(2006年 アメリカ)

原題:Hairspray

監督・振付・製作総指揮 : アダム・シャンクマン


出演 :
ジョン・トラボルタ→エドナ・ターンブラッド

ミッシェル・ファイファー→ベルマ・フォン・タッスル

クリスリファー・ウォーケン→ウィルバー・ターンブラッド

ザック・エフロン→リンク・ラーキン

ニッキー・ブロンスキー→トレーシー・ターンブラッド

ブリタニー・スノウ→アンバー・フォン・タッスル


(あらすじ goo映画より)

60年代のボルチモア。ハイスクールに通うトレーシーの夢は、人気番組『コーニー・コリンズ・ショー』に出演して踊ること。でも現実は、ランドリー店で働く母エドナとオモチャ屋で店番する父ウィルバーに囲まれて、親友のペニーとテレビ放送を楽しみにしている日常だった。そんなある日、番組のオーディションが開催されて、トレーシーも参加する。そこで目の当たりにしたのは、メンバーの中心的存在アンバーのステージママであるベルマが実権を握っている姿だった。


総評:みんなノリノリ 60年代のアゲアゲ



ハイ、みなさん注目(ちゅうもーく)。



映画評=往々に不評を買うもの  書評=意外に受け入れられるもの

左側のムーミンママ、じゃなくて、レディーは我らがジョン・トラボルタです。


すでにご存じの方も多い「ヘアスプレー」のママ役は誰であろう男性のジョン・トラボルタがノリノリで務めてます。

ジョン・トラボルタはミュージカル映画「シカゴ」を3度も断ったそうですが、こっちには出てくれたようですね。

よかったよかった。


ジョン・トラボルタといえば、ダンス。

「サタデーナイト・フィーバー」「パルプ・フィクション」ではおなじみのダンスマンぶりが拝見できます。

今回は特殊スーツを着ての挑戦でしたが、ちゃーんと動きは切れてる切れてる!



映画評=往々に不評を買うもの  書評=意外に受け入れられるもの
ひょっとしてこの映画の一番の醍醐味?


もともとが1988年のヒット映画。

これをブロードウェイが2002年にミュージカル化。

んでもってこの舞台版ミュージカルを映像化したのがこの映画だそうです。


ここに至るまでの過程の作品は観てきませんでしたが、

いい形に着地点を見いだせたようで、楽しませてもらいました。


1960年代が舞台なので、いわゆるオールデイズの曲、ダンスが舞台の花となるのですが、

良くも悪くもアメリカ的な空気がただよう「60年代」のいい雰囲気に、2000年代らしいキビキビした動きが加わって、かっこいい一作となりました。


なんで「ヘアスプレー」かというと、ダンス番組の提供会社がヘアスプレーの会社だから。

というのもあるけど、この当時、リーゼントとかはやってて、髪の毛をスプレーでバリバリに固めるのが流行だったから、とも思われます。

この「ヘアスプレーで固めるかっこよさ=既成概念」をぶちやぶろう、それが60年代だぜ、ベイベー、というのがこの映画のテーマかもしれません。

なもんでタイトルが「ヘアスプレー」ってことかも。


映画評=往々に不評を買うもの  書評=意外に受け入れられるもの
キャバ嬢的な盛り具合りがイケてるってことらしい




映画評=往々に不評を買うもの  書評=意外に受け入れられるもの


青いスーツの彼と白いドレスの彼女は二人そろって「ハイスクール・ミュージカル」に出てたね。

ザック・エフロンとブリタニー・スノウ。



映画評=往々に不評を買うもの  書評=意外に受け入れられるもの


役柄のせいか、ミッシェル・ファイファーがガリガリだった。

好きな女優さんなんだけどな。

ジョージ・クルーニーと共演した「素晴らしき日」は好きな映画。

写真はないですがクリストファー・ウォーケンもコミカルな役どころで出てます。


この映画の見所は黒人の歌とダンス。

ラップ、ヒップホップとかないけど、かっこいいんだ。

こういうの見ちゃうと、やっぱりブラックには勝てないなあと実感するんだなあ。

声の張りも違うし。


無条件でハッピーになれる映画というのでミュージカル好きには嬉しい1作です。


映画評=往々に不評を買うもの  書評=意外に受け入れられるもの

作者:酒見賢一

出版社:文藝春秋

ジャンル:歴史小説



歴史小説には筆者の仮説によるシュミレーションで物語を展開させたり、傍観者、狂言回し役として架空の人物を登場させて話を進行させる手法がある。

その中において、「史実」を見せ場となるドラマに仕立て上げるよううまく盛り込むのが歴史小説家の腕の見せ所だろう。

歴史小説とは、いわば虚実ないまぜで筆者の世界観が展開されるエンターテイメントだ。

読者としては、どこまでが「虚」であり「実」であるかわからないままその世界に引き込まれて酔わされるところに歴史小説を読む愉しさを見出しているように思える。


ただ、「虚」が目立てば歴史小説は成り立たない。

筆者の想像であっても、それがさもあったかのように書かれているから面白いのであって、史実という「実」ばっかりじゃつまらないけれど、「虚」が目につけばリアリティーに欠ける。

