邦題;『ロスト・レジェンド 失われた棺の謎』

原作は、天下霸唱の大人気小説『鬼吹灯』だ。
今年の10月、この原作からすでに『九层妖塔』Ghost Blows Out: The Nine-Story Demon Tower という映画が制作されて、そこそこヒットした。
これは、それとは別物。制作した映画会社も、キャスティングも違う。シリーズものではない。


この『鬼吹灯之寻龙诀』、制作費は、なんと!2.5億元(約50億円)!(うち7000元(約1億4000万円)は宣伝広告費らしい)。びっくりですねえ。

そして、公開初日(12月19日から14時間の間)に売れたチケットは、16,020万枚!! 
その日、中国中で売れたチケットの66%を占めたという。いや~、またびっくり。笑。

この都会とは言えない南通でも、10の映画が公開中なのだから、ざっくり言うと、1つの映画で6割、残りの9つの映画で4割を分け合ったということになる。
今日は公開から5日目(23日)だったが、満席だった。

初日からこのヒットぶりというのは、宣伝にお金をかけたということもあるだろうが、キャストの中に、出る映画は全て大ヒットするという黄渤氏がいたというのが、最大の宣伝だったと思う。黄渤氏が出てると聞くだけで、見に行こうと思う。笑。ほんとうに、ハズレがない俳優なのだ。

今回も、私は面白かった。ハリウッドばりのCG、迫力だった。


あらすじ
原作小説は、墓泥棒の物語。墓泥棒には4つの派閥がある(小説上の想像の話し)。それぞれに門外不出の技術があり、現代に伝えられている。
この映画の主人公・胡八一(陈坤)は、最大の派閥の摸金に所属している、摸金符を持つ摸金校尉である。
彼は、同じく摸金校尉であり過去にも多くの冒険をともにした王凯旋(黄渤)、Shirley杨(舒淇)とともに、アメリカにいる。アメリカ国籍を持つShirleyとは違い、胡八一と王凯旋は不法滞在者。路上で中国の骨董を売っている。

そりゃほんとうに墓泥棒!!笑。と思うのであるが、次に、その昔には飢饉があり、皇帝の命令で古代の墓の中にあった食料を取り出して民百姓に配るために始まった盗掘なんだ、人助けが始まりなのだと説明が入る。

胡八一は、無精髭も伸び、ずいぶんと荒れた生活を送っている。それは、過去に好きになった女性・丁思甜(杨颖)が目の前で死んでしまったことがトラウマになっているのだ。今でも彼女の夢を見る。

文革時代の20年前、胡八一と王凯旋と丁思甜は、他の若者たちとともに、モンゴル方面に送り込まれた。男性二人は、丁思甜に一目惚れ。丁思甜は、胡八一が気になるようであった。
彼らは移動の途中、偶然入り込んだ旧日本軍の地下基地で、ゾンビにの大群に襲われた。その時、自分を犠牲にして胡八一と王凯旋を助けたのが丁思甜だったのだ。丁思甜に思いをよせていた胡八一は、彼女を死なせてしまったことを悔やんでいるのだ。
今は、胡八一とShirleyは恋人同士であるが、Shirleyは彼の心から丁思甜が消えないことを知っており、切ない思いをしている。

ある日、骨董商の大金牙(夏雨)から、依頼がくる。中国のとある遺跡?墓?に入ってある物を探して欲しい。それは、彼岸花の模様の銅鏡だった。
彼岸花の模様は、丁思甜を死なせてしまった場所にもあった。縁を感じた王凯旋と王八一はその仕事を引き受け、Shirleyもその仕事に加わった。

依頼の主は、生まれながらに陰陽眼(左右の眼の色が違い、霊魂が見える)を持つ虹姐という女性宗教教祖であった。虹姐とその取り巻き達と洞窟に入っていけば、彼らが勝手な行動を取り、取り巻きの者達がゾンビになって襲ってきたり、出られなくなってしまう。そのピンチを伝来の技、八卦を使った方法で解決していく胡八一。

しかし、脱出しようとする胡八一と違って、王凯旋は奥へ行こうとする。王凯旋もまだ丁思,甜の事を引きずっていた。だから、彼岸花の模様を手掛かりに彼女が死んだ場所へ行き、20年前の出来事に心理的な決着をつけたいからだ。また、友人として、胡八一にもその心の傷から立ち直ってもらいたいからだ。

虹姐たちとは別行動で行こうとする胡八一達に、虹姐達の邪魔が入る。(そりゃ、依頼主だからなあ~。勝手に行かれたら契約違反だよ。)
虹姐の目的は、彼岸花の銅鏡を3つ集めることであった。それは、遺跡?墓?の中央に眠る契丹の皇女の墓を開く鍵なのだ。虹姐は、世界を救うためだというのだが、なんだか怪しい・・・。実は、皇女が持っている石は隕石で、死者を蘇らせる力があるのだ。虹姐は、それを手に入れたいのである。

いよいよ墓が開けられる時が来た。虹姐の本当の目的は何なのか。死者たちが蘇る時、一体何が起こるのだろうか、・・・。


エンターテイメント作品

見所は、そのお金をかけたセットと特撮だろう。
すごい迫力だった。もうハリウッドに負けてない。

近々、四川省成都に中国版USJができるという計画がある。
中国独自で創るので、メインキャラクターは西遊記の孫悟空にほぼ決まりじゃないかと思うし、三国志演義系や水滸伝系など、なかなか豊富で楽しそうである。

この映画のセットも再現されて、乗り物に乗って、冒険を探検するところが想像できた。「吹鬼灯:寻龙決館」。笑。
本当にそうなるかは分からないけれど、そのくらい印象に残るものだった。

ただ、エンタテインメントに徹しているから、主題は弱いし、深みはない。
でも、そういう映画も悪くない。現実離れした世界に入って、スカッとしたい。アクションも主題もなんて、全ての映画が『スターウォーズ』にはなれない。

わたしは、十分楽しんだけれど、難点を言えば、人間関係や状況が若干分かりにくい。
というのも、8部ある原作のうち、これはいきなり5部の映画化だからなのだ。4部までの話を見ないまま5部が始まるってどうよ⁉︎ である。

聞くところによれば、1~4部と5~8部は、異なる映画会社が権利を買ったという。
先に公開された『九层妖塔』は、1~4部の製作権を取った会社が作っている。この『寻龙诀』は、5~8部を買った会社による制作。
見ている側としては同じ小説の原作だからシリーズなのかなと思ってしまうが、全く関係ない。
だいたい、『九层妖塔』は、原作とは別物になっちゃって非難轟々だったが、『寻龙诀』は、原作には忠実だ。

それはいいけど、結局、人物の設定などが分かりにくい原因は、4部までの内容については映画化する権利がないのだから、そこまで戻って少し説明したりもできなくて、突然始めるしかなかったんだろうなと推測する。

過去に何かあったんだなと思うんだけど、最初の10分くらいは、飲み込みにくいなあ~というかんじだった。
そこを除けば、見て損はないエンタテインメント作品。次回作も、主要人物は同じキャスティングでお願いします。見に行きます。


◆観客の評価点、7.7点。

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