やたらとタイミングが合う人がいる。

結婚前に付き合っていた、

とてもかわいい顔をしている9個下の元彼。

今は仕事で海外に居る。


「怒るとつかれるから、17歳くらいの時には怒らないって決めたんだ」。


その言葉通り、彼はいつも穏やかで優しかった。


でも。

夜はなかなか強引なオラオラ系。

そして、そんなギャップを持つ人こそが私の理想だった。

今考えてみても、私の恋愛歴史の中で一番タイプで、

一番夢中になったのが彼だと思う。

そして、やたらとタイミングが良いところも、

当時の私には運命の人の様に思えた。

例えば、


「あ~誰か助けて〜えーん


と思った直後に


「大丈夫?なんか気になった」


と連絡が来たり、


「今日会いたいな〜照れ


と思った直後に


「今日会おうか」


と連絡が来る。


こういったことが付き合っていた頃も、

別れてからも度々あった。


私自身も、


「あれ。なんか胸がざわつく…」


そう思って連絡をしてみたら、


「うっそーすご。今コロナで辛いとこ」


と、高熱を叩き出した体温計の写真が送られてきたり、


「今朝スマホ落としてめっちゃ探しまくってやっと発見したとこ!」


と、返信が来たりした。

そんなこんなで、私は彼とどこか通じ合っている気がしていた。


そして今日。

相変わらず夫とのセックスに悩んでいた私は、会社に置いてある手鏡を見つめていた。

その鏡には、元彼ととったプリクラが今だに貼ってある。

本来は剥がすべきなのだけど、可愛すぎて剥がせなかった。


「この頃はまさかこんな事(セックス)でこんなに悩むなんて思わなかったな…」


穏やかに微笑む元彼のかわいい顔を見つめながら、小さくため息を付いた。


そしてしばらくすると突然、彼から連絡が来た。


「日本に帰るよ」


突然、一言。


私はプチパニック。


なぜ今?

なぜこのタイミングで?

そんで日本に帰るって?

は???


私は、


「?」


とだけ返信した。

そもそも、彼から連絡が来るのは1年ぶりだ。


「飛行機のチケットが安くなってきたし、休みも取れそうだから一週間くらい日本に帰るよ」


…ほう。

…そうか。

一時帰国か。


…なんてタイミングなんだ滝汗


元彼の一時帰国。

それを聞いた私の頭に真っ先に浮かんだのは、元彼とのセックスだった。

普段穏やかで優しい彼だったが、一度スイッチが入ると料理中でも、テレビを見ていても、寝起きでも、いつでもどこでもセックスをしたがった。

そして、その時だけは別人のように男らしく、荒々しく私を扱った。

私はそんな彼とのセックスが大好きで、彼に求められることがとても幸せだった。

そんな日々の記憶が、彼の「日本に帰るよ」の一言で、一瞬にして蘇った。

私はいよいよ頭がおかしくなったのかも知れない。


しばらく元彼と最近どうなの的な話をした。

どうやら彼は1年間仕事に没頭、なかなか成功したらしい。

ベンツ買ったよ〜と報告してくれた。

しかし私は内心ベンツどころではない。

夫婦関係が微妙なこの状態で、自分の一番理想の人が帰国する。

とりあえず、


「元気そうで良かった、戻ったらご飯行こうね〜」


とやり取りを締めくくった。


が、彼からの突然の帰国宣言に動揺しまくった私は、なんでも話せる仲の良い同僚に元彼が帰国することを話した。

以前から恋愛相談をしていたので、元彼が私の理想のタイプであること、そして私達夫婦が性生活に悩んでいることを同僚は知っている。

同僚は、ニヤっとしながら、


「さてぇ〜?どうするのかなぁ〜?ニヤリ


と煽りだした。


どうもしない。

出来るわけない。

私は夫を愛している。


態度が変わってしまっても

会話が少なくなっても

愛されているのか不安になっても

セックスが上手くいかなくても


私は夫を愛している。


と、自分に言い聞かせる。


万が一、元彼とやらかして、

万が一、夫にバレてしまったら。

全てが終わる。

それを想像して、自分を抑える。


同僚には、

「いやっなにもしないよ〜爆笑

と答えた。


しかし久々にびっくりさせられた元彼のタイミングの良さ。

偶然、たまたま、なんの意味もない。

そう思えないほど多くのナイスタイミング歴史がある。

帰国の時期はまだわからない。

その時、私はどうなっているのだろう。


ちなみに、元彼には私が結婚したことを話していない。