歴史小説がすでに嘘小説であるのだけれど、嘘が嘘だとばれることほど面白くないものはない。

なんてったってエンタメの世界は面白い嘘が真実に見えなくてはならないのだから。


酒見賢一は「日本ファンタジーノベル大賞」の第1回目の大賞受賞者である。

大局を見すえた審査員の意図で酒見票が増えたというラッキーマンではあるけれど、私はデビュー作である「後宮小説」を読んで「すごい作家だ!」と感服した覚えがある。

ファンタジーノベルのくせして史実っぽいのだ。

まるで中国の歴史小説を読んでいるようだった。

「素乾国」だの「混沌の役」だの、さも中国史の中にあったかのように書かれている。

すべて読み終わっても、それがファンタジーノベルと銘打たれていても、高校生の私は嘘が最後まで見抜けなかった。

中国史に精通している博学ぶりに「すごい作家だ」と思い、物語が全部フィクションであったという驚きに「ものすごい作家だ」と脱帽させられたものである。


まったく、いたいけな女子高生たぶらかすなんて罪なおかただ。


私がいたいけな女子だったのか騙されやすいバカだったのかはさておき、酒見賢一の「虚」は一級品である。

嘘だとわかっていても面白いし、読んでいるうちにどこまでが虚実なのかわからなくなってくる。

その煙の巻き方がうまい。

「虚」がうまいところまでは他の歴史作家と変わらないけれどそれに加えて、酒見賢一は、大真面目な顔してバリバリのエンタメをやってくれるのが心憎い。


ボケたり悪ノリしたり、その悪ノリに真面目に突っ込んでみたりで、うまいうまい。

こんなに爆笑しながら読んでいいんだろうか、の三国志になりました。


概要はさておき、酒見三国志は中級、上級者向けです。

「劉備玄徳? 誰それ」と思うような三国志を知らない人、もしくは「関羽は知ってるけど、許猪、楽進、張遼って言われてもなんのことやら…」という初級者にはきついです。

酒見賢一のアレンジが伝わらないから。

一度三国志を小説でも漫画でもいいから読んでから酒見三国志に取りかかるのをお勧めします。

そうじゃないと、人物像を歪んで捉えちゃう。

孔明は変な子だし、仁愛の人・劉備玄徳はただのお調子者のオッサンだし…。

お勧めは「蒼天航路」かな。

キャラが近いかも。


昔々、中国が内戦ばっかりしてた時代、我こそは宇宙一の軍師であると何の根拠もないのに鼻息荒くする青年が存在した。

姓を諸葛、字(あざな)を亮、名は孔明。

なんとしても名を成したい孔明は学友の徐庶、恩師の水鏡先生を使って自分が「臥竜」であると吹聴させるも、効果がありすぎて、周りから無駄に恐れられる存在になってしまい…。


マカロニ・ウエスタンあり、徐庶のオカンの爆走賢母伝説あり、暴れまくる張飛ありで三国志フリークにとっては爆笑まちがいなしの、基本娯楽の三国志です。

そのうちマンガ化されるかも。

映画評=往々に不評を買うもの  書評=意外に受け入れられるもの

作者:三津田信三

出版社:講談社ノベルス

ジャンル:ミステリー



刀城言耶(とうじょう げんや)シリーズ第1弾の本格推理小説。

絶海の孤島で行われる「鳥人の儀」に参加することになった刀城言耶。18年前の儀式で巫女や参加者が姿を消し、行方不明になったと聞いていた彼を待っていたのは、またしても密室での人間消失だった。

巫女はどこへ消えたのか。

そもそも秘儀とされる「鳥人の儀」とは一体何であるのか…。


さすが第1弾だけあって気合が入ってます。

密室からの人間消失をみんなで検証する密室トリックへの挑戦と、かつ読み飛ばしができないロジック・ミステリーの2段構えで読者を衝撃の回答までグイグイ引き付けていきます。

背景や物語構成に無駄のないロジック・ミステリーは好物なので、すっかり魅せられて最後までやめられない止まらないのまま読み込んでしまいました。


今回はホラー仕立てではありませんでした。

ただ、神がかった畏怖の体験を読者にさせてくれるところに、やがてホラー・ミステリー作家となる片鱗があり、本格的に怖い思いをさせられるのは第2弾から、と考えると方向性が固まったのは書き終えてからなのかしら? なんて想像してしまいます。

怖がりな人でもこの三津田作品はまだ安心して読める部類に入りますね。


検証と試行錯誤の謎解きの話し合いは読者目線でもあるので入り込みやすいですよ。