邦題「記憶の中の殺人者』


 

 

中国には珍しい「SFサスペンス映画」。

そして、出演する映画が全てヒットするという黄渤(ホアン・ボー、ポスター1番手前)の、久しぶりの出演作ということでも話題の映画。彼が出るというだけで、きっと面白いに違いないと、前売りもよく売れておりました。

 

 

そして、見た感想。

 

凝り過ぎ・・・。

凝り過ぎてて、よく分かんなかった〜。笑。

 

 

「記憶」がひとつのテーマなのですが、

舞台は、2025年の近未来、その頃には脳科学の研究が進み、記憶の一部分だけを消すことが可能になっている。(2025年といえば8年後。そんなすぐにはできないようにも思うが、先の未来には可能かもしれない技術だ。)

主人公は、自分の脳内にある記憶を消すために手術を受ける。そこから事件に巻き込まれていく・・・・・・。

 

 

あらすじ

2025年、医学は発達して、脳内の記憶を自由に取り出したり戻したりできるようになっている。

江丰(江豊);ジャン・フン(黄渤;ホアン・ボー)は、有名な賞を受賞した小説家だ。妻・張代晨;チャン・タイチェン(徐静蕾;シュ・ジンレイ)との関係がうまくいかなくなり、離婚することとなった。

主人公は、幸せだった妻と過ごした日々の記憶を消したいと病院へ行き、その記憶を取り出してしまう。だが、妻は離婚届にサインをする条件として、記憶をもう1度戻してほしいと言う。戻した状態でサインをして欲しいと。

 

取り出された記憶は、USB(?)のようなものに移されており、72時間以内なら戻すことができる。しかし、戻した記憶をもう1度取り出すと、2度と戻すことはできない。

 

 

江豊は、とりあえず記憶を戻す手術を受けるが、そこで事故が起きた。彼の脳内には、他人の記憶が入れられてしまった。そしてそれは、最近起きた殺人事件の犯人のものだった。

 

その殺人の記憶は、夢の中に断片的に現れるのだ。警察に協力しようと名乗り出るが、逆に犯人扱いされて、勾留されてしまう。

 

担当刑事の沈汉强(沈漢強);ハンチャン(段奕宏;ドアン・イーホン)右 と、

助手の雷子;レイズ(梁杰理 リャン・ジエリー)左。

 

夢の中では、自分(=犯人)は、DVの旦那に殴られる女性を助け、「僕と一緒に行こう」と誘うのだが、「あんたなんか好きになれない。キモいのよ」と言われ、頭に血が上って女性を階段から突き落とし、口をふさいで窒息死させてしまうのだ。

 

犯人はこんな風に殺害したんだよ・・・と言ってみても、犯人が誰かという逮捕にはならない。

なにしろ、自分が犯人になってしまっているので、夢はやけにリアルなのだが、犯人が誰か、客観的に顔を見ることなどができないのだ。それに、夢で見たことは何の証明もできないし、証拠もない。

 

やがて夢では、警察が追っている事件の他にも、別の女性を湯船で溺れさせて殺した場面も出てきて、この人物はかなり危ない人物だということが分かってくる。

 

 

そして、江豊は気づく。自分に他人(=殺人犯)の記憶が入っているということは、逆に、殺人犯に自分の記憶が入れられているのではないかと。だとしたら、妻の顔や住所などが全て分かることになるので、妻が狙われるのではないかと。

 

そうしているうちに、妻は警察署の女医・陈姗姗(陳姗姗);チン・シャンシャン (杨子姗;ヤン・ツーシャン)と仲良くなる。実は、この女医・陈姗姗は、殺された女性の幼なじみで、 事件の最初の通報者なのだ。

 

ここにくると、観客は、がぜん話しに惹き付けられていく。

”え〜犯人は女だった”っていう仕掛け(トリック)なのか?? と。

というのも、江豊は男性で、犯人に成り代わって殺人をしているのが江豊だから、当然男性が犯人と思い込んで見ているのだが、

”あ、そうか、記憶が入れ替わった相手(殺人犯)は女性ってこともあるのか・・・”

 

が、しかし、果してそうなのか・・・?

 

妻は陳姗姗に誘われて、古い屋敷を見にいく。

妻が危ないと、江豊は刑務所から命がけの脱走をして屋敷に行くと(住所は夢の中で見た)、そこには刑事の沈漢強がいた。

そして、床には血まみれになった陈姗姗が倒れており、妻は奥の部屋で死んでると言われる。半狂乱になる江豊だが、ここに至って江豊は真犯人に気づく、それは・・・・・・。

 

 

 

ツッコミどころ、笑

とにかく、2025年の近未来ということで、記憶を消す専門病院などの設備はいかにもSFってかんじだし、刑務所で勾留される牢屋も鉄格子じゃなくてガラス張りだったり、へんに凝っている。

しかし、警察署の様子や服装は、民国時代の様子をわざと取り入れていて、急にレトロ。

落差激し過ぎるって・・・。

私は最初、警察署の中で進行する話しが、夢の中の過去の記憶部分なのかと思ったよ。笑。

あと、ラストの部屋の中のでっかい人形の首・・・(←見たら分かります)、なぜに必要なのか・・・、私には理解できなかったわ・・・。

 

ま、そのような、視覚的に凝っていてよく分からない部分もあれば、

ネタバレになるので詳しく言えないのだけれど、話しに整合性がないとこもあった。

見ているときは疑問に思わないけれど、見終わったら、「あれ、でも、あの時なんで分からなかったの?」ってところが、何カ所かあって、むむむっと思ったのだ。

ああ、ほんとネタバレになるので、はっきり言えないのが残念。笑。

 

しかし、ラストは、夫婦愛によって救われるという話しなので、けっこう画面が暗くて凄惨なシーンが出てくるわりには、後味は悪くない。

 

あと、やはり黄渤氏の演技はすばらしいと思う。なんであんなに自然に、こんな不自然な役を演じられるのか。成功した作家と、夢の中の殺人者。まるで二重人格者を演じるようだったのだけれど、自然に見る側に入ってくる。

 

凝り過ぎとは言ってみるものの、そこが監督の個性としておもしろいと思う人もいるだろうし、サスペンス好きな人にはオススメの1本です。

 

 

 

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