために学校のある町へ引っ越してくる。やっぱり俺が指導しなくちゃ、学校のコーチなんかに任せておけないという親心だ。

 

ギータとバビータは、毎朝、学校の寮を抜け出しマハヴィールと練習をするようになる。すると、また技のキレもよくなり勝てるようになるのだが、それが学校側にばれてしまい、抜け出すの禁止となる。

それは学校側としたら妥当な処分だが、ギータたちは、その後も電話でマハヴィールの指導を受け続け、いよいよ大きな国際大会の時がやってきた。

 

 

それは、イギリスの植民地だった国が参加する大会みたいで、日本などは関係ないですね。でも、その年は、インドで開催されることもあり、たいへん注目される試合だった。

 

そこで、ギータは勝ち上がっていく。学校のコーチの意見は聞き流し、マハヴィールのアドバイスの通りにするのだ。

そして、優勝をかけた大一番、その試合の前にマハヴィールは、「明日の試合は、自分の人生を自分ではどうもできない多くのインドの女性のために戦え」と言うのだ。そういう人たちが、たくさんテレビで試合を見るから、その人たちに勇気を与えるためにがんばれと。女性でも、自分自身の手で勝利を掴めるんだと。

 

そして当日、いつも会場に来ているマハヴィールの姿がない。実は、彼の存在が気に入らないコーチが、彼をだまして会場内の小部屋に閉じ込めてしまったのだ。(このコーチ、ほんと心の狭い嫌な奴なんだけど。笑)

 

試合会場で、父親=マハヴィールの姿を探すギータだったが、彼の姿や大声でのアドバイスがなくても、ギータの心の中には幼い頃からのトレーニングで培われた根性があった。

相手は、今まで一度も勝ったことのない選手だったが、最後のチャンスに大技のジャーマンスープレックス(っていう技だと思うけど)で大逆転。

 

そして、会場から少し離れた小部屋では、閉じ込められたマハヴィールがギータの勝利を1人祈っていた。

そこに聞こえてきたのは、インド国家。ギータが優勝したことが分かり、ガッツポーズのマハヴィール。

 

 

実話の力

エンドクレジットでは、実際のギータとバビータ姉妹の数々の試合結果が出てくる。

姉妹ですごいメダルの数なのだけれど、それを支えた、父親であるマハヴィールの愛情の深さがすごい。

そして、彼の人間性にも心打たれる。

 

この物語の通底には、父と娘の愛情というものがあって、それだけでも胸を打つ。(不覚にも、私はすでに亡くなった母親のことを思いだして泣いてしまいました。涙。)

 

そして、その愛情ゆえに、マハヴィールには戦わないといけないものがたくさんあった。

まず、男子のスポーツと思われているレスリング(インドではということだと思うけれど)を、娘に教えること。町の人たちから奇異な目で見られる、その偏見に勝たなければならない。

 

そして、経済的な問題。自分はそのために全国チャンピオンを諦めたけれど、娘たちが上へ上がっていく時にも、その問題は出てくる。

 

さらに、体育学校では、最初ギータは父親の教えたことを全否定され、コーチの教える通りにしろと言われる。それは、ギータが勝てなくなる原因のひとつだ。コーチや学校から見たら、指導者の資格もないただのおやじが何言ってるんだ、という偏見。これは、権威への抵抗。

 

この映画はインドでも大ヒットしたらしいが、上の3つの事柄は、インド社会の共通した問題点なんだろうと思う。

映画の中で何度も出てくる、「女性が自分で人生を決める」みたいなことは、インドでの女性の地位の低さの反映だろうし、インドでは経済格差も激しそうだし、権力者が偉そうにしやがって!というテーマは、インド映画ではよく見かけるものだ。

 

実話だということは、マハヴィールは、これらの困難に打ち勝ったからこそ、娘たちがそれだけの成績を残したということで、ただのレスリングが強いだけではない、もっと深く物事を考え克服する、現代インドのヒーローなんだな。それが実話だから、一層すごいわけなんだ。

 

 

強くて思慮深い父親役を、カリスマな目力を持つアミール・カーンが好演している。

一年に何本もない、いい映画!!

 

 

 

 

*写真は、百度からお借りしています。
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