邦題;君のいる世界から僕は歩き出す
(東京中国映画祭2017)
原作者の张嘉佳(ジャン・ジャージャー)が、私の住む南通市出身のため、南通ではかなり多くの人が、出足も早く観に行っておりますこの映画。
観た人たちの感想では、「まあまあ・・・」という反応だったけれど、
私は「かなりいい」「好きなタイプの映画」だった〜。
内容は、3組の男女の愛情物語。
それぞれが「愛別離苦」「怨憎会苦」「求不得苦」というテーマを持つ。これは、仏教の「八苦」から来ている。
ということを、見終わってから知った。笑。
見ている時は、なんでこんな3組も出てくるのかな。ちょっと繁雑な話しだなと思っていた。しかし、それぞれのカップルにテーマがあったのだなと分かると、それはそれで意味深い。
愛には、それぞれの始まりと経過と終わりがある。
愛し合っているのに別れなければならない「愛別離苦」、愛している相手を憎んでしまう、憎んでも離れられない「怨憎会苦」、求めても得られない愛の苦しみ「求不得苦」。
本来、人を幸せにするはずの「愛」。
と言っても、「愛」は人を幸せにして世界を平和にしてくれると、観念的には思っているということであって、実際には、人を苦しめることも多い不思議な感情だ。
それを、この映画は描いている。
小説では、3つの話しがそれぞれ独立して語られているが、映画では、混じって同時進行していく。だから、ちょっと繁雑な印象。「愛」の「苦」という側面を掘り下げるには、浅くなってしまったかもしれない。
けれど、仏教の教えがテーマにあるなどと感じさせず、さらっと見ることができるのは、今風なのかもしれない。
愛の形は様々なのだ、時代が変わっても尽きることのないテーマだ。
この映画、日本で上映しても、ヒットしそう。
あらすじ
陈末(陳末)チェン・モー(邓超(鄧超):ダン・チャオ)は、地方(四川省の成都)でラジオのDJをしている。(真ん中の人物)
左の茅十八:マオ・シーパー(杨洋(楊洋):ヤン・ヤン←最近人気急上昇中!)は従兄弟で、右の猪头(猪頭):ジュウ・トウ(岳云鹏:ユエ・ユンパン)は同級生。
3人は、遊び仲間だ。
陳末の番組は「从你的全世界路过」といい、視聴者からの電話に陳末が答える形式だ。陳末は相談者を慰め癒し、人気の番組だった。
ところが、2年前(記憶違ったらすみません)、付き合っていた恋人=番組のアシスタントにフラレてしまう。しかも、間違ってマイクが入っており、2人の会話が生放送されてしまったのだ。
それから陳末はやさぐれ、番組の人気は下がり、冴えないDJになっている。一方、陳末をふった小容;シャオ・ロン(杜鹃:ドゥ・ジュアン)は、局の副総裁に出世。
陳末は、事あるごとに上司となった小容にケンカ腰である。それは、今でも彼女を愛していることの裏返しなのだが、小容はそれがうっとうしくてしょうがない。
右の女性が小容。左が幺鶏。
ある日、陳末に新しいアシスタントがつくことになった。研修生の幺鸡(幺鶏):ヤオジー(张天爱(張天愛);クリスタル・チョウ)だ。彼女は以前辛かった時に、「从你的全世界路过」に電話をして陳末に慰めてもらったことがあり、密かに陳末の大ファンだ。(「幺鶏」は、麻雀の1番小さな牌のことで、名前を名乗ると場内爆笑。笑)
番組が始まると、激情タイプの幺鶏は、大声で相談者を罵倒したり励ましたり。それが大受けで、番組の視聴率はうなぎ上りに上がってくる。
陳末は、「番組の視聴率が1位を獲ったら、小容を嫁にもらってやる。ならなかったら、”俺は馬鹿だ”という札を持って町中を歩く」と宣言。別れた男にそんなこと言われて、小容は白けているのだが、陳末はそんな風にしか気持ちを表現できないのだ。
結果は1位を獲れず・・・。
猪頭は、1人の女性に入れあげていた。使った金額は、すでにン十万元。自分の生活にも困るほどだ。相手は、大学時代のマドンナ・燕子:イエンズ(柳岩:リウ・イエン)。見た目不釣り合いな2人だが、一応、付き合っている。
海外にいる燕子が帰国してくるというので、猪頭は同級生を集めてパーティーを企画した。プロポーズしようという勢いの猪頭に、燕子は「別れましょう」と。SNSや電話でできる話しではないので、今回、これを言うために一時帰国したのだと。
ショックを受けた猪頭は、その日から行方不明に・・・。
茅十八は、学歴はないがパソコンや機械に才能があり、独自にいろんな発明をしている。その彼を見つけるたびに追いかけてくるのは、女性警官の荔枝:リージー(白百何:バイ・バイホー)である。彼女は茅十八が好き、一種のストーカー。笑。
逃げ回っていた茅十八であったが、強気な彼女が男に振られて傷ついていたり、意外な一面を知るようになって、2人は急接近。一緒に暮らすようになる。
しばらく経った頃、茅十八と荔枝は、一緒に行こうと陳末と幺鶏を誘い稲城(地名)に遊びに行く。そして、茅十八は荔枝にプロポーズ。涙で受ける荔枝。←いいシーンです。
実は、陳末と幺鶏もサプライズの準備を手伝っていたのだ。・・・。
四川省の稲城(稻城亚丁风景区)は、美しい風景で有名。↓↓↓
チベット系の少数民族の住む地域で、行ってみたい場所のひとつ。でも遠い。
こんな風に3組の男女の話しが進んでいくのだけれど、中心は陳末の物語・・・。
陳末の痴呆症の母親の世話を、幺鶏が手伝ってくれるようになり、母親は幺鶏のことを陳末の嫁だと思い違いしている様子。
陳末と幺鶏の間もどんどん接近していくが、幺鶏は陳末が愛しているのは小容だと思い、2人のよりが戻るようにと企んで、自分は姿をくらましてしまう。
陳末の心の中では、幺鶏への愛が芽生え始めていたのに。
陳末を、さらなる事件が襲う。
茅十八が、暴漢に襲われた荔枝を助けようとしてナイフに刺され、死んでしまったのだ。
愛する幺鶏がいなくなり、仲の良かった茅十八もいなくなり、猪頭も連絡が取れないし、家では痴呆の母親の介護。
孤独に沈む陳末。そして彼は、稲城へ向う。そこで町のDJとなるのだ。幺鶏が、再び自分の前に現れるのを待ちながら・・・。
エンドクレジットまで
以前、なんども書いたことがあるけれど、中国ではエンドクレジットが始まると99.9%のお客は帰る。最後まで見ている人はいない。だいたい、すぐに明るくなるし、掃除も始まるし。笑。
でも、この映画は、みんな座っていた。
「ん〜〜? なんで?」
流れる王菲の歌がいいからなのかなあ?→『你在终点等我』
と思っていたら、なんと、最後に台詞があった。
それは、陳末の声で、誰かに電話している様子で・・・。
そこで観客は、幺鶏を待っている陳末の物語のラストを知る。
きっと、最後に台詞があるよ、と拡散しているのでしょう。
最後まで見る人がほとんどいないのに、誰が見たんじゃ と思うけれど。笑。
もしDVDで見る方がいらっしゃったら、DVDってエンドクレジットを切ってしまうことが多くないですか。だって、文字もテレビの画面だと小さいし。(私だけ??)
そんなことしないで、最後まで見て下さい。そこで、完結ですから。
*写真は、百度からお借りしています。
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