別名;『卧虎藏龙2』Crouching Tiger Hidden Dragon II: The Green Destiny
邦題:邦題;ソード・オブ・デスティニー(東京国際映画祭2016)




原作は、王度庐が書いた小説『铁骑银瓶」であり、2000年に公開された『卧虎藏龙』(日本では『グリーンディスティニー』と言った方が通りがよいと思うが)の続編である。

1作目は、李安(アン・リー)監督の作品で、アカデミー賞を受賞。
英語ではないのに、10部門にノミネートされ、外国語賞など4部門を受賞という、まさに「中国映画ここにあり!」という輝かしいものだった。

それに比べると、この2作目は、”国際映画祭に出品はないな”、笑、と思うのであるが、映画としては十分面白い。カンフー任侠映画として、見応えがあった。監督は、香港のカンフー映画の巨匠、袁和平だ。


あらすじ
青冥剣は、数百年前に、青龍の力から作られた。一度振るえば青龍の力が現れ出るという伝説の剣。それを持つ者が頂点に立てると言われ、そのために争いが絶えず、不吉な影がつきまとう。

シリーズ1から18年後のこと・・・、
青冥剣は、李慕白(周润发←今回は登場なし)から俞秀莲(杨紫琼、シリーズ1と同じ役。)に託され、無事に北京の贝勒の元に届けられたが、それを再び狙う者がいた。それは、数ある派閥を統一しようと企む戴阎王(贾森·斯科特·李)だった。

剣を受取った贝勒は亡くなり、息子に代替わりしているのだが、息子は、李慕白の「剣をここに置いておくと街が破壊されてしまうから、どこかへ移そう」という意見に反対する。父親の屋敷でこれを守るのが、父親孝行なんだと。

それで、李慕白は賞金を出して、屋敷を守ってくれる護衛を募集する。
そこにやって来たのが、彼女の子供時代の許嫁、孟思昭(甄子丹)だった。孟思昭は、仲間4人と一緒に来てくれたのだった。
(シリーズ1では、俞秀莲の恋人は李慕白だった。でも、同じ師匠の弟子同士での結婚は禁止だったので、実らぬ恋だった。2では、親が決めた許嫁だけど、結局大人になって約束は守られなかった相手が登場!守ってくれる男性がいて、いいですね。笑。)

屋敷には、どこからか入り込んだ女性が紛れ込んでいた。最初は怪しいと思うが、その女性・雪瓶(刘承羽)は、俞秀莲がよく知る女剣客・寒梅が育てた娘だった。もっと強くなりたいという雪瓶を、俞秀莲は弟子にする。

そして、最初の刺客がやってくる。魏方(岑勇康)だ。彼も強いが、1人だし、すぐに捕まってしまう。
減らず口をたたく生意気な魏方だが、彼の胸にある痣を見て、雪瓶は驚く。実は、雪瓶は亡くなった寒梅から探してくれと頼まれていた人物がいたのだが、それが魏方だと分かったからだ。

事情は複雑だが、簡単に言うと、寒梅は雪瓶の本当の母親ではなかった。寒梅の生んだ子は、赤ん坊の時に人に取られてしまったのだ。胸に痣があったのを目印に、ずっと捜していたが、見つからなかったのだ。それが、今見つかった。
その事情を、雪瓶は魏方に話した。そして、あなたはこんな悪い仲間にいるような人ではない。亡くなった母親のために、正しい心を取り戻して欲しい、と訴える・・・。

その後、戦いは、戴阎王たちが屋敷にやってきて、激しい攻防戦になる。
雪瓶は、屋敷が燃え盛る中、魏方を檻から出してしまった。魏方が改心したと、信じたからだ。
しかし、魏方は青冥剣を奪い、戴阎王の待つ山へと逃げて行く。魏方の真意はどこにあるのか・・・。そして、それを追う李慕白と孟思昭たち。

果して、青冥剣は、誰の手に落ちるのだろう。最後は、孟思昭と戴阎王の一騎打ちとなる。


任侠の原則
この映画で、おもしろいなあと思ったのは、孟思昭という人物が、典型的な任侠に生きる人として描かれていることだ。

まず、カンフーが強いこと。一生懸命鍛錬する。
そして、助けを求められたら、仲間を引き連れ馳せ参じる。
さらに、親が決めた許嫁で、結婚は成立しなかったけれど、まだ思いの残る李慕白に対しては、あくまで控えめに想いを押さえて、大きな愛で守ろうとする。(そんな彼を、李慕白はちょっと物足りなく思っているようであるが。笑)

そして、彼は言う「道義・責任・栄誉」があってこそ、本当なんだ。
ただ強ければいいわけじゃない。勝てばいいわけではない。「道義・責任・栄誉」を持て。

何を大切にして生きるかは人によって違うし、何が正しいか、簡単には言えない。
でも、この台詞があることで、この映画は1本芯が通ったものになって、記憶に残るものになったと思う。
国際的な賞は取れないとは思うけれど、エンタテイメント作品として、十分魅力がある。



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