去年の10月に公開、見逃していたので家で見た。
とにかく、カンフー映画が好きだから。笑。

この映画は、甄子丹(ドニー・イェン)と王宝强(ワン・バオチャン)という2大スターの共演が見られる。

甄子丹は、武術界のサラブレッドだ。
母親は、麦宝婵という世界的に有名な武術家。その母親に、幼い頃から太極拳やカンフーを習い、10歳のころ両親とともにアメリカに移住してからは、ボクシングなど西洋の武術も学びつつ、カンフーのアメリカチャンピオンに輝いている。彼は、子供の頃からブルースリーの大ファンで、よく真似をしていたという。そして、今は自分も映画スター。

一方、王宝强は貧しい家に生まれた。
洋服も満足に買ってもらえないという境遇の中、ジェットリー(李连杰)の映画『少林寺』を見て、映画俳優を夢見ている少年だった。8歳で嵩山少林寺に入り、武術の練習に励んだ。寺に入ると食い扶持が1人減って家族の生活が楽になるから、一石二鳥なのかなと思ったりするのだが、その後、カンフー映画のその他大勢から始めて、現在のような人気の俳優になったのである。

辿って来た道は違うが、2人が子供の時から訓練してきたカンフーは本物である。俳優としてアクションも演じる必要があるから練習したという、そういう ”見た目かっこいいアクション” とは違う凄みがある。

というわけで、カンフーシーンを堪能したい人には、おすすめの1本!!
お笑い系ではない、シリアスなカンフーシーンが盛りだくさん。


あらすじ
夏侯武(甄子丹)は、佛山の合一門という流派の1番の遣い手だった。警察にも武術を教える師範も勉めていたのに、戦った結果相手を殺してしまい(←そのくらい強いということ)自首、刑務所に入っていた。

ある日、夏侯武は、刑務所内のテレビで殺人事件が起こったことを知った。殺し方を見た夏侯武は、犯人は武術の達人だと見抜き、担当刑事・陆玄心(杨采妮)(←女性長官)に言う、
「犯人が誰なのか今は分からないが、これは連続殺人事件だ。これからまだ殺される。」と、8人の名前を列挙する。犯人は恨みなんかじゃない、自分の力試しに戦いを挑んでいるんだと。
女性長官は、根拠がないとして夏侯武の話しを一旦無視するが、数日後に、8人のうちの1人が殺さた。それで、夏侯武は刑務所から出て、香港警察に協力することになった。

夏侯武によれば、武術には学んでいく道筋があるという。まずは手技、次に足技、そして武器(剣など)を使った技、・・・。犯人は、その順に対戦を挑んでいる。まず最初に殺されたのは、手技では1番と言われる人物で、次は足技の1番。(←ここらの戦いシーン、見所です)

だから、この次は、武器遣いの達人・兵器王(樊少皇)だろうと予測。しかし、そんな話しをしている間に兵器王は、すでに襲われていた。(←ここも、カンフーかっこいい! 次々とその場にあるものを武器にして戦う。剣を折られた武器王が、3メートルもある鉄パイプに持ち替えると、犯人=王宝强なんだけどね、笑、が、普通のカッターナイフや小さなナイフで挑んでいく。)
で、結局、武器王は殺されてしまう。
さらに、現場には、燕をモチーフにした飾りが残されていた。それは、前の2人の時にもあったもので、ますます同一犯よる連続殺人だと確信が深まるのだ。

夏侯武は、捜査の合間に、妹弟子の单英(白冰)に会いに佛山に帰った。单英は、夏侯武が服役した後、1人で合一門の道場を守ってくれていた。夏侯武は单英を愛しているが、それは秘めた思い・・・。(といっても、周囲にはばればれ。笑)
そして、荷物を確認していた夏侯武は、小箱から燕の飾りを見つける。单英によれば、夏頃1人の男がこれを置いていったのだという・・・。

詳しい人物に見せると、それは、昔、科挙の試験があったように、武術の御前試合もあり、そこで状元(一位)になった者が皇帝から賜る "堂前燕” という物だというのだ。優勝メダルのようなもの。そのレプリカだと。
そして、そこにいた1人が、数年前に堂前燕を持つ人物に戦いを挑まれたことがあることを思いだした。もちろん、負けると思って断ったのだが。笑。
その人物の名前は、封于修(王宝强)。生まれつき足が不自由で、左右の足の長さが違う特徴がある。かなり修練したんだろうと感心した覚えがあると。


警察は、本格的に封于修を捜し始めた。しかし、どこにいるのか分からない。そこで、癌で亡くなった妻の命日に帰ってくるだろうと、家で張り込んだが逃げられてしまう。
一方、封于修は、当代一の遣い手と言われる夏侯武と戦いたがっていた。封于修は、カンフーは子供の遊びじゃない、どちらかが死ぬまで戦うものだという思想の持ち主だ。夏侯武は、そんな封于修と戦いたくない。武術で人を2度と殺めたりしないと、单英に誓ったからだ。
しかし、封于修は夏侯武の闘争心を刺激するため、单英に死にそうな重傷を負わせてしまう。(封于修は、殺したつもり)

单英を愛していた夏侯武は、まんまと封于修の計略に乗り、怒りに駆られて封于修に戦いを挑む。
ここからが、甄子丹と王宝强の一騎打ちシーン。クライマックスの見所。舞台は、港に近い幹線道路上で、大きなトラックが通り過ぎる。それもいろいろ利用しながら、2人の死闘が繰り広げられる。←最大の見せ場。

カンフー映画に敬意
どちらが強いかを決めようというカンフー映画は、現代を舞台には少ない。・・・。
もう、そんな肉弾戦で戦うということが現実的ではないから。

でも、この映画では、あえて、カンフーにとり憑かれた封于修という人物を設定することで、現代のカンフー映画 を撮っている。
それは、やっぱりカンフー映画への愛ですね。

それが分かるのは、エンドロールで、ちょい役の人たちが実は・・・・と、次々と紹介されるところである。
トラックの運転席から振り返った男性が武術指導の方だったり、ちょっとした台詞の役が有名なカンフー映画の監督だったり、ええ!ほとんどの出演者が、カンフー映画界に貢献してこられた方ばっかり!! 裏方に光を当てるという、リスペクトを感じる。

しかしながら同時に、カンフー映画は、これからどうなるんだろうなとも思った。
ブルースリーがいて、その後、お笑い要素をいれたジャッキー・チェンが出てきて、笑いの形を進化させたチャウ・シンチー(周星馳)が出てきて、その後は・・・? どんな進化がある? それはまだ姿を見せていない。

求む!新しい才能!!
でないと、衰退していってしまうかもしれない。がんばれ、カンフー映画!


◆観客からの評価点6.5点



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