私の祖父は45歳のとき

住み込みのお手伝いの女と

駆け落ちした

 

 

亡くなったのは

それから50年後

95歳のときだった

 

 

その不倫女との間に

2人か3人の子どもがいる

(当時そんなことには

関心がなかったので定かでない)

 

 

ただ・・・

この不倫カップル

籍を入れることはなかった

 

なぜって

私の祖母が離婚しなかったから

私の母の兄弟5人とも

両親の離婚を許さなかったようだ

(と言うか不倫女のことを)

 

 

 

 

 

 

祖父が離婚を

申し出たことが

あるかどうかはわからない

 

 

少なくとも祖父は

自分が悪いことを認めた

家族がお金に困らないようにした

 

そして

祖母との籍はそのままで

(つまり祖母と夫婦のままで)

50年も新しい家族を作って

その家族と生活していた

家にも帰らなかった

 

 

 

 

 

だがその50年の間

私の母とは

連絡をかかさなかった

 

 

 

90歳ぐらいまで

20キロの道のりを自転車で

母に自分の年金を

届けに来ていた

(さすが不倫男はタフと

 その時も思っていた)

 

 

一度ちょうどその現場に出くわした

冬だった・・・とても寒い地方である

 

 

「寒かったでしょ」

と言う私の母に対して

「寒くて死ぬかと思った」

と高齢の祖父はか細い声で言った

 

 

そのときの祖父は

女がほっておけないような

女に甘えるのが上手い男特有の

雰囲気を90歳でも

醸し出していた

背が高く男前だった

 

 

 

私自身も幼い頃からいつも

お小遣いや入学などのお祝いを

もらっていた記憶が鮮明にある

 

 

 

母は祖父に私たちの行事を報告し

その都度お祝いを要求していた

 

そうすることでしか母は

自分を不幸にした父親と

親子の絆を保つことが

できなかったのだと思う

 

それをすることで

父親の愛情を感じ

不倫女への憎しみを

こらえてきたように思う・・・

 

 

 

 

つい最近

ここに祖父のことを書き始めてから

私が誰にも言えなかった

母の昔のある話の真実がわかった・・・

 

なぜ母は生前

その真実を私に言わなかったのか

実は母は高校生の時・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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