会社員をしていたころ、

長年の武装ハイヒールが災いして

よく腰やら膝やらを痛めておりました。



今思えば、その故障は

高すぎるヒールのせいだけじゃなくて

もう、あんなことしたくない、会社に行きたくないよーという

心の声を無視していたことも原因だったのかもねって思います。




通っていた整形外科は

家からはちょっと遠かったけれども

名医と有名な上に院長先生ひとりしかいなかったので、

とても不便なところにあったにも関わらず

朝から、ちょー満杯で

平日でも1時間以上待つことは普通のことでした。




ある日、小学校低学年の男の子が

おかあさんに連れられて整形外科にやってきました。


待合室の長椅子に最初は良い子で座っていましたが

そこは子供ですからね、飽きちゃってぐずりはじめました。


だってねー、正直大人だって飽きちゃうもん。



おかあさんが

『あと少しだから。がんばって』

と声をかけます。


男の子は

『がんばれないーーーーしょぼん

と身体をくねらせます。



そのうち、どういうわけか周りの大人たちも

『がんばれ!がんばれ!!』

と励ましはじめました。


でも、

『がんばれないーーーーーーーしょぼん

と男の子。


『がんばれ』と『がんばれない』の大合唱。

でも、なんとなくいい感じになっている待合室。



ほんとだったら、我慢のできない子供だ!とか

思うこところなんですけど、

でも、そのやりとりがなんだかほほえましくて

イライラしながら待っていた大人たちも

なぜかニコニコしていました。



そのうち、笑いながら看護師さんがやってきて

待合室の大人たちに

このお子さん、先でもいいですか?と訊いて

みんなに頭を下げるおかあさんと一緒に

彼は診察室に入っていきました。


周りを見渡すと、知らないひと同志が

この男の子のことを笑顔で話していたりして

待合室の雰囲気がふんわりしていました。

誰も、ずるいとか思っている様子には見えなかった。



まあね、

子供だって、大人だって

我慢しなくちゃいけないことも

踏ん張らないといけないときも

そりゃ、あります。


大人になれば余計にね、

お仕事をしていると毎日がそれだったりします。


でもねー、

たまには自分の心の声に耳を傾けて

ちょっと許してあげてもいいんじゃないかなー。



時にはへろへろな自分を認めて、

あの男の子みたいに

がんばれないーーって

声に出したらすっきりすることもあるかもですよね。



頑張れないときだってあるよ。

ときには泣き言だって言っていいんだよ。

ハートの声に耳を傾けて

いいんだよ、大丈夫だよって言ってあげてね。



だってどんなに大人になっても

ハートには繊細で傷つきやすい小さな子供がいる。


私はずっとあなたの味方。

心の中の泣いている子供にそう言ってあげたら、

きっとまた、にっこり笑顔になれると思うんです。




読んでくださった方、ありがとうございます。

今日も良い日でありますように。