邦題;『西遊記 孫悟空VS白骨夫人』




2016年の春節映画。
西遊記は中国ではなぜ?と思うくらい人気があり、去年の大ヒットの続編的に作られたのが、この「三打白骨精」だ。

「三打白骨精」は、西遊記の中のひとつの話しで、中国では、小学校の教科書に出てくる。
試験に、”一打、二打、三打、それぞれどんな姿(何に化けて)出てきましたか?” というような問題が出題されるという。つまり、学校で習うので、みんながよく知っているストーリーだ。

ストーリーはみんな知っているので、映画の見所は、やはりCGを駆使した影像ということになるだろうか。その世界を、どのくらい具体的に影像で表現するか、想像力とそれを実現する技術があってこそ可能になる。
読んだことがある方なら分かると思うが、実は、原文はかなり短い。中国語は”てにをは”がないから、特に短く感じるのだが、それでも、『花咲か爺さん』や『さる蟹合戦』くらいの話しなのだ。それを膨らませて、2時間の作品にしたイマジネーションはすごい。

出演者も、スターがいっぱい出ているが、なんといっても白骨精という妖怪役の巩俐(コン・リー)がすごい存在感。主役は孫悟空や三蔵法師なのだが、もうすっかり喰われちゃってます。


あらすじ
原文の物語に付け加えられている部分が、かなりあります。
大人が見ても耐えられるようになってます。・・・笑。

物語は、去年の春節に公開された『西游记之大闹天宫』の続きから始まる・・・
主役の孫悟空は、甄子丹から郭富城に変わっている。(郭富城は、去年は悪役の牛魔王役で出演していた。)


『大闹天宫』で五行山に閉じ込められた孫悟空(郭富城)は、通りかかった三蔵法師(冯绍峰)によって500年ぶりに開放されるが、紧箍儿(緊箍児・日本語では「キンコジ」と読む)を頭に嵌められる。そして、菩薩(陈慧琳、ケリー・チャン)から、それを外すには三蔵法師を守って経典を取って来るしかないと言われる。
途中に、同じく菩薩から三蔵法師と一緒に旅をしろと言われた猪八戒(小沈阳)と沙悟净(罗仲谦)が合流する。三蔵法師が乗っていくのは、龍が変身した龍馬だ。

白虎岭の上には、白骨夫人(巩俐、コン・リー)が住んでいた。彼女は、千年前に妖怪になり、三蔵法師を喰ったら不老不死になれると、彼らが来るのを待っていた。
まず、老婆に化け、一緒にいる妖怪たちは若い娘になり、三蔵法師たちを家に招き入れる。もてなすフリをして隙をうかがっているのだが、孫悟空だけは彼女たちが妖怪であることを見抜いた。孫悟空の目は、火眼金睛。妖怪の姿が見えるのだ。

孫悟空は、円の結界を作って三蔵法師をそこに入れる。しかし、白骨夫人はうまく三蔵法師を誘い出し、生気を吸おうとしたところを、孫悟空に如意金箍棒(ニョイキンコ棒)で攻撃されてしまう。そして、抜け殻の死体を置いて逃げてしまう。
その死体を見て、三蔵法師は激怒する。三蔵法師の目には、老婆は老婆にしか見えないため、孫悟空が人を殺めたと思ったのだ。そして、「緊箍咒」を唱えると、「緊箍児」がぎりぎりと孫悟空の頭を締め付け、孫悟空は苦しみ、とりあえず反省の意を表す。(心の中では、何で分かんないんだ!と思っているのだが。)

街に入ると、王様から「白骨夫人がやって来てから、たくさんの子供たちがさわられてしまった。どうか子供たちを助けてやってほしい」と頼まれる。
ところがそれは嘘で、子供をさらっていたのは王様だった。王様の左手は呪いのために、毎日子供の生き血を飲まないと腐ってしまうのだ。そして、王様は、三蔵法師の血で完治すると信じて、三蔵法師を捕らえようと企んでいた。
そこを救ったのも孫悟空で、子供たちは母親の元へ無事帰っていった。

街を去ろうとすると、母親たちがお礼の品を持って三蔵法師の元へやってくる。ところが、その中に、母親に化けた白骨夫人が混じっていた。それを見抜いた孫悟空は、またもや白骨夫人と戦い、打ち殺してしまう。白骨夫人は、死体から抜け出て逃げていった。
死体を見た三蔵法師は、再び激怒する。孫悟空は、妖怪だったんだと説明するが、三蔵法師は信じない。そして、三蔵法師から破門されてしまった。

猪八戒と沙悟浄と旅を続ける三蔵法師だったが、今度こそ本当に白骨夫人に捕まってしまう。三蔵法師と孫悟空を仲違いさせたのも、白骨夫人の計画通りだったのである。
三蔵法師は、白骨夫人が妖怪になってしまったいきさつを聞く。若くして嫁いだ家に災難が続き、それは全て白骨夫人のせいだとされ、おまえは妖怪だ と虐げられるうちにほんとの妖怪になってしまったのだと。
三蔵法師は白骨夫人を哀れに思い、自分の命を捨ててでも彼女を救おうとするのだが、もはや妖怪になってしまった白骨夫人にその心は届かない。

そして、孫悟空は菩薩に諭される。三蔵法師があなたを捨てたのだのではない。あなたが三蔵法師を捨てたのですよ。あなたの心に問題があったのですよ・・・。今一度、三蔵法師の元に行き、彼を守るのがあなたの役目なのだと。

そこからは、ひたすら戦闘シーン。猪八戒も沙悟浄も、がんばります。笑。
そして、最後は、白骨夫人もめでたく成仏し、4人の旅は続くのであった・・・。
(続きは、また来年の春節・・・だと思う。笑)


つっこみどころ
別につっこまなくてもいいのだけれど、戦闘シーン。
もうハリウッドの影響を受けすぎていて、なんかどっかでみたことがあるような・・・、
それ、アイアンマンか!! それは巨神兵か!!(←ハリウッドじゃないけど)・・・などと、つっこみまくって見ていた。笑。

しかし、いろいろ言っても、ここまで原作を鮮やかに映画にして、ほんとうにすごいです。影像だけでなく、白骨夫人が妖怪になった理由なども付け加えて、深みのある話しになっているし。
観客には、子供連れが多かったけれど、大人も十分楽しめるようになっている。


でも最後に、これだけ・・・・
個人の好みだとは思うが、孫悟空だけれど、わたしは去年の甄子丹のほうがよかった。戦闘シーンの動きの美しさが、今年の郭富城よりも美しかったわ。みなさんはどう思いますかね?
来年は俳優が変わるのか、それともこのまま行くのか、わたしは甄子丹に戻って欲しい~。笑。


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