邦題;グレートウォール あらすじ ネタバレあり

 

チャン・イーモウ(张艺谋・張芸謀)監督の最新作というので、話題の作品だが、

こちら中国では公開以来、賛否両論・・・。

 

確かに、うちでも意見が分かれたわ。主人は、「すごい迫力、よかった」と言い、私は「魂売ったのか?!チャン・イーモウ?!」と言う。笑。

 

ざっくりいうと、ファンタジー?映画。 

題名からは、歴史的な重量感のあるものを想像していたのだけれど、そうではない。

歴史に片足置きつつ、設定を借りた想像のお話し。

で、戦闘もの。とにかく、ずっと戦っている。

スターウォーズや指輪物語などの向こうを張って、中国だって作れるんだぞ、スケールも技術も負けてないんだ、って言いたいんだろうかと思いつつも、その意図がよく分からない。

 

世界に向けて売る気満々なのは、分かった。

主役にはハリウッドスターのマット・デイモンを配し、中華圏からも刘德华(劉徳華・アンディ・ラウ)、彭于晏(エディ・ポン)、张涵予(ジャン・ハンユー)など主役級の役者から、鹿晗(ルハン、元EXO)などのアイドルまで揃えた。他もみんな素晴らしい俳優、女優たち。

なにより、チャン・イーモウという世界的に有名な監督。

 

確かに、CGがCGに思えない実在感や、画面の迫力はすばらしかった。

チャン・イーモウらしい色彩の美感はあった。スケールもでかいし。

たぶん、すっっごいお金かかっていると思う。

 

さすがな所はいっぱいあったと思うのだけれど、肝心の中味(ストーリー)はつっこみどころ満載。笑。そこに難あり。

「よかった」という人もいるので、好みが分かれるのかもしれないが、ストーリーの深さでは、スターウォーズや指輪物語にはとうてい敵わないんじゃないかな。

 

というわけで、とりあえず、あらすじ・・・。

 

 

あらすじ

ウィリアム(マット・デイモン)とピエール(ペドロ・パスカル)は、噂に聞く”Black Powder”(←火薬のこと)を求め、ヨーロッパからやって来たが、契丹人に襲われ砂漠を逃げ回っていた。

仲間が次々とやられ、もうダメだ、と思った時に目の前に現れたのが万里の長城。しかたなく2人は、そこを守る中国軍に投降するのだ。

 

なぜか英語をしゃべれる女性兵士がいて、2人は尋問されるが、2人をどう扱うか決める前に、敵が来たと伝令が飛び込んできて、全員はあわただしく戦闘態勢に入り、ウィリアムとピエールも戦いに巻き込まれてしまう。

 

敵の来襲を知らせる烽火が上がり、全軍配置についている。壮観!

 

モンゴル軍でもやってくるのかな〜?と思ったら、なんと! 妙な獣の群れが、わらわらと・・・。

それは、饕餮(とうてつ)という獣。(ネット上には、正式な全身の写真は公開されてないです)

 

目だけ・・・。手だけ・・・・。って、基本的ホラーの手法?! 笑。

 

 

この映画では、中国で長城が造られたのは、この饕餮の侵入を防ぐためという設定だ。笑。実際の歴史との乖離に、思わず笑ってしまった。やっぱり、モンゴル人などと戦うと、リアル過ぎるからなあ・・・。(←あくまで個人の感想)

 

ちなみに、饕餮(とうてつ)とは、中国の伝説上の動物で、『山海経・北次二経』に紹介されており、羊の体、人の顔、虎の牙、人の爪を持ち、大きな頭で大きな口を持つという。

また、饕餮紋という独特の文様があり、これは5300年〜4300年前、揚子江下流域(主に、今の浙江省と江蘇省あたり)で発達した良渚文化跡から発見された良渚文化玉器によく現れている。他、普通に青銅器などにもよく見られ、現在では、中国のマンガやアニメ、ゲームなどでその意匠(って言っていいのか?)がよく使用されている。

 

 

という豆知識は置いておいて、・・・

この映画では、饕餮(とうてつ)は、女王を中心に群れを作っており、60年に1度人間を食べにくる。今まさにその時・・・という設定になっている。

 

ウィリアムとピエールは、巻き込まれた戦いで大活躍。

歩兵の彭勇:ポン・ヨン(鹿晗:ルハン、元EXO)の命を助けたことで自由を認められた。といっても、2人の目的は火薬を見つけ出すこと。盗み出し、逃げ出そうと相談していた。

