海辺の洞窟の中に入ると筋肉ムキムキの男が1人裸の背中を向けて座禅を組み座っている。
「兄上、ご無沙汰しておりました。山部の幸一郎です。この度は浄めと塩を戴きに参りました。」
男の背中に声をかけると、男は「ペギーは元気か?」
と低い声で聞いた。
「ええ、元気です。ペギーにはいつも助けてもらってばかりです。」
「おまえ、、手を出してないだろうな?」振り向くと鋭い眼力でぎろりと睨みつけた。日に焼けた顔も鍛え抜かれた身体もシャチのように精悍で黒光りし、鋭かった。
「まさか。小さい頃から従妹同士はいかんと父からきつくいわれておりまする。兄さん、ペギーは私の妹ですよ!」幸一郎は笑って答えた。
「あれは美しいからな。」
『俺が兄じゃなかったら』
と言う言葉を飲み込んだように聞こえた。
幸一郎は話を切り替えるように、
「兄さま、日が高い内に小屋を」と促した。
光一郎は上半身は全く動かさず下半身だけを使い音も立てずに立ち上がった。