第18回上海国際映画祭で、監督賞(曹保平監督)と主演男優賞(邓超,段奕宏,郭涛)を獲った作品。
主演男優賞といえば、普通は受賞者1人だと思うが、これは3人の男優が受賞している。見る前には、なんで?と思ったが、見終わったら納得。確かに、3人とも素晴らしい演技で、それがあってこそ成り立つ話しだ。

特に、邓超! 超売れっ子で、いままでいくつもの作品を見てきたけれど、見直したよ。←おまえに言われたくない。上からすみません・・・。笑。
こんなに演技が上手な俳優だったのかと、びっくり。

また、原作は、女性作家・须一瓜の長編犯罪ミステリー『太阳黑子(太陽黒子)』だが、映画の脚本もよくできている。

最後まで目が離せないストーリーと俳優陣の熱演、そして、それを引き出した曹保平監督が受賞をするのは当然と思われる。
日本で上映しても、ヒットしそうだ。


あらすじ
舞台は、中国のアモイ。7年前に、一家5人が惨殺されるという事件があった。じいさん、ばあさん、父親と母親、それに娘。娘には乱暴された跡があった。犯人は、まだ捕まっていない。

スクリーンには、3人の若者、辛小丰(邓超)と杨自道(郭涛)、陈比觉(高虎)がケンカしながら逃げるシーンが映し出される。動揺しながらテンパって、途中、陈比觉は不慮の事故で失明してしまう。

7年経った現在、辛小丰は协警という警察の1番下の階級の仕事についている。杨自道はタクシードライバー。陈比觉は、漁師だ。3人は、孤児の女の子をひきとって、3人で育てている。


警察署に、新しい刑事・伊谷春(段奕宏)が赴任してきた。彼は、当時の上官が、一家5人惨殺事件を担当したので、非常に強い印象をもっている。自分の部下になった辛小丰を見ているうちに、7年前の事件と彼は関係があるのではないかと疑うようになってくる。怪しいが、証拠がない。

一方、辛小丰は、自分が疑われていることを杨自道に報告し、お互い行動に気をつけるようにしようと言う。しかし、うまく隠しているつもりが、実は、彼らの住んでいるアパートの大家は盗聴が趣味で、彼らの話しは全て大家に聞かれていた。大家は、独自に表など作って、ノートを引き出しにしまっているのだ。・・・。

ある日、杨自道は、ひったくりを追いかけて走る女性・伊谷夏(王珞丹)を助けた。この女性、偶然にも、辛小丰を疑っている伊谷春の妹だった。できるだけ関わりたくないが、妹は杨自道を好きになってしまい、何かとからんでくる。
彼らが育てている7歳の女の子は心臓が悪くて、手術をすると、妹はお見舞いにきたり、ついには、杨自道に体当たりでせまっていく。←肉食系。

伊谷夏から見て、辛小丰は真面目で優秀な部下だ。また、共犯者だと思われる杨自道は妹を助けてくれたいい人物で、彼らは孤児を引き取って育てるという人道的に立派な行いをしている。
7年前の事件については、彼らが犯人だろうと、疑いは確証へと変わっていくのだが、伊谷春は彼らを逮捕できるのか・・・。


緻密な脚本
私の書くあらすじは、ざっくりすぎて、脚本のおもしろさを伝えることができない・・・。すみません。笑。

香港の警察ものみたいに、物語はすごく緻密。そして、ダイナミック。


見所は、心理描写とアクションシーン。
過去の悪事を隠して生きる人物の、どこか薄暗い雰囲気。孤独感。葛藤。
何が正しくて何が間違いなのか、どっちが正解? と観客に問いかけてくる。

そして、警察の仕事として、伊谷夏と辛小丰が出撃していく事件の数々。犯人逮捕までの、過酷な任務。どきどきのアクションシーン。

心理描写が「静」とすれば、アクションシーンは「動」。
その「静」と「動」の配置と折り合いが、絶妙。ゆさぶられて沈められる。


このブログは、けっこうネタバレで最後までストーリーを書ききってしまうことが多いのだが、これは書きたくない。ぜひ、見て欲しい~。


この映画は、日本で上映してもヒットしそう。
ただ、疲れている時には見ない方がいいかもしれない。ちょっとハードかな。笑。


◆観客からの評価点、7.9点と高得点ついてます。



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