そして、すでに長い間中国軍に捕われている西洋人のダフネ(ウィレム・デフォー)から、彼を一緒に連れて行く約束で、火薬の保管場所を聞き出す。(ダフネは、英語やラテン語、西洋の文化を中国人に教えていた。)

 

左;ピエール(ペドロ・パスカル)、右;ウィリアム(マット・デイモン)

 

ドジっ子歩兵の彭勇:ポン・ヨン(鹿晗:ルハン、元EXO)。

助けてもらった恩を感じ、ピエールとウィリアムと共に行動するようになる。

 

戦闘後に食堂で、ウィリアムは英語の通訳をしている林梅;リン・メイ(景甜;ジン・ティエン)と話す。

林梅は、5歳からここにいて女性兵士となり、外の世界を知らずに育った。英語は、ダフネからならったのだと言う。

ウィリアムも子供の時から軍隊にいて、下働きから兵士になり、弓の名手として傭兵となり、いろんな国を転戦しているからよその世界を知らない。

 

「俺たちは、同じだな」とウィリアムが言うと、林梅は「それは違う」と反論する。

「あなたはお金のために戦っているけど、私は国を守るために、国民や他の兵士との信任のもと戦っている、一緒にしないで!!」と。

 

林梅の言葉が心に刺さったウィリアムは、自分の命が危ない場面でも逃げないで、中国軍というか、林梅のために戦うようになっていき、金儲けのために火薬を盗み出すことだけ考えているピエールたちとは、しだいに考えや行動が合わなくなってくる。

 

 

こちらが、中国軍の重要人物↓↓↓

実は、真ん中の3人以外は、出番少なし。

でも一応紹介・・・左からいきます・・・

呉将軍、(彭于晏;エディ・ポン)

林将軍、(陈学冬;チェン・シュエドン)

総大将、(张涵予;ジャン・ハンイー)

林梅;リン・メイ、(景甜;ジン・ティエン)←真ん中

彭勇:ポン・ヨン(鹿晗:ルハン)

陳将軍、(林更新;ケニー・リン)

鄧将軍、(黄轩;ホアン・シュエン)

 

饕餮(とうてつ)との戦闘は苛烈を極め、総大将は死に、林梅が新しい総大将になった。

なんとか勝利したい中国軍は、饕餮に磁石を近づけると大人しくなることが分かり、弱点を掴んだと喜んでいると、饕餮たちは長城の下に穴を掘って、とっくに壁を越えていたことが判明した。笑。

 

このままでは都が大変なことになると、林梅やウィリアムたちは熱気球に乗って、皇帝のいる紫禁城へ向うのだが、もうそこはすでに饕餮が侵入していて悲惨な状況・・・。

さあ、人間たちは、饕餮を退治して平和を取り戻すことができるのだろうか。

 

 

画面の迫力を楽しむ・・・

そのような話しで、複雑な伏線もなく、”運命”のような重みもなく、ただただ戦闘が繰り広げられる。その迫力は、すごい。怖いくらいだ。

そういう意味では、主役は、数々のスターを押しのけて「饕餮」と言ってもいいくらいだ。

 

でも、ネタバレになりますが、・・・

饕餮が60年に1回襲ってくるとか、女王がいてその命令で動いてるから、女王を倒せばみんな死ぬとか、若干安易なのですよね。・・・。

それに、中国兵の戦い方も、まるでバンジージャンプ。笑。見た目はかっこいいけど、効率悪すぎて、あぜんとする・・・。

など、つっこみどころ満載。書ききれません。

 

チャン・イーモウの娯楽大作ということで、話題になるでしょうけれど、世界でヒットするでしょうか?

わたしは、映画で儲けようっていう商魂が透けて見えてしまって、ちょっと白けてしまったのが正直な感想です。

しかし、それを差し引けば、すごい迫力の映画。よくできている。

 

結局、アクションや画面の派手さを好む人には、おすすめできるが、チャン・イーモウのじ〜んと泣ける映画を好む人は、見ない方がいいと思う。

賛否両論、ご自分で確認なさってください。

すんません、ほんと、それしか言えねえ。笑。

 

 

劉徳華(アンディ・ラウ)も出演しています。(右)

 

 

 

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