夫の不倫が発覚して
借金も発覚して
私は自分の信頼のおける
ほんの一握りの人たちに
夫のことを相談した
みんなが口を揃えて私に離婚を勧めた
そんな中で
1人だけそうでない人がいた
その人は
私が仕事でお客様として知り合った
私より30歳年上の
亡くなった母と同い年の女性
彼女は
今から50年前に北欧に留学し
長く大学教授として
デザインを教えていた
英語も堪能で
見た目もオシャレで
素敵な方
私は彼女を先生と呼んでいた
先生は言った
「あなたのご主人はよほどチャーミングな人なのね」
「そんなに女性にモテるなんて」
「とても魅力的で素敵な人なんでしょうね」
また・・・
「あなたは未練があるのね」
「そんな時はことを急ぐ必要はないと思う」
「それでいいんじゃない」
その時の私はその言葉に救われた
先生以外の
私を心配してくれる人たちが
100%離婚したほうがいいと
私に言ってくれていた時期だ
先生は生涯独身で現在84歳
海外生活も長い先生が
意外なことを言う
「日本と言う国で
配偶者があるという事は
とても強いことなの」
「私がそうでなかったから
わかることなんだけど」
私にとって先生は
かけがえのない
大好きな人
もしかしたら亡くなった母を
先生に重ねているのかもしれない
私が引っ越してしまって
もう会う機会は
訪れないのかもしれないが
先生に話を聞いてもらうだけで
心がラクになったことは
決して忘れない
先生は今も一人暮らしで
オンラインで長唄を習っている
自分の弾く三味線の音色に
癒されて
長唄が生き甲斐だという
夫の不倫があったからこそ
自分を思ってくれる人の存在を
知ることができた
そうだ・・・
先生に久しぶりに連絡してみよう
先生の笑顔を思い浮かべながら
そう思った・・・
