LALALA 人生で二度目の恋のはなし

LALALA 人生で二度目の恋のはなし

30代前半、結婚を間近に控えて訪れた、
人生二度目の恋に、
情けなくも戸惑い苦しんだ日々を記録してます

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私には幼少の頃から父に愛されていたという実感が無い。
あまり詳しくは書きたくないのだけれど、色々と可哀想な人だった。

父に愛されたいと願ったことは一度もなかったけれど、誰かに愛されたいという気持ちは幼少の頃からずっと持っていた。

でも、母は世界中のどの母親にも負けないくらい私を愛してくれていたから、孤独だったわけじゃない。
なのにこの寂しさや孤独感はなんなのだろう??そうずっと思って生きてきた。

異性と恋に堕ち、交際をするようになって気づいた。
私には本来父親から与えられるはずだった、異性という存在からの愛情が足りないのだと。

私の異性への愛情は屈折していると思う。
本来好きな人とは毎日楽しく過ごしたい。でもそれだけでは私の心は満たされない。

どんなに悲しくても、苦しくても、いつも私を愛していてほしい。

いわば、父親が子供に与える無償の愛を、私は愛する男性に求めている。



Sとは何度も何度も喧嘩してきた。

私は喧嘩が嫌いじゃない。変な言い方だけど。
喧嘩をするということは、お互いの気持ちをぶつけ合うということ。お互いに向かい合うためのもの。
ずっと愛し合っていくために喧嘩をする。私はいつもそう思って喧嘩をしてきた。

Sもずっとその想いに応えてくれていた。
私はそれがずっと嬉しかった。

そこで私はきっと勘違いをした。
どんな時であろうとも彼は私を愛していてくれるものなのだと。父親のように、無償の愛で私を包んでくれるだろうと。

いつからか私は、Sに対して、彼の気持ちを試すように、愛されていることを実感するために、Sと喧嘩をするようになった。

お互いに向かい合うための喧嘩ではなく、自分が安心するためにSと喧嘩をしていた。

それでもSは辛抱強く、私を励まし、支え、愛していてくれたと思う。


一時期はそれで寂しさや孤独を忘れて、以前のように満たされていることもできた。

そうやってだましだまし続けてきたぎりぎりの関係に、修復できない大きな溝を作ったきっかけは、Sの家族だった。
Sとの日々は、私にとっての全てだった。
穏やかで幸せ満たされて、これから先、一生続くと思えるかけがえのない日々だった。

いつからだろう?Sと私の関係にすれ違いが生まれたのは。
いつからだろう?Sと私の気持ちが変わってきてしまったのは。

きっかけがなんだったのかもわからない。
でもいつからか、私はSの愛に不安を感じるようになった。

何度も何度も、その不安をSにぶつけた。
そのたびに、Sは私の不安を取り除くために、必死で話をしてくれた。

本当はSに愛されている。そうわかっていたのかもしれない。

Sに愛されて満たされているはずなのに、わざとそれを確認しようと、Sに不安をぶつけていたのかもしれない。


普通の男の人だったらとっくに疲れて諦めてしまっていたのかもしれない。
でもSは諦めずにずっとそばにいてくれた。何度でも話をしてくれた。


いつからか二人の時間は穏やかなものではなくなった。
自分が満たされている、愛されていることを確認するためにSに不安をぶつける。

そんな毎日に変わっていた。
それから私たちは、驚くほど自然に毎日の時間を共有するようになった。

二人でいることが当たり前で、二人で過ごす時間が楽しくて。

会えない時間は少し切なくて。ただ、相手も同じ気持ちでいると思うと嬉しくて愛おしくて。


こんなに自然に始まった恋は今まで経験したことが無かった。
時間の経過も、始まりも終わりも何も考えずに、ただお互いが好きで傍にいたくて、一緒に笑いたいと思える、不思議な感覚だった。


毎日仕事の合間にメールして、仕事が終われば帰りながら電話して。

次の日が休みの時は、仕事が終わったら急いで電車に乗り込んで彼の家へ向かう。

休みの日は早起きして車に乗り込んで海に行き、くたくたになるまで一緒に海に入った。

一緒に彼の家に帰り、彼の腕の中で安心して眠れた。


そんな日々が毎日、何年も続いた。
お会計をしてお店を出るころにはみんなだいぶ酔っていました。

女の子たちは皆翌日朝からバイトがあったのでそれぞれ自分の家へ。
男の子たちはM君と一緒に地元まで帰ることに。

こうして私とSだけ、みんなとは別に2人だけで過ごすことになりました。

みんなと別れた後、私とSは深夜2時を回った誰もいない駅前をあてもなく歩きました。
10月の後半に差し掛かったこの時間帯は肌寒く、半そでだった私たちは「寒いね」と言いながらたまたま目についたビルとビルの隙間に入りました。

「風宿りだね」

Sが言った。
見た目に合わず、子供っぽい事を言う人だなと思った。
でもその背伸びしていない自然な話し方が、私は心地良いと思った。

ビルの間は確かに風が吹き込むことはなかったけど、それでも肌寒かった私は腕を組みながら「でもあんまりあったかくないね」と言いました。

後ろから黙ってSが私を抱きしめました。
Sの身長はとても高くて、厚底ブーツを履いて普通の男の子と同じくらいの身長だった私より大きかった。
私の頭はSの胸にすっぽり収まっていました。


後頭部からも、サーフィンで鍛えられたSの胸板の厚さを感じる。

Sの吐息が耳と後頭部にかかる。


恥ずかしくなった私は、少し冗談ぽい言い方で「あったかいね」と振り返りました。



目があった瞬間、Sは私にキスをした。
みんなが帰り支度を始める頃、私とSはこの後どうするかを話ししていました。

カラオケに行くか飲み直すか・・・


そんな事をするより、もっと話ししていたい。

もっとお互いを知りたい。


その時はただそれしか頭になかったように思います。


私は翌日は朝から仕事だったので、普段はこれで帰ることを選択するのですが、その時は一睡もしなくて良いからSと居たいと感じていました。

私にしては珍しい感情というか、初めての感覚だったかもしれません。
今までも、外見には気を使っていたので声をかけてくれる男の子はそれなりには居ました。
ただ、どこかで自分はアクセサリーだと思われているのを感じてしまって、、、冷めた目で見てしまっていたので。

話ししてみてわかった、Sの人懐っこい笑顔や嬉しそうに海や地元の話をする姿に惹かれていたのかもしれません。
相手に気に入られようとするのではなく、純粋にお互いの好きな話をして、お互いに共感できていたのが心地よかったのかもしれません。



他のみんなは今日はこれで帰るようでした。
女の子達はみんな翌日仕事だったし、M君たちの自宅は私たちの地元から遠いので・・・。


「じゃあ二人で始発までオールしようよ!」


Sの一言で私たちは2人で過ごすことに決めました。