アメリカには、その年の ”しょうもなかった” 映画に与えられるラジー賞(また名をゴールデンラズベリー賞)という映画賞がある。

"しょうもない” といっても、本当に箸にも棒にもかからないというわけではなく、ユーモア、しゃれの世界である。(と私は思ってる。笑)大作映画だと大々的に宣伝しておきながら、こけてしまったり、名優、大スターが出ていて話題だったのに、なにこれ?的な出来だったり、「惜しい・・・」という作品が受賞しているように思う。

中国では、”烂片“ という言葉があるのだが、これが若干ラジー賞に匹敵するのかな。(”烂” とは「腐っている。ぼろぼろ。でたらめ。度を超している」で、”片” は「映画」という意味。でも、さすがに”烂片奖” というものはない。)

『看天下』(2016年1月8日、第01期)という雑誌は、映画評論家や脚本家、作家ら5人に、今年の”烂片“ は何だと思いますか? というアンケートを行っている。
そこで5人中3人があげているのが、『九层妖塔』。


(百度から写真をお借りしてます)

これは、大人気小説が原作で、それだけでも話題だったのに、出演者もスターがそろい、CGを使った特撮も金がかかって制作費も大掛かり・・・、みんな期待して見に行ったのに、期待を裏切ること甚だしくてがっかり、というものだった。←これぞラジー賞っぽいでしょ? 笑

原作を読まずに見た私でも、う~ん これはあかんな、と思ったくらいなのに、原作のファンの人はもっとがっかりしたようで、その理由は、登場人物の名前が同じなだけで、内容がまったく原作と違ってしまっていたというのだ。それは、いかんよね。
中国映画ラジー賞は、今年はこれかなと思うわ。笑。

ちなみに、よかった映画については中国电影艺术研究中心から正式な見解が出ていて、観客アンケートの結果、1番満足度が高かったのは、『老炮儿』。2位は、『寻龙决』。(『江海晩報』2016年1月17日)
どんな観客何人に、いつアンケートとったのか分からないが、両方とも最近公開された映画で、もっと前にいいのもあったんじゃないか、ちゃんと思いだしてる? と思ったりするのだが、・・・笑。

今年、中国で公開された映画の総数は、720!! すごい数だ!
その中で、よい作品として名前を残すのは素晴らしいことだが、『九层妖塔』のように”烂片“と言われながら話題にのるのも、それはそれで、たいへんなことだと思う。これも一種の成功と言えるのか??? もっとも、それを狙って作ったわけではないと思うけれど。