扉を突き破るようにして現れた、台座にドーム型を置いた形状の動く生き物がぎこちない二足歩行でお盆に2つのカップを乗せて歩いてくる。

カタカタと音をさせて。

 

「コマナ、このテーブルに置きなさい」真中は冷静にロボットに指示を出した。

 

「真中さん、これはあなたがつくったのですか?」

「ちょっと今、話しかけないでください!コマナ、置く!そこに置きなさい!ゆっくり!」

 

ガチャンと言う音と共に斜めに置いたお盆から滑り台のように、2つのカップが同時並行で滑り落ちる。カップはギリギリのところで止まりお盆ごとテーブルの上に見事に着地した。

 

「なんとか成功です。ええ、ロボットを作ってみました。のらは何もしないし、すぐ旅に出るので宛にならないし色々使えて便利かと思いまして。でもまだ試作品で問題があります。とにかく、動きを滑らかにするのが課題です。それにはどうしても部品が足りません。」

 

「いやー、素晴らしい!ここを設計した博士といい、真中さんといい、ここに住む方は特殊です。この家がそうさせるのかも知れませんがね。コマナちゃん?よろしくね。」

幸一郎はにっこりとコマナに微笑んで、つるつるのドームのような頭を優しくなでた。

 

「コマナは私の分身です。小さなマナでコマナ、です。

安住さん、ロボットに性別はありませんよ。」

 

幸一郎は気にせずコマナをなでると「ん?この子何か言ってますよ。アルファオメガステシオfive、ハイパーヨークエルザコンバトラーV。何かの部品の名前のようですね。

ふふ、真中さん。もしかしたら部品、手に入るかも知れませんよ。」

幸一郎は真中の顔を見つめ、にやりと笑った。」